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異世界QUEST  作者: ヴェイン
Act.2
55/74

織田の乱➁

【視点変更  死咲巧翔 ⇒ 夜形 息吹】



隣では俺の親友であり、ブラッドのマスターの死咲巧翔が敵と戦っている。いきなり異世界QUESTに参加した俺は何が何だかわからない状態だった。本当にこんな世界がある事に驚きを隠せない。



辺り一面は戦場と化してる。火矢か銃かわからないが、焼野原の状態になっており、その中でも兵士は戦い続けている。

【織田の乱】という異世界QUESTだから、織田軍とどこかの軍団だろう。



そして目の前に居るのは織田軍の配下にいる森蘭丸だ。小柄な身体をしているし、まだ少年って感じの顔つきだ。刀を両手で持って攻撃を仕掛けてくる。俺の武器は大槍で、ただ防御の体勢で構えて刀の攻撃は防いだ。



「危ないな」



『信長様に刃を向ける者は倒すのみです。いきます!』



 森蘭丸は速度を上げて、刀を振り下ろしてくる。意外にも力が強く、体勢が崩れそうだ。レベル1の俺にはまだ荷が重かったのか?



「ぐっ!!」



『はぁあああ!!!!』



シュンッ!!



俺は防御を崩されてしまい、刀の斬撃を喰らってしまう。身体からは少しずつ激痛が走り出す。…これが異世界QUESTか。

…何だよ、一撃で死ぬんじゃないのか。



警察官は1発もらえば致命傷だ。警察官に関わらず人間はそういう生き物だ。



「やってやる。森蘭丸、お前を倒す」



俺は大槍を持ち、思いっきり横に振りかぶる。森蘭丸は大槍の攻撃範囲内にいたせいか、大槍の攻撃を喰らった。

何か運が良くない?



「ん?よく見たら大槍の先端が青く光っている。もしかして・・・武器の特殊能力か?」



どういう特殊能力かはわからない。死咲に少し聞いたが、武器と自分自身に能力が1つずつあるそうだ。武器の特殊能力は何なんだろうか。森蘭丸は攻撃を喰らったが、軽傷だったようだ。



『手ごわいですね』



「まだレベル1だけど・・・」



『全力で行きます!』



「いや話聞いて・・・ないよね」



俺はずっと全力なんだけど…。森蘭丸の次の攻撃は全力で来る。警察官だが戦闘訓練はそこまで積んでいない。ブラッドでも

戦闘の依頼も多くないから、人対人はそこまで経験がない。



でもこれはゲーム。相手はゲーム上の実在していない人間だ。そう思えば敵に攻撃しても罪は問われないと考えている。でも実際に自分の体を動かしているのがすごい。どういう原理なんだろうか?



燕剣つばめけん!」



 森蘭丸の刀は白く光ると同時に刀を縦に振り下ろす。すると俺に向かって白いオーラみたいなものが迫ってくる。こんなのゲームの世界でしか見たことないものだ。避けるか?ガードするか?



 俺は避けるを選択した。それはすぐに過ちの選択だと気づいた。白いオーラは3つに分裂し、左・中央・右と別れて向かってきたからだ。避けた俺の先には白いオーラが迫っている。



「くっそ!!」



 ガードのタイミングが左脇腹辺りにオーラは命中する。これは・・・痛いな。まるで斬られたような痛みだ。



『燕剣を喰らって死ぬと思っていましたが・・・あなた何者ですか?』



 森蘭丸は静かに俺へと近づいてきた。今は倒れていて、立ち上がるのに精一杯だ。近くに落ちている大槍を何とか拾う。

 立ち上がった瞬間、目の前には森蘭丸が刀を構えて立っていた。



 シュンッ!!



刀を振ってきた森蘭丸の攻撃を間一髪大槍でガードした。大槍の先端に剣が命中し、俺は大槍でよかったと思った。これが小さな剣や槍だと

 ガードなんて成功しなかった。



『は!?』



ん?森蘭丸は自分の刀を見て驚いている。どういうことだ?



『刀にヒビ?なぜですか!?』



ヒビだと?俺は大槍を見てみると、先ほどと同じく先端が青く光っていた。その状態でガードしたら森蘭丸の刀にヒビが入った。

てことは・・・もしかして俺の特殊能力は、



「喰らえ!」



俺は森蘭丸を大槍で突いた!森蘭丸は刀でガードする・・・が、その瞬間、



パリィーン!!



『えええ!!?』



刀が真っ二つに折れると同時に、地面へと落ちた。俺の特殊能力は武器を破壊する能力だ。…たぶんだけど。

ここから俺はもう1度森蘭丸へと大槍を突いた!



『まさか・・・私が負ける?信長様もを守れるのは私だけなのに』



森蘭丸の胸に大槍が突き刺さり、胸から大量の血が噴き出した。この世界でも血は赤色なんだな…。てかリアルすぎるゲームだ。

この異世界QUESTはレベルとか関係ないのか?



死咲から聞いたことだと、レベルが上がれば自分自身の身体能力が上がるみたいだが、俺は元々身体能力は良い方だ。だからレベル1でも森蘭丸を倒せたのかもしれない。



いや・・・まだ倒せていない。森蘭丸は胸を押さえながらも立ち上がった。嘘だろ?胸を突かれたんだぞ?



『わた・・・しはまだ・・・戦う。信長さまのために・・・』



「まだ戦うのか?」



森蘭丸へと近づき、俺は大槍を振り下ろした。もう刀も持っていない森蘭丸はガードもできていない。俺に斬られるだけだ。

今度こそ死んだだろ。ゲームの世界では何故か罪悪感が来ない。自分が死と隣り合わせだから、相手が死んでも平気なのだろうか?



「現実世界でもこんな状態なら俺は・・・」



こんな状態。それは自分のことのように言い聞かせた。誰かが死んでも悲しまない、平気な状態になっていたら俺はどうするだろうか?



「夜形!お前よく倒せたな!」



死咲が俺の近くに走ってきた。これでレベルは上がったんだろう。森蘭丸は何レベルだったのかもわからないが、1レベルは上がるだろう。

アナウンスでもあるのか?


『夜形 息吹はLv10になりました。次のLvまであと1人の自分より高いLvの敵を倒す必要があります。

残りの敵は4人です。』



レベル10だと?一気に上がりすぎな気がするが・・・それぐらい森蘭丸は強敵だったってわけか。

隣に居る死咲は驚愕している。


「あと4人だってよ。夜形、これは強者が異世界QUESTに居るってことだ。誰だろ?」



「来栖じゃねーのか?」



「来栖が4人も倒すか?そこまで強くは見えなかったが・・・」



とそこに1人の人物が俺たちに近づいてきた。この荒れ果てている戦場の中で俺たち2人に気づくとかやばいな。

確か・・・こいつは・・・。

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