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異世界QUEST  作者: ヴェイン
Act.2
64/74

宇敷 紗耶香④

次の日、俺はすぐに宇敷へと電話を掛ける。海埜を異世界QUESTに誘った理由を聞き出すためだ。

電話越しではうまく伝わらないはずだから、2人で会う事になった。



宇敷は高野台に住んでいるため、さすがにこっちまで来てもらうのは気が引ける。悪いがまた春に送迎を頼みしかないな。



「昨日今日でよく僕を使いますねー」



「給料払ってんだから働けって」



「いやこれ死咲さんのプライベートなんですよね?」



「いいから送ってけ。金は払うからよ。100円でいいか?」



「うっわ!ブラックすぎますね。辞めよっかな~」



「1万出す」



「さぁどこまで行きますか!?どこでも行きますぜ!!」



春とくだらない会話をして俺は高野台にあるレストランへと向かう。そこで宇敷と会う約束をした。春は1万円貰えるって事でうきうき気分で

送迎してくれる。・・・異世界QUESTの報酬とか封凪に貰おうかな・・・。



車で20分ぐらいで高野台に着いた。スマホのマップアプリでレストランの場所を確認する。午前中の10時近い時間だったせいかそこまで混んではいなそうだ。



レストランの目の前に着き、春の車から降りた。その際に1万を要求していたが、後払いということでその場を切り抜ける。不満そうな表情を春はしていたがすぐに納得して、その場から居なくなった。



レストランに入ると、宇敷が席に座っていた。スーツ姿で長髪の髪をおろしている。前は縛っていたから雰囲気が違う。てかよく見るとスタイル良いし、モデルに居そうな感じだな。



「お客様、何名様ですか?」



「あ・・・ああ。待ち合わせで、あそこの席です」



店員から咄嗟に聞かれ、俺は店員に案内されて宇敷の目の前の席に着く。俺は特に恰好を気にしていなかったから、適当なジャケットに下は黒いスキニージーンズだ。



「すいません、少し待ちましたか?」



「いえ大丈夫です」



「何か飲みますか?」



「じ、じゃあアイスコーヒーを1つ」



「わかりました」



俺は店員を呼んで、アイスコーヒーを2つ頼む。俺もアイスコーヒーが飲みたかったし、丁度良かった。

すぐにアイスコーヒーが来て、一口飲んでから本題へと入る。



「今日呼び出したのは、海埜 義宗の事なんだ」



「え?」



「封凪から聞いたよ。海埜を異世界QUESTに招待したのは・・・宇敷さんだって事を」



「封凪さんが・・・言ったんですか?」



「そうだ。でも・・・本人に確認したかったんだ。だからこうやって呼び出したんだ。・・・嘘はつかないでくれ。海埜を異世界QUESTに招待のは宇敷さんか?」



「・・・」



少しの沈黙が続く。宇敷はアイスコーヒーをもう1回飲んで、コップをテーブルに置いてから話始めた。



「私が・・・海埜 義宗さんを異世界QUESTに招待しました。それは間違いないです」



「・・・・・・」



俺は今どんな感情なんだろう。宇敷に怒りを感じているのか、哀れみを感じているのか・・・それとも宇敷が海埜を招待しなかったらこんな事になることもなかったという哀しみか。どれかはわからない。



自分で自分の表情を確認できないが、宇敷は俺の顔を見て驚いていた。



「・・・も、申し訳ありません!私が・・・全て悪いです!海埜さんを・・・海埜さんを殺したのは私・・・みたいなものです!」



「え?急に・・・どうして?」



「死咲さんが泣いているから。私は・・・ずっと後悔していました。海埜さんが居なくなってからずっと!ずっと!!ずっと!!!私のせいでこんな目に合わせてしまったと!いっそ私が死ねば良かったのに!」



俺は・・・泣いているのか。テーブルには目から流れた涙がポツリと落ちた。宇敷は今後悔しているといった。だから海埜を陥れたりする為に異世界QUESTに招待したわけではない。



「宇敷さん、詳しく聞かせてほしい。何故海埜を異世界QUESTに招待したのか」



「わかりました。私と海埜さんは一緒の会社で働いている同僚です。そして私は海埜さんと一緒に異世界QUESTをやってみたいと思いました。だから招待して異世界QUESTを一緒に・・・」



「海埜を好きだったのか?」



「え?」



「どうなんだ?」



「す、好きですよ。それは良い人だし、仕事もできるし。でも好きっていう感情を私は伝えるのが苦手で・・・異世界QUESTをやっていく内にもっと話ができればいいと思っていて」



宇敷は焦りながらそう言った。要する会社で海埜を好きになり、一緒に異世界QUESTをやりたくなったってわけだ。これは宇敷が完全悪いわけではないが、少しは宇敷にも比はある。



「異世界QUESTは危険な存在だと気づいていなかったのか?そもそもイヴィリナードは普通じゃないだろ。何でそこに居るんだ?」



「七海ちゃんから誘われたから。それで自然とイヴィリナードに・・・」



「七海ちゃん?誰だ?」



「北郷 七海。あの時ケガを負った女性です」



北郷の名前が七海ってわけか。下の名前で呼ぶってことは友達か何かなんだろうな。封凪の言っていた事はこれであっている。宇敷を誘ったのは北郷だ。北郷がイヴィリナードに居るから、宇敷もそこに所属している。



そういえば北郷は無事なんだろうか?入峰が確か北郷を連れて行った気がする。でも入峰は異世界QUEST【織田の乱】に居た。・・・もしかして入峰は北郷を・・・



「宇敷さん、北郷・・・さんは無事なのか?」



「大丈夫です。入峰さんが異世界QUESTに連れて行って何とか無事みたい」



「そうか、それは良かった。・・・海埜の事はわかった。あなたは海埜を好きだったから招待しただけ。一緒に異世界QUESTをやろうと思ったと。でも異世界QUESTで死人が出るとは思わなかった。そういう事だよな?」



「申し訳ありません!本当に・・・本当に!」



「もう責めないですよ。でも・・・責任は取ってもらわないといけない」

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