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純白な世界

作者: ムラカワアオイ
掲載日:2021/01/25

タンブレロ。

泣きたいときに泣けばいい。

勝てるようになった喜び。セナがこのチャンスをミスミス逃すわけがない。

マンセルはフレッシュタイヤですからね。


自転車をこいで、1994、セナの初勝利を願っていた。

途中、こけそうになる。17の俺。


ギタリストの家へ着くと、言われた。


『セナがヤバイことになっとるぞ』

テレビを観る。セナが、事故った。タンブレロ。

ギタリストは言う。

『お前もレースやっとんやったら、これ、見とけ』


テレビの中。

三宅さんと今宮さんが必死。


放送が切り替わる。


セナが死んだ。


17の俺の夢はF1レーサーになること。アイルトンセナを抜くこと。

レースに賭けた、10代。

モータースポーツに関わり、クルマが何かを知っていく。


ギタリストは俺に言う。


『見とけ。セナでもこうなるんやぞ。お前もクラッシュしたらこうなるんやぞ。この意味、わかるよな』


アイルトンが走るって決めて、アイルトンが走った、悪夢のサンマリノ。

俺は、クラッシュばかりのチームでイチバン、遅いドライバー。

モータースポーツの過酷さを知る身分。

今宮さんの涙。

三宅さんの涙。

河合さんの涙。

唯一の救い。楽に逝けたこと。アイルトンが。

俺もなくなく、考える。


あれから数年が経ち、俺も四十三になった。

今頃、アイルトンと今宮さんが天国で、乾杯してるような気がして。

めざましの三宅さんを観る度に、

あの日のアイルトンを思い出す。俺は、煙草にしがみつき、

常識とはなんだろうと、俺は詩を刻んでは、俺は絵を描く。


正義とは何。

美術館に飾られてある俺の作品。

有里からメール。イイじゃん。と。

晴子姉やんからメール。きれいな絵やね。と。


壁に飾ってある、晴子姉やんが誕生日プレゼントしてくれた、

アイルトンのカレンダー。


アイデア屋と呼ばれ、

今日もキャンバスに美しさをコンペティションするために、

最善を尽くす。

コンテストキラーと呼ばれ、涙を知っていった。


美術館の横。駐車場に猫が一匹、てくてく、一生懸命に走っていた。

走る意味って何。


美智子さんからのメール。

それだけ、アオイさんに腕があるってことですよ。

自信持っていいと思います。ニコニコマーク。

成り行き任せだけでは、

住めない絵という世界。


アイルトンのクルマから学んだことを俺なりに描く。

アイルトンの哀しい瞳。


純白な世界。


ホオヅエツイテタ、

心拍数。

パソコンの横には俺の宝、

カート時代のヘルメット。

今日の勝因をぶつくさと独り言。


勝てる絵を描いた。勝てる絵ってなんだろうと、

もうひとりの俺に聞いてみる。

哀しくて美しき、純粋に絵を愛している、みんなのための絵だ。

と。

もうひとりの俺は俺に言う。

アイルトンの走りは世界のためにある。

今宮さんが俺達の想いを代弁した、1994年。5月1日。涙。


今、シグナルが変わる。


だから、俺は絵を描く。


アイルトン セナ ダ シルバ。


永遠のキーワード。

俺の永遠のキーワード。今日の勝利。

俺は絵を描く。悪行などもう、俺には、ないよ。

俺は、俺は、絵を描く。もうひとりの俺も、勝てる絵を描く。


ひょっとしたら、ひょっとして、アイルトンがこの部屋で俺に、


『頑張れ。アオイ。また、勝てたね。シャンペン、いつか、一緒に飲もうよ』

と、哀しい瞳で、呟いている気がして。


天へ。

天まで届け、この想い。この画家が不器用に言いたいこの想い。


アイルトン セナ ダ シルバ。


愛は気が付けば、充分すぎるほど、ここにある。


酒でも呑むか。

よく、絵を描いた、今日の俺へ。


祝杯。


今宮純とアイルトンセナ ダ シルバに敬意を込めて。

2021年1月25日。


今頃、二人は、天国で、笑ってら。走るすべての人々へこの詩を捧げる。

今日。俺は、キャンバスに向かい、

涙した。


勝てる喜び。

死んでも続く。ただ、塗ってる馬鹿じゃない。

俺は、そんなに馬鹿じゃない。立派になんて生きられない。


ただ、この世を愛す。

いつか、いつか、本当の本当の日々が送れるように。

その夢は叶えた。

俺は本当の本当のこの日々を愛す。多少の消えない孤独感と一緒に。


世界は始まったばかり。

純白なきれいな世界へグラスをカタムケテ。


何度目かの草々。


さてと、俺は自転車に乗って。勝利する日々を純白にするために。


俺は、O型牡羊座。

筆は死んでも、絶対、捨てない。


ラインを楽しんで、この道を行こうぜ。

あの日、セナに憧れた、

純粋な独りの画家より。詩的に俺は、真っ向勝負。


さあ、行こうぜ。

イクツになっても、俺達、夢中。

アイルトン。そちらの天気はどうかな。この街は晴天だよ。


食事は一緒に。純白なこの世界へ。

行こうぜ。

前後左右が少し、気になっても。

テレビの中の頑張る佳純ちゃんの涙を見て、知ったこと。


アイルトン。俺は、獲りに行くから。

一瞬を描く画家として。

服は絵の具で多少、汚れてしまったが、

闘う証拠と俺は誇りに。


癖のある字でごめんなと誰かに言いたい、

純白な世界へ。

絵画。俺を研ぎ澄まさせる。言葉に言葉に。詩的な俺の快楽へ。


やあ、アイルトン。

今日は歩いて。

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