織田の乱
「これが異世界QUESTか。普通に戦争が行われてるんだな」
「今までとは違う。今回からは軍団を相手にするから敵は多いはず」
まずは来栖を見つけないと。焼野原が続いている戦場、兵士は織田軍とどこの軍だ?分からないが、他の兵士は俺達が見えていないようだ。
襲い掛かっても来ないって事はただの幻影か何かか?
『死咲 巧翔と夜形 息吹が参加しました。残りの敵は10人です』
「は?10人!?」
「何でそんな驚くんだ?」
「今までは1人倒せば終わりだった。だがこれは・・・10人も倒さなきゃいけない」
このアナウンスは戦闘開始の合図と言ってもいいのだろうか?来栖にもこのアナウンスが聞こえているなら、俺達が異世界QUESTに入ってきた事がばれただろう。
『邪魔者が来たな!!しかも2人かよ!これで4人も邪魔者が居るじゃねーか!』
『信長様を守るには排除するしかない。やりますよ兄さん!』
『ああ!ぶっ殺してやるぜ!行くぜ蘭丸!』
急に現れた2人の武将。1人は名前はわからないが、1人は蘭丸と兄らしき人物が呼んでいた。そこまで歴史は詳しくはない。蘭丸と呼ばれた者はまだ少年だ。歳で言うと10代か?
「蘭丸とその兄。そして織田信長の家臣、考えるとすれば森兄弟か?」
「知ってんのか夜形」
「ああ。森長可と森蘭丸。信長のお気に入りの家臣の1人だ。まぁまぁ活躍した武将のはずだ。これは初戦にしては手ごわいぜ」
「いやそんな事言ってる場合じゃねーだろ。戦うしかない!」
「死咲、俺はまだレベル1だ。武器もない。てか武器ってどうやって手に入れるんだ?」
「いや今説明している暇がない!!」
俺が喋った後すぐに森長可がこちらへと攻撃を仕掛けてきた。俺は何とか刀でガードするが力が思ったよりも強い!簡単に倒せる相手ではなさそうだ。
「お?武器が空から降ってきたぞ!?」
「そんなわけない・・・まじかよ!!」
夜形の方をちらっと見ると、空中に光輝く武器が浮いていた。本当に空から降ってきたのか?夜形の武器はなんだろうか?
「なるほどな。俺の武器は大槍ってわけか。警察官だから銃とかではないんだな」
夜形の武器は大槍だ。両手で持った大槍は思ったよりも大きく見える。
さすがに1人で2人を倒すのは無理だ。1人は夜形に任せる他ない。
「夜形!森蘭丸を倒してくれ!」
「できっか?レベル1だぜ?」
「お前なら出来る。俺はお前を信じている。ブラッドの一員として!」
「仕方ないな。ブラッドの長はお前だ。その部下の俺が無理とか言ってられねぇーよな。しかも警察官は正義の貫かないといけない。正義を貫くならば・・・強くあらなきゃいけない!!」
夜形は森蘭丸と対峙する。こっちも森長司が力のある剣撃を喰らわしてくる。ここは特殊能力を使うのもありだ。森蘭丸を任せた夜形もまだ初めての異世界QUESTで敵との戦いに慣れているはずない。
でも自分自身で能力を扱うやり方がわからない。伊達政宗の時もピンチになった時に一瞬だけ時が止まる能力が発動した。あとは海埜から引き継いだ自動回復とスローモーションの能力。
刀は攻撃を開始したときに発動する。多分最初の一撃か時間経過で使えるだろうな。自動回復は傷を負ったら自動で回復するって仕組みだろう。なら使い方がわからないのが時を止める能力だ。
『全然攻撃して来ないな!どうした!?怖気づいたか?』
「そんなわけねぇーだろ。お前をどう倒そうか考えていた」
『なめやがって。すぐに殺してやるよ!』
森長司の攻撃は力があるが、速度は遅い。だから避けた隙に刀を振り下ろせば命中するかもしれない。それにレベルが上がった事で身体能力も上昇している。
シュンッ!!
俺は森長司の攻撃を避けて、すぐさま攻撃に転じる。森長司は攻撃の後の為、防御へとすぐに徹する事はできない。刀の斬撃は森長司の身体に喰らう。
『なにっ!!!?』
森長司は腹を咄嗟に抑え、体勢を崩した。まだ一撃しか喰らわしていないのに大ダメージを与えたような感じだな。レベルが上がった事で攻撃力も上昇しているのか?
ここで俺の特殊能力を使えれば一瞬で蹴りはつくのに、使い方がわからない。どうすりゃ使えるか教えてくれたらいいのに。
「時よ、止まれ!!」
俺は無意味だと思うが叫んでみた。これで使えたら・・・
「!?」
森長司が動いていない。もしかして・・・時が止まった。まさか成功するなんて思ってなかった!
この瞬間を逃さない。森長司へと向かって行き、刀を振り下ろして斬撃を喰らわす!
5秒間ぐらい経つと、時は動き出して森長司の身体から大量の血が噴き出した。何が起こったのかわからない森長司はただ驚いている。
『何が・・・・・・起こっている?俺は何故斬られている?』
これが俺の能力、それに加えて海埜の能力、物干竿の能力もあるので、3つの能力を使えるってわけだ。これは最強なのでは?
このまま終わりにしよう。森長司へとトドメを刺そうと思い、近づくが途中で森長司は地面へと倒れてしまう。
もう時間の問題だったのか。森長司はその場でピクリとも動かなくなった。1人の武将を倒したんだ。
あっけない勝利だ。本当は苦戦するはずだが、俺が強すぎたのかもしれない。
「さて夜形の方は大丈夫か?」
俺は夜形が戦っている方向へと目線を向けた。すると意外な光景を目にする。
「どうなってやがる。夜形はレベル1のはずなのに・・・なんで接戦してるんだ?」




