死咲 巧翔の初戦②
海埜が使っていた武器を俺が使う事になるとはな。コイツで海埜は戦ってたんだ。この異世界QUESTを。
俺が引き継いでやる。そしてお前を殺した者を・・・殺す。
その為にはまず俺自身が強くならなきゃいけない。ならば、こんな雑魚相手に苦戦なんて出来ない。
まだ相手を見ていないが、絶対に負けられないんだ。
この雪の降る訓練場からどうやって敵は現れる?兵士の人形の影から?城の中から?
穴山梅雪はどんな戦い方をする歴史人物なんだ?全然データが無い。でも戦いはそういうものか。
シュンッ!!
「!?」
キィーン!!!
俺は咄嗟に刀でガードした。何処からか武具が俺に命中した。これは忍者が使う苦無!?
・・・穴山梅雪は忍者か?
『ガードするなんて、あなた何者ですか?』
急に俺の目の前に現れた男。コイツが穴山梅雪か。この雪の降る季節に似合わず、戦闘に向いて無さそうな道着の服装をしている。
今から戦うのか?全然そんな感じには見えない。
「俺はどうでもいい。ただお前を倒す者だ」
『そうですか。では・・・逆に死んでください』
穴山梅雪は一直線に俺の方へと向かって来る。結局は接近戦か。
俺は苦戦して勝つとかは嫌いなんだ。
やるなら・・・一瞬だ。
俺は両手で刀の物干竿を持つ。攻撃を開始しようとした時、一気に辺りがスローモーションになった。
これは・・・なんだ?
穴山梅雪の動きが丸わかりだ。これなら・・・本当に一瞬で倒す事が出来る。
物干竿を穴山梅雪の心臓部へと目掛けて突き刺す。
グサッ!!
「え?・・・」
「マジで・・・突けた」
穴山梅雪は驚愕していた。多分高速の攻撃を俺にお見舞いして、逆に驚愕させてやろうと思ったんだろう。
だが俺が刀を突いてしまった。しかも心臓部にだ。
「これが海埜から引き継いだスキル。・・・最強じゃねーかよ」
目の前で穴山梅雪は地面に倒れた。血が溢れ出てきて、周りは血の水たまりが出来てしまう。
俺の最初の異世界QUESTは完全勝利で幕を閉じる事になるだろう。
『死咲 巧翔はLv2になりました。次のLvまであと1つの【異世界QUEST】、赤の扉のCLEARが必要です。
あと1分でこの場所は消滅します。扉から出なかった場合は強制的に退場となります』
「死咲巧翔・・・か。一撃で倒してしまった。コイツはもっと強くなるだろう」




