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異世界QUEST  作者: ヴェイン
Act.2
65/74

イヴィリナード➁

「責任ですか?」



「ああ。俺はイヴィリナードを抜ける。そして・・・新たにイヴィリナードのようなギルドを作る。一応俺は探偵業みたいなものをやってるんだ。【ブラッド】というギルドで。その名前で活動を始める」



俺は入峰が転生者と分かった時、イヴィリナードは普通のギルドではないと感じた。あのギルドに居るべきではない、この異世界QUESTを操っているような奴らだ。



異世界QUESTは海埜が示した道、その異世界QUESTで消息不明になった海埜。・・・俺は絶対に止めなきゃいけない。終わらせないといけない。この手で異世界QUESTを。



「責任はブラッドに入ってもらう事だ。イヴィリナードを抜けて・・・ブラッドへ来てくれ」



「そ、それはできないです!絶対にできない。私が・・・殺されてしまうから」



「・・・殺される?言ってる事がよくわからない。イヴィリナードは仲間で同志じゃないのか?」



「上面だけです・・・。イヴィリナードは3人のマスターが居るんです。死咲さんも知っている封凪さん、その他に2人居るんですよ」



何だと?そんな事一言も聞いていない。それなら・・・封凪が言っていた言葉が崩れる。異世界QUESTへの招待の仕組みがおかしくなるだろ。入峰が封凪を招待した時点で招待を送れる人物は居ない。



入峰が2人や3人に招待を送れるとか?それなら異世界QUESTに参加している人物は未知数だ。



「他の2人の名前は?」



「えっとー無田むた 喜佐美きさみさんって方とあと1人が思い出せないです。メモをちょっと見ます」



むた きさみ?すごい名前だな。いや俺も死咲って苗字も相当やばいと思うが、きさみって名前にする親も特殊だな。苗字は変える事はできないし、自分で付ける事は不可能だ。宇敷は少ししてもう1人の名前を言う。



「これですね!すごい苗字だから読みづらいですけど、魔堕羅まだら あんっていう女性です」



「・・・今、魔堕羅って言ったか?」



「はい。杏ちゃんとは面識はありますよ。確か暴力団組織の1人娘だったって言ってましたよ」



俺はそれも知っている。松名から依頼があったのはその魔堕羅 杏について依頼だったからだ。なるほどな、俺達は魔堕羅 杏が夜遊びをしているから、何をしているか突き止めてくれと言われた。



3日ほど尾行をしたり、向かう先を見張ってたりしたが、すぐに消えてしまう事が多くて依頼は終わった。特に変な店には行っていない事がわかったからだ。消えたのは異世界QUESTの世界に行っていたからか。



てことは春が言っていた話と繋がる。魔堕羅 杏が魔堕羅組の人間を異世界QUESTに誘っていた。それで失踪しているってことか。もしかして松名ももう異世界QUESTに関わってるかもしれないな。



「話は戻すが、何故イヴィリナードに上面だけ所属している?誰かに脅されたとかなのか?」



「無田さんが裏切者には死だとか言ってたから殺されると思っただけです・・・。イヴィリナードにはさっきも言った通り七海ちゃんが誘ってくれて自然に入っただけ。特に好きでいるわけでもない」



「じゃあ北郷さんも一緒に抜ければいいんじゃないのか?まず北郷さんは何でイヴィリナードに?」



「・・・来栖さんが居るからです」



来栖が居るから?・・・どういう事だ?来栖は北郷にケガを負わせた張本人だろ?



「説明してくれるか?」



「はい。来栖さんが北郷さんにケガを負わせたと封凪さんや死咲さんは思ってますよね?実は・・・違うんです」



「え?」



「本当の犯人は別に居ます。イヴィリナードは密かに犯人を捜している途中です」



「ちょ、ちょっと待ってくれ。全然話が見えない。来栖は北郷さんにケガを負わせて逃げただろ?何故逃げる必要がある?」



「わざとです。来栖さんは・・・死咲さんからしたら悪人だと思いますけど、私と七海ちゃんからしたら善人なんですよ。それだけは分かってほしいです」



「善人・・・か。いきなり飛び蹴りをしてくる男が善人なのか?」



「あれは・・・死咲さんが悪人に見えたんじゃないですかね?わかんないですけど」



見た目的に俺も善人と呼べる人間ではない。来栖は俺を警戒していただけってわけか?何か複雑な気分だ。悪人か善人かなんて見た目だけで判断できないってことか。



「あのー来栖さんは無事ですか?」



「死んだよ。異世界QUESTの中で入峰に殺された」



「・・・嘘ですよね?」



「本当だ。俺もその場に居た」



「それは本当に入峰さんでしたか?」



「ああ。アイツが来栖を殺したよ。そして転生者と自分で名乗った。アイツは異世界QUESTで何かしようとしている」



「・・・・・・」



宇敷は下を向いて、何も話さなくなった。いや・・・違う。下を向いて泣いている事に気づいた。俺は・・・これ以上何も言う事はできない。来栖と宇敷達には色々関係があったんだ。俺が知らない関係が。



少し経つと、宇敷は持参しているハンカチで涙を拭いて、顔を上げる。



「死咲さん。私は何としてでも来栖さんの仇を討ちたい。その為にはイヴィリナードより死咲さんと一緒に行動した方がいいかもしれません。そして出来れば・・・七海ちゃんも一緒でいいですか?」



「もちろんだ」



「ありがとうございます。海埜さんの事、本当に申し訳ありませんでした。私は死咲さんのギルドに入ります。それでお願いがあるんですが、イヴィリナードから何かあったら・・・」



「俺の仲間は強力だ。絶対にイヴィリナードから守ってやる。だから絶対に海埜の仇、来栖の仇をとろう。そして異世界QUESTを…この手で終わりにさせたい」



異世界QUESTを終わらせる方法はわからない。でも絶対に方法はあるはずだ。



「じゃあこれからよろしくお願いします。・・・それと1つ気になる事があるんですけど」



「何だ?」



「来栖さんは入峰さんに殺されたと言ってましたが、遺体は何処にありますか?」



「え?異世界QUESTに置いてきたけど・・・」



「・・・死咲さん。もしかしたらまだ来栖さんは死んでいないかもしれません!」

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