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異世界QUEST  作者: ヴェイン
Act.2
63/74

ブラッドの情報屋

「そうか・・・。俺も宇敷が海埜を招待した理由はわからない。その事は本人に聞くしかない。それはそれで死咲、戦力の集め方は任せるがイヴィリナードは・・・どうするんだ?」



「すまないが、抜けるしかないな。俺は新しく組織を作ってこちら側で進めていこうと思う」



「そうか。ただ1つだけ言っておく。イヴィリナードは全員が悪ではない。善も居る。・・・宇敷もその1人だと思う」



宇敷は善・・・か。俺からしたらもう悪よりになっているんだが、とりあえず話を聞かないとわからないよな。海埜の死について・・・そして海埜がもし生きていたとしたら・・・俺が次は助けなきゃいけない。



今日は夜も更けている。自分の家に戻って休むとするか。明日宇敷と話をして、海埜との関係を聞き出す。

ここから家まで遠いから、封凪に扉を出してもらう・・・



「あれ?いない!?」



くそっ!もう帰ったのか。こっから歩くのはしんどい。・・・迎えに来てもらうか。俺の仲間である男に。



約1時間後



「拓翔さん、僕を足に使うのはやめてほしいって言ったじゃないですか」



「そう言って来てくれるお前は優しい奴だよな」



「それは…住ませてもらってる身でもあって先輩なわけだし」



俺を迎えに来てくれたのは、ブラッドのメンバーである景鳴かげなり はる。年齢は20歳で、ブラッドの情報屋として働いてもらっている。情報収集能力が高く、依頼もすぐに見つけてくる。見た目は幼い顔をしているから、よく高校生に間違われると言っている。

身長が160cmぴったしで、髪は短髪で少し金色にしている。



ブラッドは今のところ、夜形と春と俺の3人で活動している。ただたまに・・・もう1人が現れるが俺は一員とは認めていない。



「最近は忙しそうですね。異世界QUESTでしたっけ?」



「ああ」



「僕思うんですけど、海埜さんって本当に生きて」



春がそう言った瞬間、俺は春を睨む。こいつは海埜の事を俺の話でしか知らない。だからそんな事を言えるのか?海埜はそんな簡単に死んで良い人間じゃない。



「海埜は生きてるに決まってんだろ。変な事を言うんじゃねー」



「ご、ごめんなさい」



そこから少し沈黙を続いたが、春は最近のブラッドについて話始める。



「依頼はそこまで来てないですけど、気になる事はありますね。暴力団組織の魔堕羅まだら組が不穏な動きをしているとか」



「魔堕羅組?前に依頼があった松名まつなって奴が所属している組か」



「はい。松名まつな雪秀ゆきひで。魔堕羅組の若頭も1人で、相当魔堕羅組でも権力をかざしているみたいですね。で、不穏の動きなんですがそれが・・・」



「何だよ?」



「急に消えるみたいです」



「はい?」



「魔堕羅組の一員が急に消えるって噂があって、それが他の組織から不穏な動きをしているって情報が上がってきたんです」



春は急に饒舌になってそう言った。急に消えるってそんな不可思議な事が起こるわけがない。ただの見間違えとかって可能性があるだろ。



「消えるなんて、そんな事あり得ないだろ。異世界QUESTじゃないんだから・・・・・・異世界QUEST?」



「あ、着きましたよ!」



俺と春は車から降りて、ブラッドの事務所へと入る。ブラッドの事務所は2階建てで2階が俺達が住んでいる部屋がある。何故こんな2階建ての事務所を持っているのか?



全ては春のお陰でもある。春は情報屋で高く情報を売買している。だがそれとは関係ない事があった。たまたま宝くじを買って、1等を当ててしまったんだ。それで家事買ってしまい、事務所と家にしたんだ。



だから春は俺に感謝するんではなく、俺が春に感謝しなきゃおかしい。



俺は事務所の椅子に座って、一息ついた。時刻は既に夜1時を過ぎていた。春は眠気がひどいのか「おやすみなさーい」と言って自分の部屋へと行ってしまった。



・・・さっきの話で異世界QUESTは他の者には扉は見えない。異世界QUESTに参加している者だけが扉を見ることができる。

魔堕羅組の一員が急に消えてしまう事が起きている。それは異世界QUESTの扉に入ったからじゃないか?



魔堕羅組にも異世界QUESTに参加している人物が居るってことか?でもそれなら誰が招待を送っているんだ?もしかして他にも入峰やナギトみたいに転生者が存在しているのか?



あーなんか考えすぎたな。今日は色んな事がありすぎて疲れた。俺も早めに休んで明日宇敷に話を聞こう。先にメールでも送っておいて寝るとするか。適当に文章を考えて、メールを送信した。



俺は自分の部屋に戻る気力もなく、1階の事務所で寝てしまった。

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