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異世界QUEST  作者: ヴェイン
Act.1
9/74

海埜義宗③

「ちょっといいですか~!?」



仕事が開始してから1時間後、宇敷が俺のデスクに来て言った。

早速質問か。教えてくれと言ってたから、来るのは当たり前か。



「これ海埜さんやってくれないですか?私より良い文章作れそうですし~」



予想外の質問…いや押し付けが来た。後輩が先輩に仕事を押し付けるのか。

俺は少し口調を強めて宇敷に返答する。



「宇敷、自分の仕事を人に押し付けるな。良い文章とか考えずに自分の力でまずは…」



「あーあー面倒ですね海埜さんは。だからモテないんですよ?」



「今関係ないだろ」



「関係あります~!心優しく可愛い後輩がやってほしいって言ってくれてるんだから、素直に

『わかった、俺がやっとくよ!』とか言ってくれればいいのに。そしたら少しはモテるかも」



「いい加減にしろ!それは宇敷の仕事だろ!」



俺は少し腹が立った。先輩を舐めた態度で見下している感じがしたから。

しかも自分から可愛い後輩とか言う奴ほど胸糞悪い。



「もういいですよ」



宇敷はそう一言言って、自分のデスクへと帰っていく。

その会話を聞いていた上司が俺の元へと来た。



これは嫌な予感がするな。



「海埜、お前は何でそう人に優しくできない。回答1つでもっと良い選択肢に辿り着けただろ。

だから舐められるんだよ。これ、やっとけ」



上司は俺のデスクに1枚の紙を置いた。

それは新しいプロモーション制作の依頼書だった。上司のその態度も気に入らない。



俺は文句も言わず、その依頼書を見て仕事に取り掛かる。

その状態を見た上司は嘲笑っているだろうな。



金を手に入れる為だ。文句を言わずにやるしかない。逆らえば首が飛ぶ。

会社ってのはそういう場所なんだ。



時間は経ち、定時になると俺は仕事を辞めて帰宅しようと準備する。

すると宇敷が颯爽と仕事場を後にする。



「お先に失礼しまーす」



アイツは仕事が終わったのか?すると、上司が俺の目の前まで来た。

何となく…嫌な予感はした。



「宇敷、結局わかんないまま帰宅した。それはお前の責任だ。

宇敷の為に、お前がやっとけ。わかったな」



「…はい」



嫌な奴だ。口癖は「やっとけ」だろうな。折角定時で帰ろうと思ったのに、

残業になっちまった。



それから2時間、何とか宇敷の仕事が終わり、俺は帰宅する為に準備する。



「今日の義宗は散々だったな、助けてやれなくてごめんな」



佐久馬が俺の事を見て、そう言ってくれた。佐久馬は俺の行動を見ていたのか。

それで助けてもくれなかった。



最後の言葉は別に助ける気はなかったんだろう。普通ならすぐに助けるはずだ。

結局佐久馬も…ただの偽善者じゃねーかよ。



「おつかれ」



こんな場所に1秒も居たくない。ただでさえ俺には他にやる事が出来た。

【異世界QUEST】がな。



外に出ると、辺りは真っ暗だ。それはそうか、時間はもう8時を過ぎているから。

今日は家に帰ってすぐに寝よう。【異世界QUEST】なんてやる気力はない。

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