異世界QUESTについて
【視点変更 夜形 息吹 ⇒ 死咲巧翔】
「入峰。お前来てたのか」
「死咲、それと・・・お前は」
「夜形だ。噂は知ってるだろ?警察の1人で異世界QUEST対策室の人間だ」
俺が夜形について紹介するが、そんなの知っているかのように夜形を睨みつける入峰。多分俺と夜形が何故一緒に居るのか疑問なんだろう。
でも今は説明している暇はないだろ。来栖を捕まえないといけない。
「・・・死咲、あとで説明しろ。対応よっては、イヴィリナードから追放だ」
「それを決めるのはお前じゃないだろ。リーダーである風凪 玲だろ」
「何でこの異世界QUESTにきた?来栖に何で執着する?」
「アイツが気に食わないって理由はダメか?今アイツを止めないと犠牲者はもっと増える」
「・・・来栖はこの奥にある城の中にいるだろう。ボスである織田信長と戦っているはずだ」
織田信長と戦っている?俺はいまいち来栖の行動がわからない。何故逃げているだけなのに異世界QUESTをCLEARしようとしているのか。普通ならCLEARせずに引き籠ればいいんじゃないか?入峰にそのことを聞いて、納得する答えが返ってくるだろうか?
「入峰、来栖はなぜ異世界QUESTに逃げた?」
「異世界QUESTで異世界に行くつもりなんだろう」
「・・・何言ってんだ?」
異世界QUESTで異世界に行く?どういう事なんだよ。入峰が急に突拍子もない事を言った。異世界なんてまず存在するのか?漫画やドラマ、映画だけの話だろう。
「異世界ってなんだよ?」
「警察でもまだそこまでは調べきれてないみたいだな。異世界は存在する。だって・・・異世界QUESTを作ったのは、異世界へ転生した人間だからな」
「!?」
異世界へ転生した人間?これもよくある映画の話じゃないのか?現実にそんな事ができるのか?人間が異世界に転生なんてできるわけがないだろう。入峰は俺達に嘘を言って、来栖を助けたいだけか?
「おい、異世界について説明してない。警察としては見過ごせない事だ」
「今の警察は現実しか信じないからな。それがこの日本を腐らせているとも知らずにな」
「ふざけんなよお前…。すぐに逮捕してやる」
「・・・そんな事をしている暇はない。この異世界QUESTをCLEARしないと現実にも戻れないからな。来栖を見つけるぞ」
入峰はそう言って、壊れ始めている城の中へと向かって行く。入峰の話はよくわからない事が多い。異世界に転生した人間が異世界QUESTを作った。それが本当ならその人物に異世界QUESTを終わらせる方法を聞けるかもしれない。
海埜が死んだこの異世界QUESTをすぐに止めるためにだ。他の犠牲者は出したくない。そして運良く海野を殺した犯人を見つけられればいい。そいつを殺して全てが終わりだ。
「行くぞ夜形!」
入峰の後を追って、俺達も城の中へと入る。城の中は崩れている個所多く、何とか階段を見つけて上へと登っていく。
これは何を再現しているのだろうか?織田軍と戦っているのは確かだが、ここまで窮地に追いつめられる織田軍って本能寺の変ぐらいしか思いつかないような。あまり歴史に疎いから他にもあるだろうけど。
「本能寺の変・・・か。織田信長が死んだとされる戦い」
「夜形もやっぱりそう思うのか?」
「明らかにそうだ。城が最後の死に場所かわからないが、似ている事は似ている。そして最後の4人の敵は・・・」
俺達は入峰へと追いつき、入峰は誰かと戦おうとしている。来栖ではないことは確かだ。なら歴史人物の誰かって事になるだろう。
「死咲と夜形、お前達は先に行って来栖を止めろ!アイツは異世界へ逃げる気だ」
「本当に異世界に行けるのか?」
「ああ!アイツは転生してきた人間と親しいからな!絶対に逃げるはずだ!だから行け!俺はこいつを倒してから行く!」
入峰の目の前にいた敵は入峰へと攻撃を開始した。入峰の武器は刀。普通の刀に見えるけど、何かしら俺と同じように特殊な能力があるんだろう。そんな事はあとで考えればいい!俺達は来栖を止めないといけない!
「父上の元へは行かせない!この織田信忠があなたを殺す!」
織田信忠という武将が入峰を止めようとしている。その声が聞こえて俺達は先へと進んでいった。
最上階についた俺達を待ち受けていたのは、織田信長と明智光秀の2人だった。その2人と会話している人物が見える。それは来栖だった。
アイツ・・・敵と何を話しているんだ?
「来栖!!」
俺はそう叫ぶと、来栖は俺の方を見て睨みつけた。同時に織田信長と明智光秀もこちらを見ている。さすがに3対2は勝てない。しかも総大将クラスの敵と戦うのは伊達政宗以来だ。1人でも苦戦したのに2人は無理だ。
「死咲だっけか?隣には意外にもサツがいやがる。なんだ?俺を捕まえにきたのかああ?」
「お前をここで止める!罪は償ってもらう!」
「何も知らない奴が口を挟むな。実際に俺がやってないかもしれないだろう。知ってるのは実際に居た人物のみだ。部外者は引っ込んでろ」
「異世界・・・お前は異世界に行けるのか?」
「なにっ?」
「異世界へ俺達も連れていけ」
「・・・何を言っているんだお前は?正気か?」
来栖は本当に異世界に行く気なのか?これははったりの言葉だ。本気で異世界へ行きたいわけじゃない。もし本当に行くならこんな回答はしないだろう。何かがおかしい。
「誰がそんな事を言った?」
「入峰だ」
「・・・ようやくわかった。なるほどな!自らが言ったか。死咲、敵は俺じゃねえええ!入峰だ!アイツが・・・異世界に転生した人間だあ・・・」
バンッ!!
「うっ!!!」
俺の目の前で喋っていた来栖はその場に倒れた。銃による攻撃を喰らったからだ。銃を発砲したのは俺でも夜形でも織田信長でも明智光秀でもない。俺の背後に居る人物は、
「ばれたか・・・仕方ない」
入峰 是郁だ。




