表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/27

第27話 幸せ

 ――数日が経ち、ユーデクス様は元気を取り戻された。オーリム家の庭で元気に手入れをされている彼の姿があった。



「ありがとう、スピラ様。あなたの治癒のおかげで、この通り元気になった。本当に感謝してもしきれない……」


「いえ、わたしはこれくらいしか出来ませんから」



 にこっと微笑まれ、ユーデクス様はまた頭を下げられた。今日で多分、三回は頭を下げられたと思う。



「それで、もう聖地へ帰られるので?」

「いえ、せっかくの里帰りですので、もう暫くは滞在しようかと思っています。カエルム様も同じ考えだったようで、今は辺境伯と母様にご挨拶をしているようです」



 ちなみに、お義父さん……エキャルラット辺境伯は、皇帝陛下に呼ばれていたようで姿がなかったみたい。だから、母様しかいなかったのね。



「そうか。俺は兄として失格だ……」

「どうしてそう思うんですか?」


「君たちに迷惑を掛けてしまった。結局、俺はダメな兄貴だったんだ……。今もこうして庭師の仕事をしているし……運命の人も現れない。とことんツイていない」



「そんな事ありません。ユーデクス様は素敵な人です。きっと、これから良い事ありますよ~。だから、元気出して下さい」



 そう、わたしが元気づけるとユーデクス様は、思ったよりは落ち込んでいなくて、微笑んでいた。どうしてだろう? と思っていると。



「聖女様のお墨付きなら、安心かもな」

「そ、そんな……わたしも、まだまだですよ。力だって、最近やっとついてきたくらいで……」


「いや、スピラ様はもう立派な聖女様だ。俺が保証する」


「ありがとう、ユーデクス様」



 わたしは頭を下げ、礼を言った。

 それからお屋敷に戻った。



 ◇



「ごめんね、スピラちゃん」



 ウィンクルム母様とばったり出会う。

 相変わらず世話しない人だ。



「いえいえ、わたしの方こそあまりお役に立てなくて……」

「そんな事ありません。スピラちゃんの活躍は、カエルムとユーデクスから聞いているわよ。すっごく立派だったと。聖女の力を発揮してくれたんだってね」



 宝石のようにキラキラした瞳で顔を見られ、わたしは、なんだか無性に恥ずかしくなった。頬が熱い。



「そ、そうですけど……でも」


「謙遜、謙遜。いいのよ、胸を張って。貴女はカエルムとユーデクスを守り、無事にこのお屋敷に帰って来させてくれた。それだけで、十分すぎる名誉よ」



 だきっとウィンクルム母様は抱きついて来た。ぎゅぅっと抱きしめられ、ヌクモリがわたしを包む。……あたたかい。……ちょっと泣きそう。



「ウィンクルム母様……」


「スピラちゃんは、私の娘よ」


「はい、ありがとう。ウィンクルム母様」



 今回、急な呼び出しではあったけれど、久しぶりに帝国に戻ってこれて、少し安心も出来た。聖女としての自信も出た。



 これからも、カエルム様となら困難があっても立ち向かえる。




 ――それから、わたしはカエルム様と合流を果たし、彼の部屋でゆっくり愛を確かめ合った。




「カエルム様……」

「スピラ様……」



 やっとこの幸せな時間がやって来た。もう誰にも邪魔されない……二人だけの時間。あぁ、とっても幸せ――。

今度こそ番外編も完結です。

応援ありがとうございました。

また新作も追って戴けたら幸いです。


★ブクマ200ありがとうございます★

記念して番外編を追加できたらと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 笑い有り、笑い有り…そして笑い有り! 面白かったです! 有難う御座いました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ