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異世界QUEST  作者: ヴェイン
Act.2
58/74

推測による真実

ナギト。俺はその言葉を聞いたことがある。封凪がしれっと言った事を思い出したからだ。



『俺は死ねないからだ。ナギトを殺すまでは』



その時は何を言っているのかはわからなかった。ナギト・・・こいつが異世界転生者と封凪は言った。そしてあの時の話は、

海埜 義宗に関する話だった。



「封凪」



「前までは封凪 玲とフルネームで呼んでいたのにどうした?」



「今は関係ない事だ。ナギトは海埜を殺した犯人か?」



これは真実かはわからない。もしかしたらナギトは封凪がただ殺したい人物なのかもしれない。でも海埜の話の流れでナギトと言うはずはない。ナギトは・・・海埜を殺した犯人。



「そうだ。ナギトが海埜を・・・。あの時に見せた動画の犯人がナギトだ」



「今すぐそいつの元へ案内しろ」



「無理だ」



「はぁ!?さっき会っていたんだろ!?」



「死咲。俺は今まで入峰が転生者だとは知らなかった。今死咲に聞いて初めて知ったんだ。

でもそれがナギトが異世界に帰った事と繋がった。ナギトは入峰に任せて帰ったんだとな」



全然話が見えてこない。封凪は何を言っている?その時、空から冷たい水滴が俺の頬へと当たる。雨が降ってきてしまった。運が悪すぎるだろ。



「雨が降ってきた。すぐにどこか建物のある所に」



「死咲。俺はお前に頼みたいことがある」



「いやそんな話は」



「この異世界QUESTの首謀者を・・・見つけてくれ」



・・・その言葉を言った瞬間、近くに雷が落ちたような轟音が響き渡る。異世界QUESTの首謀者?

それは入峰じゃないのか?ナギトってやつではないのか?



「入峰とナギト・・・」



「違う。入峰に誘われたのは1年程前だ。入峰は初めて異世界QUESTに俺を誘ったと言っていた。

ナギトは誰も誘ってはいない。この近辺で異世界QUESTを行っている者は少ない」



「もう謎だらけの会話は無しだ。答えを言ってくれ」



「入峰→封凪→来栖→久喜夜→北郷→宇敷・・・そして海埜」



「ん?なんだそれは?海埜の前は宇敷?」



「海埜は次はお前だ。そして夜形だっけか?」



俺はそれを聞いて、全てが繋がった。さっき言った封凪の名前の繋がりは異世界QUESTの招待順だ。

俺の次は夜形だ。そしてそこから導き出せる答えが出た。



「海埜を誘ったのは宇敷。あいつが・・・あいつが海埜を!」



「何故海埜を選んだかはわからない。それは宇敷本人に聞くしかないから」



「あいつが海埜に異世界QUESTを紹介しなかったら、海埜が死ぬ羽目にはならなかった。アイツが殺したも同然だ!」



「まだ海埜が死んだと決まったわけじゃない!」



「でもナギトと一緒に海埜は居なかったんだろ!?」



さっきナギトと会ったと封凪は言った。その時に海埜が居たとはまだ一言も言っていない。てことは居なかった確率の方が高いだろう。

海埜は死んだと思うしかないだろう。



「俺の推測だが、ナギトは異世界を行き来できると思う。この世界に突然現れるのがナギトだ。なら普通は何処に居るか。

アイツは異世界とこの世界を行き来して様子を見ている」



「封凪の仮定を軸に話すとして、ナギトは何をしたい?そんな事をして」



「・・・これは本当の俺だけの推測でしかない話だ。ナギトはこの世界に異世界の力を使えるように計画しているのではないか?」



「ん?・・・え?」



封凪の話す一言一言が俺の頭を搔き乱していく。正直これは現実の話なのか、それともゲームの話なのかわからなくなってくる。異世界の力を使えるように・・・だと?



「俺達は異世界QUESTをCLEARして、レベルを上げる事で身体能力が上昇していく。それは現実世界でも持続されている。それは知っているか?」



「いや知らない。そんな事が可能なのか?いやどういう原理だ?」



「それは俺にもわからない。ただ異世界の力と考えられるなら何でもありだろう。異世界はゲームの世界のように魔法を使えたり、魔物とかと戦って自分自身を強化できる。それを現実にも持続させるような・・・魔法があるのかもしれない」



「全ては推測による真実だ。証拠が何もない」



「異世界QUEST。それが証拠にならないか?現実にはあり得ないものが存在している。それも一部の者が見えている。・・・異世界の力を得たもののみが」



俺は封凪の言葉が嘘か本当かはわからないが、意外にも真実味がある。全ては転生者と呼ばれる者が起こした・・・世界征服みたいなもの。この世界を異世界の力で支配する。・・・もしそんなことになれば世界は大混乱するだろう。



「今までの話・・・全てが真実になるなら、絶対に止めないといけないな」



「そうだ。だから死咲には・・・戦力を増やしてほしい。そして入峰を招待した者を聞き出してくれ」



「戦力を増やす?どうやってだ?」



「繋ぐんだ。招待を繋ぐ。今は夜形が異世界QUESTの招待の権利がある。それを次へ次へと増やしていく。

それを決めるのは死咲と夜形だけだ」



要するに封凪は戦力を増やして、この異世界転生者達の目論見を止めようと考えている。最初から封凪はその為に動いていたのか?

でも何故それを封凪がやるのか。それの意図がわからない。



俺は海埜を殺されて、そのために異世界QUESTを始めた。アイツを殺した奴を倒すために。殺すよりも罪を償ってもらいたい。

もしかして封凪も同じような事情があるのだろうか?



「封凪、お前は何のために異世界QUESTをやってる?」



「この世界を守るためじゃないのか?」



「そんなの偉い奴らに任せればいいだろ。俺達が抗おうといずれは国が動く、政府が動く。無理に俺達が戦う必要はないんじゃないか?」



「・・・・・・」



「どうなんだ?封凪」



「・・・俺は異世界QUESTで全て失った。家族、親友、親戚・・・全てだ。だから異世界QUESTを何としてでも終わらせないといけない」



「全てだと・・・?」



封凪は俯き、俺に顔を見られないように背を向けている。異世界QUESTで全て失った。俺なんかより壮絶な意図があったなんて・・・無理に聞かなければよかったな。封凪の過去をそれ以上俺は聞くことはなかった。



「俺は戦力を増やす。それはわかった。でも1つやらなきゃいけない事がある」



「ん?それはなんだ?」

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