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異世界QUEST  作者: ヴェイン
Act.1
7/74

地獄の幕開け

勝った。俺は【異世界QUEST】をCLEARして生き残ったんだ。

生き残る為には恐怖なんて捨てた。その先に見えたのはただ敵を倒す闘争心だけだった。



「やるなお前…。まさか勝つなんてな」



黒装束の男は俺の戦いを観戦していたのか、蒲生氏郷を倒してからこちらへと向かってきた。

少しは手伝ってくれてもいいと思ったが、それは言わないでおこう。後々面倒な事になるかもしれない。



「勝たなきゃ死ぬ、最初にそう言ったのはあんただ」



「そうだな。でも負けそうだった所からよく持ち返したな。急に殺人者の鬼みたいになった時は驚いたよ」



「鬼?俺が?」



「ああ。最後の攻撃は凄まじかった。お前は【異世界QUEST】で強くなれるかもな」



『海埜 義宗はLv2になりました。次のLvまであと1つの【異世界QUEST】のCLEARが必要です。

あと1分でこの場所は消滅します。扉から出なかった場合は強制的に退場となります』



またアナウンスの声が響き渡る。俺はLv2になったみたいだが、何も変化はない。

普通なら力や体力が上がり、新しい技的なものも覚える。



ゲームならそうだが、これは現実だ。ゲームではないから技なんて使えるはずがない。

なら武器が変わるのか?この物干竿の攻撃力が上がれば敵も倒しやすくなる…。

いや待て!俺はこれからも【異世界QUEST】を続けなきゃいけないのか?



「すぐに出るぞ」



「ちょっと待て」



「いや出てから話そうぜ?」



「出たらまたアイツが居るんだろ?俺を襲ってきた奴が」



今出たら俺はまた死ぬ。結局死ぬ事は変わらないんじゃないか?

怪我は治っても、俺がアイツに勝てる保証はない。



「大丈夫だ。【異世界QUEST】で勝ったものは世界が変わる。多分、アイツの攻撃も見切れる。だから出るぞ」



俺は黒装束の男の後に着いて行き、異世界を脱出する。辿り着く場所は入った時と同じ場所だ。

そこには待っていたかのようにもう1人の黒装束の者が居た。



「帰って来たな!入峰も一緒かよ!てめーが余計な事をするから!」



「お前が悪いだけだ。【異世界QUEST】にも行けない者が…同じ格好して、

ふざけるなよ」



「そんなのはどうでもいい!コイツを殺す!殺せば参加者の権限が与えられるかもしれねぇー!

もう逃げる事はでできねぇー!ようやく殺せるぜぇえええええ!!」



ここはそこまで広い道ではない。ナイフを右手に握りしめて向かって来る。

だが何故か動きがよく見える。もしかして【異世界QUEST】の経験がもう身体に反応しているのか?



俺は右手に持つナイフを蹴りで落下させる。動きが一瞬止まった黒装束の者の顔面を右手で掴み、

そのまま地面に殴りつけた。



「…あれ?俺、強くなってる?」



「上出来だ。コイツの顔も明らかになったしな」



黒装束の者が隠していた顔のフードが外れ、顔が明らかになる。

髪は金髪で、鼻にピアスをしている。まるで不良の高校生のような男だった。



「くっそ!くそが!何なんだお前は!?…あれ、顔がばれて…!

きょ、今日の所はこの変にしといてやる!いずれ殺すからな!!」



すぐに起き上がって金髪の男はそそくさに逃げて行った。俺は殺されずに済んだが、

自分自身の身体能力が上がっている事に驚いた。



「もうこんな格好はいいな。お前は【異世界QUEST】の参加者だ。俺と同じくな」



「何だと!?」



男は黒装束を外し、顔が明らかになった。髪は紫色で左目が前髪で隠れている。

恰好は黒の革ジャンを着ていて、何か怖そうな人だった。



「俺は入峰いりみね 是郁ぜいくだ。【異世界QUEST】の攻略をしている1人だ」



俺の人生はこれから大きく変化する事になる。

【異世界QUEST】から逃れられない地獄の幕開けだった。

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