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異世界QUEST  作者: ヴェイン
Act.2
43/74

証拠

俺は封凪玲へと詰め寄って、右拳を顔面に振り被る。封凪玲は咄嗟に右足を上げて拳をガードする。どういう身体能力だ!?

続けて俺は攻撃をするが、封凪玲は避け続けている。



「どういう事だ?」



「俺はまだ死ねないからだ!ナギトを倒すまで・・・!」



「知らないそんな事は」



「・・・異世界QUESTでは傷が治る」



「はい?」



「異世界QUESTでもしかしたら・・・海埜義宗は生きているかもしれない」



「何言ってんだよ。まず海埜のスマホを持ってるあんたは犯人の1人だと確定しているようなものだ。戯言を・・・言ってる場合じゃねーだろ」



「じゃあどうすれば信じてくれる?」



「・・・証拠だ。海埜をお前が殺していない証拠!海埜が本当に死んだかの証拠!それが居る。照明しろよ」



証拠がスマホだけじゃ全然信憑性しんぴょうせいがない。海埜が誰に殺されたかの証拠が欲しいんだ。

そんな事が出来ればの話だがな。



「わかった。これを見てくれ」



封凪玲は自分の持っているスマホ画面を見せてくる。そこには異世界QUESTアプリというアプリが起動されている。

これの何処が証拠なんだ?



「この動画を見てくれ」



異世界QUESTアプリには異世界QUESTという場所?で戦ったリプレイが流れている。映っているのは海埜と見知らぬ人物。海埜は相手の首を斬り落とす瞬間を映している。



・・・アイツが人を殺すのか?いやこれはゲームか何かだろ?その後海埜は画面から消えていった。この映像からは海埜を殺した犯人は映っていない。これの何処が証拠なんだ?



「この後だ。映像はまだ続いている」



「・・・これは現実か?」



何処かの住宅街か?そこで海埜は誰かと話している。よく見ると・・・黒ローブを着ている者だ。もしかして・・・封凪玲か?



「お前なのか?この黒ローブは」



「その通りだ。この後、海埜義宗は・・・殺される」



「これはどの視点だ?」



「殺した相手だ。俺は殺していない証拠を見せてやる」



海埜はその後背後からナイフで腹部を刺されてしまう。・・・そして地面に倒れて何かを喋っているが何も聞こえない。ここで映像は終わった。このナイフで刺した人物が犯人なのか。じゃあ・・・封凪玲は殺していないって事はわかった。



だが封凪玲は止める事が出来たんじゃないのか?相手が見えていたわけだし、避けろと叫ぶことも出来たはずだ。

結局殺してはいないが、封凪玲にも悪い点はある。



「これでわかったか?俺は殺していない」



「・・・この後海埜は犯人に連れて行かれたんだな?そして遺体も見つからない。異世界QUESTでは傷は回復するかもしれない。・・・まだ海埜が完全に死んだって事はわからない。・・・俺はまだその可能性に賭ける」



「お前は海埜が親友だと言った男だ。俺達と協力して・・・犯人を殺そう」



殺人は正直したくない。でも殺す程の怒りはある。何なんだこの感覚は。

・・・考えたってしょうがないか。俺は海埜に託されから、やるからには徹底的にやる。



「改めて、俺は死咲巧翔だ・・・よろしくな」

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