蒲生 氏郷
行くぜ!と俺は気合を入れて、目の前に走っていくが相手がまず誰かわからない。
どういう戦いをするのか、どうすれば勝つのかもわからない。
何もわからない。なのに…走ってしまった!さて…この後どうすればいいのだろうか。
と、思っていたら焼け崩れそうな城の入り口から何者かが姿を現した。
鎧を着ているって事は…敵か?いや鎧を着てるだけで敵って認識するのも悪いな。
コスプレかもしれない。そうだ、コスプレだ!とりあえず挨拶をしよう。
「あの…初めまして、海埜と言います」
ザクッ…
「あれ?」
俺は身体を斬られてしまい、大量の血が噴き出してしまう。え?いきなり攻撃!?
でも驚く事があった。痛みはあまり感じない。この【異世界QUEST】が始まれば、痛みは感じなくなるのか?
だが色彩が無くなりつつあった。これは何回か斬られたら一瞬で負けてしまう。
確か白黒になっていけばいく程、死に近いって黒装束の男は言ってたな。
『私は蒲生氏郷だ。貴様が相手か。こんな古びた焼け城に呼びだしおって。殺す他なし!』
ちょっと待て…!なるほど、【がもううじさと】って言うんだな。じゃあ敵は目の前に居る。
多分扉に書いてあった名前と同じ人物だろう。漢字で書けば蒲生氏郷と読むだろう。
ふざけるのもやめだ。俺は相手を攻撃する。ゲームはそんなにやっていないが、この刀を振ればいいんだろう。
片手で持つには重い。両手で持たないと振り下ろせない。
地面には既に死んでいる人々が倒れている。その屍を踏んで俺は蒲生氏郷へと刀を垂直に振り下ろす!
これで終わるはずはない…と思っていたが、
ピキッ…
蒲生氏郷の鎧にヒビが入り、鎧は一瞬で砕けてしまい、蒲生氏郷の顔が明らかになる。
意外にもイケメン…というよりは若いな。
俺はこの人物を知らない。だが城とか鎧からすると、歴史人物の1人だと考えるのが合ってるだろう。
相手も一撃で鎧を破壊された事に驚いている。
『…何者だ貴様!?』
「ただの会社員ですけど?」
『一撃で鎧を破壊する者など居なかった。貴様みたいな奴らと最近戦う事になったが、そんな奴は居なかった』
「よく喋るなー。やっぱ昔の人って自分の事拙者とかって言わないの?もう少し難しい言葉を話すと思ってたんだけど」
『…貴様は私が絶対に打ち取ってやる!』
蒲生氏郷は自らこちらへと向かって走ってきた。どうする?今の俺なら普通に勝てるんじゃないか?
まだ最初の戦いだけど、一撃で手応えはあった。ならばもう一撃喰らわせれば倒せるかもしれない。
俺も蒲生氏郷へと向かって行く。俺が先に攻撃してやる!




