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異世界QUEST  作者: ヴェイン
Act.2
59/74

死咲 拓翔と海埜 義宗

俺がやらなきゃいけない事は海埜についてだ。



海埜 義宗とは前に少し話した通り、俺が親を殺害しようとした事を全力で止めたのが海埜だった。アイツとはそれから親友とも呼べる仲になった。遡る事7年前。俺達が高校2年生の頃の話だ。



倉須磨くらすま高校と呼ばれる偏差値も平均の高校に俺と海埜は通っていた。しかしそこには近隣の高校まで噂が轟く喧嘩王と呼ばれる男が通っていたんだ。しかも同じ高校2年生で俺達タメでもあった。



普通に暮らしていれば関わる事のない。てか関わる事を皆は恐れているから、自ら関わりに行く事はない。だが俺は髪を赤に染めて、授業も一切聞かずに荒れ狂っていた。それは全て親に対するストレスを解消するためでもあった。



この見た目のせいか、他校の不良から絡まれる事が多かった。でも俺は何気に喧嘩が強くて、力もあった。だから俺の名前も意外に噂になってたりもしていた。



そして海埜 義宗は至って普通の高校生だ。不良と関わるような奴では絶対になかった・・・はずだったが、ある出来事で海埜の名前は有名になってしまった。



俺は自分のクラスメイトなんて名前も全然覚えていなかった。ある出来事によって海埜と一緒のクラスだと気づいたんだ。



たまにクラスで授業を受ける事もある。荒れ狂っていても高校は卒業したいから、常にサボっているわけでもない。海埜はその頃、静かで髪は長髪で身長も低い。そして顔つきが女性らしさもあった。



そのせいでいじられたり、からかわれる事があった。でも海埜は一切構わずに携帯を触っていた。そこである女が海埜に一言言った。



「海埜ってホントは女なんじゃないの?あたしより顔綺麗だし!ねぇー1回ここで裸になってみてよ!」



海埜はその女からの言葉を無視して携帯に夢中になっている。俺なら睨みつけてしまうかもしれない。その様子を遠くから見ていて、無視された女は海埜の手を掴んだ。



「海埜、耳ついてる?ここで脱げって。いますぐ!」



「・・・・・・」



「なーんかむかつくんだよね。その態度何?喧嘩売ってるの?」



「・・・関わらないでくれないかな。俺に」



「おい!せきになんて口聞いてんだよ!」



外野の男が海埜の言葉に突っかかっていく。関は女性の名前だ。多分関を好きであろう男が突っかかっているんだろうな。

でも海埜は謝ろうともしない。



「・・・・・・」



「ムカつくんだよ!その態度が!!お前はいつも無視ばっかしやがってよ!!」



「そうね。もう・・・やっちゃおうか」



関がそう言うと、怒っている男が海埜のズボンに手をかける。多分強制的に脱がせようとしているんだろう。

高校生にもなって何やってんだよこいつらは・・・。海埜も何故言い返さないんだろうか。



「くそっ!ベルトが邪魔しやがる!」



「あたしが外すよー。ベルト外す女なんて男にとってはご褒美でしょ~!喜べよ海埜!」



2人がかりで海埜のズボンを下げようとする。・・・海埜は何もしない。何故だ?何故抵抗をしない?

・・・すると関がベルトを外した瞬間に海埜は机に置いてあった携帯電話を投げた。



それは何故か俺だ。俺は携帯電話をキャッチして、画面を見る。するとカメラモードになっていた。



「・・・下げたら撮れ。死咲 拓翔」



「は?」



と俺が言った瞬間に海埜のズボンが下がってしまう。海埜の下半身はパンツのみの状態になっていた。

普通のトランクスで、男性である事がわかる。俺はすぐにカメラで写真を撮った。



運よく男が海埜のズボンを掴んでいる瞬間だ。



「撮れた。ほら」



画面を海埜に見せて、海埜はそこから動き始めた。ズボンを速攻上げて、すぐに男の顎へと膝蹴りを入れた。

ちょうど海埜の足元にいたせいか諸に決まっている。



「ぐはああ!!頭がああああ揺らぐーー!」



「俺は・・・もう我慢しないからな」



そう言って、右手を振りかぶって男の顔面へと思いっきりストレートのパンチを放った。男は辺りにある机に背中から当たりながら、床へと倒れこむ。そして原因となった関をも殴ろうとしたが、海埜は止めた。



関は驚き、尻餅をついて目からは涙を流していた。海埜からの恐怖の涙なのだろうか。

こいつ・・・強いじゃねーか。ずっと我慢していたってわけかよ。



「目立ちたくない・・・。これは正当防衛だ。証拠も撮ってある。・・・どうする?先生に言うか?それとも警察か?」



「・・・ご、ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいいい!」



「謝るなら最初から・・・俺に関わるなよ」



これがある出来事だ。海埜が一瞬で有名人になった出来事。クラス連中はそれ以来海埜をからかう事も無くなった。その代わりに

俺が海埜と絡むようになり始めた。




海埜は何故俺に携帯を投げたか。それはただ俺が良い奴だと知っていたからだと言った。ただの荒れ狂ってる不良の俺をだ。

傍観者気取っていた俺を何故良い奴だと思ったのか?



「死咲は優しいオーラが出てる。でも不良ぶっている。それが何故かわからない」



優しいオーラってなんだよと思ったが、その言葉に悪い気はしなかった。ここから俺と海埜は友達になったんだ。



そして1か月後、海埜はある男に目を付けられた。

この高校にいる喧嘩王と呼ばれる男からだ。

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