生存
「来栖が死んでいないかもだと?」
「はい。まず異世界QUEST内で現実の人が死ぬことはないです」
「でも入峰は現実の人が異世界QUESTで現実の人を殺せば、現実の死と一緒と言ってた」
「それは嘘ではないです。でも異世界QUEST内では絶対に死なないです。その人物が異世界QUESTから出た場合です」
・・・宇敷の話だと異世界QUESTをCLEARしたら強制退出になる。ならば異世界QUESTで死んだ来栖は異世界QUESTから強制的に退出されたことになる。ならば死は確定してしまう。
「異世界QUESTはCLEARしたから、来栖は現実に出た事になる。・・・そうなると宇敷さんが言った事は」
「来栖さんが簡単に殺されるわけがない。あの人は強いです。そして入峰さんが犯人なら来栖さんはそれを知っていたはず。・・・正直に言いますけど、七海ちゃんを刺したのは来栖さんではないからです」
「・・・は?」
「来栖さんはワザト自分を犯人と思わせて逃げたんです。それは逆に犯人を誘き寄せるために」
来栖が犯人ではない?犯人を誘き寄せるために犯人のフリをした・・・?じゃああそこに居た皆は嘘を言ってたってことか?なら刺したのは誰だ?
「犯人は誰なんだ?」
「・・・わかりません。急に黒服で顔を隠した人物が来たんです。そして七海ちゃんをケガさせて、そのまま何処かへ去っていきました」
「それじゃ来栖が犯人のフリをした意味は?その黒服の人物を追えばいいじゃねーか」
「犯人はすぐに扉で逃げました。多分異世界QUESTの行ってる人物です。・・・それを知っているのは私と七海ちゃんだけです。その時は2人しか居なかったから」
「みんなは知っていなかったのか」
「そのあと入峰さんや久喜夜さんがきて、あとは死咲さんが知っている通りです」
聞いた話を全然違った。宇敷と北郷はその事を喋らなかった。何故なのか?多分来栖はイヴィリナードのメンバーが怪しいと思ったんだろう。来栖が犯人だと嘘の事を言って、来栖に集中を向ける。
その来栖と追った人物が犯人。でも北郷のケガを治す為に入峰が北郷と何処かへ行った。・・・意味がわからない。入峰が黒服の人物だったのか?それなら何故北郷を・・・。
「来栖は入峰が犯人だと知った。・・・いや違う!初めには会ったのは入峰じゃない!」
「どういう事ですか?」
「俺達だ。俺達が異世界QUESTで来栖に初めて会った。てことは来栖は俺を犯人だと思ってしまったのかもしれない」
「じゃ、じゃあ本当に来栖さんは」
「避けられない攻撃だった。入峰の攻撃は予想外だったから」
「・・・来栖さんを捜します。手伝ってください」
「今から!」
「早く!その話を聞いたら、死咲さんにも非があると思います。いいから手伝ってもらえますか」
何か急に言い方がきつくなったが、俺にも非はあるのは確か。俺は宇敷と一緒に来栖を捜す事にした。・・・だがどうやって捜す?何か手掛かりはあるのか?
「どうやって捜すんだ?」
「異世界QUESTアプリです。そこに来栖さんの居場所が載っているはずです」
「そうか。俺が来栖が参加している異世界QUESTに乱入したんだった」
俺は異世界QUESTアプリを起動し、来栖の現在の場所を確認する。そこには驚愕の場所が表示されていた。
「レベル18【魔王誕生】。なんだこれ?異世界QUESTの名前か?」
「とりあえず行きましょう!来栖さんはここに居るはずです」
俺と宇敷はレストランを後にして、異世界QUESTアプリから来栖が行っている異世界QUESTへと乱入する。
周りが一瞬だけ真っ暗になり、すぐに目の前が明るくなった。
そこは何もない闇の世界だった。建物も障害物も何もない。だがよく見ると1人だけ何者かと戦っている人物がいる。
「死咲さん!あれ来栖さんではないですか!?」
「ああ。来栖だ!生きてたんだな!」
あの状態からどうやって生きていたかはわからない。でも今来栖は何者かに苦戦している様子だ。何度も攻撃を喰らっている。てか相手は人なのか?何か化物に見えるけど。
「来栖!!」
俺は来栖と叫ぶと、来栖は俺と宇敷に気づく。一旦敵からは退いて俺達の所へと向かってきた。
「死咲!それに宇敷!?・・・お前死咲に教えたのか?」
「そうよ。だって来栖さんが」
「余計なお世話だ!俺に構うな!・・・死咲、あの時はお前を犯人だと思ったが違ったみたいだな。入峰、あいつが全て犯人かよ!くそが!」
来栖は苛立っている。俺達とは会いたくなかったのか?俺と宇敷は心配してすぐに異世界QUESTにきたが、来栖はそう思ってないみたいだな。なら・・・俺は必要ないか。
「生きてたならもう心配しない。俺は帰るから」
「ちょっと待て死咲。お前は結構強いよな?なら手伝え」




