ギルド➁
「俺がお前の協力だと?ふざけんな。俺はイヴィリナードの一員だ。裏切れるわけがない」
「イヴィリナードには居てもらっていい。その代わり、ブラッドの所属しろ」
「そんなのできるわけないだろ。ギルド登録のシステム、知ってて言ってんのか?」
ん?ギルド登録システム?何だそれは?初耳の言葉だし、そんなシステム聞いたことがない。異世界QUESTはギルドも管理してるってことか?何処かで自分が所属しているギルドを見られるとか?
「2重でギルドには入る事は出来ない。そんぐらいわかっていたと思ってたけどな」
「宇敷さんは知ってたのか?」
「・・・はい。異世界QUESTアプリで見られます。そしてギルドランキングも」
「ギルドランキング。もう情報量が多いぞ?ギルドにランキングがあるのか?」
俺は何も知らないで異世界QUESTをやっていたって事か。封凪も何も教えてくれなかったし、そもそもレベル上げて強くなるだけが異世界QUESTではないのか。組織もあるって事はこの異世界QUESTはゲームのようにエンディングが存在する?
「まず封凪がお前を【イヴィリナード】という組織に登録した。そして今は居ないから封凪が死咲を解雇したんだろう。それで新しい組織を作るには組織作成が必要だ。それは異世界QUESTアプリでできる」
「じゃあ来栖も宇敷さんも【イヴィリナード】から抜けられないのか?自分から脱退とかはできないのか?」
「できない。それが異世界QUESTの厄介な所かもな。ギルドにはマスターという肩書が与えられる人物が存在する。【イヴィリナード】では封凪 玲さん、無田 喜佐美さん、魔堕羅 杏さんの3人だ。この3人しか所属するメンバーの管理はできない」
来栖は淡々と説明してくれて、俺は何となく理解できた。まず【ブラッド】というギルドを登録しなきゃいけない。あとは宇敷と来栖はイヴィリナードを抜けられない。・・・封凪に相談してみるしかないか。
あとはギルドランキングってやつだ。それは何なんだろう。俺は異世界QUESTアプリを開く。マイページとギルドに所属している人物がわかるギルドメンバー一覧のタブがある。俺は【イヴィリナード】を抜けたから今は選択できない。来栖を見つける時はこれを自然と使用していた。
何故それなのにギルドメンバー一覧のタブに気づかなかったか?
異世界QUESTアプリにはホーム画面というものが存在する。そこにギルドのメンバーで異世界QUESTを現在行っているメンバーが大きく表示される。そこから飛んで行っていたから気づかなっただけ。あとはアプリのシステムをあまり理解していなかったこと。
俺はギルドランキングというタブをタッチする。するとTOP5までのギルドが表示されている。
「えっ!?」
「ランキングを見たか?それは驚くよな。だって・・・イヴィリナードは3位だからな」
現在のギルドランキングは以下の通りになっている。
==============================
ギルドランキング
集計方法:異世界QUESTをCLEARした数
1位 十天
2位 プラズマ
3位 イヴィリナード
4位 安生の地
5位 煌めきレインボウ
==============================
1位は・・・なんて読むのかわからないが、何かいかにも強そうなギルド名。あと集計方法は異世界QUESTのCLEAR数みたいだが、CLEAR数は表示されていない。
てかギルドって沢山存在するのか?異世界QUESTって日本全体で行われているのかもわからないけど。
「1位の十天。読み方はじってん・・・ではなく【テン】と読むみたいだ。その名の通り10人しか居ないギルド。それなのに1位だ。2位のプラズマとイヴィリナードは2位と3位を争いあってるギルドだ」
「待て、俺はそもそも1つ知らない事がある。イヴィリナードには何人居るんだ?」
「封凪さんに教えてもらってないのか。イヴィリナードは全員で19人だ。あ、死咲はカウントしていない」
19人!?・・・それじゃあ入峰以外にも異世界に転生した者がいるって事か。なら無田と魔堕羅が怪しいって事になるな。何か複雑な話になってきたな。
「これでわかっただろ?俺を仲間にはできないってことだ。ま、そもそもお前のギルドには入りたくもねぇーよ」
「・・・仕組みはわかった。宇敷さんも来栖もイヴィリナードのままでいいよ。ただ協力はしてほしい」
それを言った瞬間、来栖は俺の胸倉を掴んだ。
「だから!!何でお前には協力しなきゃいけない!?何のメリットがある?俺にとっては海埜なんてどうでもいいんだよ!」
「この異世界QUESTを終わらす為だ。俺は・・・異世界QUESTの黒幕が誰かわかったんだよ」
「・・・は?」
「それは海埜とも関係している。いや海埜をどうにかしたくて仕掛けたのかもな。だって…自分の可愛い息子だからな」
俺は魔王ルビエールが最後に言った言葉を思い出した。
『今回は負けだ。だが次は・・・鬼条様が自らおめーらを殺すだろう!・・・』
この鬼条様という人物。こんな苗字は滅多にいないし、その苗字にははっきり聞き覚えがあるからな。
「異世界QUESTの黒幕は・・・鬼条という男。そいつは海埜の元父親だった男だ」
【とある場所】
『のこのこ負けて帰ってくるなんて・・・惨めねぇールビエールちゃん」
『漢が負けた場合は死だ。今すぐにここで死ね』
『そう熱くならないでくださいバルガス。ルビエールはよくやりましたよ』
『す、すいません。わ、私が弱いばかりに』
ここには5人の男女が椅子に座って話している。1人は王様のような敷居が高い椅子に座っていて、その他の4人は2人同士が向き合って座っている。敷居の高い椅子に座る者は4人全てを見渡せる位置に座っている。
『つ、次は負けないので、チャンスを』
「ふん、まぁいいだろう。このゲームの物語は俺自身が最後だからな」
『で、では!?』
「魔王誕生は終幕だ。よってルビエール、貴様は・・・いらない」
『えっ!?ちょ、ちょっと待ってください!私は負けてはいないです!だから、だからチャンスを!!!!』
ルビエールが立ち上がり叫びながら、王様らしき人物へと向かおうとした、何者かが背後からルビエールを真っ二つに斬ってしまった。
『さらばだ、ルビエール』
『汚いわ!血で汚れたじゃない!!もっと静かに始末できないの!?』
『申し訳ないです。ただ・・・良い報告があります』
ルビエールを斬った人物は4人とは別の人物だ。黒いタキシードを着ており、髪はオールバックだ。その人物が笑みを浮かべていった。
『海埜 義宗を確保しました、鬼条様。この異世界QUESTの核はお返しします』
「ナギト、よくやった!お前が一か八かの賭けを言ってくるからどうなる事かと思ったが・・・これでお前は俺の右腕だ。俺の計画は今始まる。義宗を・・・この我が息子を覚醒者へと!!はっはっはっはっはっはっは!!!!」
鬼条と呼ばれた男が高笑いをしている。ここから異世界QUESTはさらに過激差が増していく事になる。鬼条 残時によって。




