死咲 妃菜
【視点変更 ??? ⇒ 死咲 拓翔】
「ただいま」
「拓翔さん!遅いですよ、なにやってたんですか!?」
「悪い。ちょっと色々あってな」
俺は来栖と宇敷と別れた後、何とかして事務所へと帰ってきた。現在時刻は午後6時だ。意外にも異世界QUEST内で戦っていた時間が長かった。あとは来栖に黒幕を話した時、なかなか帰してくれなかったせいだ。
結局来栖は仲間にはならなかったし、宇敷も北郷もイヴィリナードから抜けられないから正式に俺が作ろうとしているギルドには入らない。でも協力関係にはなったから敵対はしない。
「依頼人が来てますよ!」
「ん?・・・なんだまた来たのかよお前」
「お前って言わないで!お兄ちゃん!」
依頼人・・・のフリをしていつも俺達の事務所に入り浸る俺の妹。名前は死咲 妃菜。17歳で高校生。元父親のせいでって言い方はよくないが、学校では優秀な成績を誇っている。だが俺に懐いているから週3ぐらいで事務所に顔を出してくる。
高校生は高校生同士仲良く遊べって思う。俺は危ない仕事もしてるし、今は異世界QUESTに関わっている。妃菜は異世界QUESTに絶対関わらせたくない。
「お兄ちゃんちゃんと仕事してるの!?春君をまた一人にして・・・」
「うるせぇーな・・・俺だって忙しいんだ」
「妃菜ちゃん!!お兄さんは女の人と会ってたんだよ!もしかして・・・」
「え!?え!!?か、彼女できたのお兄ちゃん!うそ!?うそでしょ!?」
春の野郎・・・変な事を言うせいで妃菜が驚いている。妃菜は俺の事が大好きすぎるせいか、妃菜が中学生になった時に俺が彼女を実家に連れてきた時はずっと監視してたからな。どんな人が監視を。
彼女が出来たなんて妃菜には何があっても言わないと決意した。あとで春の事はしばくか。
「そんな事より、依頼あるのか?」
「依頼はないよ~!」
「じゃあ何で来る?お前は高校生だ、こんな危険な場所に来るな」
「え~!?お兄ちゃんも優しいし、春君も全然良い人じゃん!危険な場所じゃないでしょ!」
椅子に座って足をバタバタさせながら言う。その行動が良い人と思われる春が見ているんだ。制服のまま来ている妃菜は結構短いスカートを履いていて、あわよくば下着が見えそうだ。それを春が見ているんだよ。
「おい春・・・妹をやらしい目で見てんじゃねーぞ?あ?」
俺は春に耳打ちしてそう言った。春は「す、すいません」と謝りながら、そそくさとトイレの方へと向かって行った。何しに行きやがったんだアイツ?
「お兄ちゃん!そろそろ私をブラッドに入れてよ」
「は?」
「入れてって!」
「は?・・・はぁ?」
何故自分の妹を探偵業兼何でも屋をやっているブラッドに入れなきゃいけないんだ?いやまず高校生だし、未成年だし!バイトとかそんなの雇える金もない。まず根本的に家族を危険な目にあわせたくない。
「無理に決まってるだろ。母さんが許すわけない」
「言うわけないじゃん!ママは絶対に止めるもん!だからこっそりと」
「・・・帰れ。もう外も暗くなるし」
「春君に送ってもらうからいい!」
「ダメだ。送るなら俺が送っていく!春はダメだ!」
アイツは何をするかわからねぇーからな。絶対に2人はさせない。・・・いや待て、俺が帰ってくるまで2人だったんだよな?春がもしかして既に手を出していた可能性が・・・?
「あーすっきりしたー」
「何すっきりしてんだお前。人の妹で」
「いや何ですか!?どうしたんですかお宅のお兄さん?」
「さぁ?勝手に妄想してるだけだよ」
「春、お前は妹から2メートルは離れてろ。それじゃなきゃ殺すからな」
春は意味がわからないような顔をしていたが、俺がずっと睨んでいたせいか妃菜から離れていき、約2メートルの位置に立っている。こいつは後でゆっくり話した方が良いようだな。
「そういえば~最近学校で流行ってる事があるんだよね~」
「え?何々!?JKの流行は知っときたいなー!」
「お前は妹の流行を知りたいだけだろ・・・黙れ!」
「なんか厳しいですね拓翔さん」
お前が危険な男だからだろ。妃菜が今学校で流行っているものか。まぁスマホゲーとかブログ系の何かか?それかバズっている動画とか。高校生の流行りはそんなもんだろ。
「えっとー異世界QUESTっていうゲーム?があるみたいなんだよ」
「・・・今なんて言った?」




