武器
ここは…俺の目の前には焼けた城、地面には血を流して倒れている人間が居る。え?地獄に落ちたのか?
「いきなり酷な場所に来てしまったな…」
「…おい…お前…ぐっ…」
俺は脇腹にナイフ刺されていて、まだ痛みは消えない。立っても居られず、地面に膝をつけてしまう。
もしかして…死ぬのか?俺は死ぬのかよ!?
「この【異世界QUEST】では最初に怪我を全て治してくれる。だから赤の扉に入れたんだ」
「お前…何なんだよ!さっきの奴とグル…ぶはっ!」
目の前に口から血を吐いてしまい、咽てしまった。この怪我を放置していたらまずい。
先に治させてもらおう。それから言いたい事を言ってやる!
「怪我を治す。その為には…武器を手に取って、立ち上がらなければいけない」
「武器!?」
「光輝いている武器…それがこれから【異世界QUEST】で共になる武器だ。1度決めれば変更はできない」
地面の所々に光っている物体がある。あれのどれかを拾えば俺の怪我は治るのか。
遠くの武器は取れそうにない。近くにある物でいい!怪我を治ればな!
「これだ!」
俺はすぐ目の前にある光る物体を取得する。あれ…何か長くない?この武器…!
「なるほどな…珍しい武器を手にしたものだ」
俺は1メートルはあると思われる長い刀を手にした。そして立ち上がると、俺の怪我は一瞬で治ってしまった。
どうなっている?これも【異世界QUEST】の力なのか?
『異世界QUESTをSTART致します!』
「え?誰の声だ!?」
「【異世界QUEST】は異世界で敵と戦い、勝利した者が強くなれるゲームのようなものだ。実際にステータスは存在はしない。
ただ…負傷すればその分視界が白黒に変化していく。そして…負ければ…」
「負けたら死ぬとかそんなデスゲームじゃないよな?」
「それはない。負ければ【異世界QUEST】の参加権は剥奪される。ただそれはレベル1で負けたもののみだ。
最初に勝てばリスクは少なくなる。簡単だろ?勝ち続ければいいんだ」
正直に思う事がある。コイツは何を言っているんだ?全然理解できないんだが。俺はそもそも【異世界QUEST】に参加したくなかったんだ。
怪我も治ったし、すぐに負けて俺は【異世界QUEST】から抜け出したい。まだ始めてもいないが、これは面倒な事になる。
「じゃ負けますね!」
「は?」
「負けたら【異世界QUEST】に参加しなくてもいいんだろ?なら負けるに決まってる」
「じゃあ…お前は死ぬぞ?【異世界QUEST】に負けたら、怪我は治らない。扉に入る前と同じになる。
【異世界QUEST】という記憶事態だけが消えて、他は全て残ったままだ。怪我もな」
「……おいお前…それを先に言えって!!」
俺は負けたら死ぬ。結局デスゲームと何も変わんねぇーじゃねーか!結局戦わなきゃいけない。
これは神様の悪戯か?俺がズル休みをしたからか罰が当たったのか?
「戦うしかないだろ?あとその武器はかの有名な剣士、佐々木小次郎が使っていた【物干竿】。相当強力だ」
佐々木小次郎の武器?いまいちピンと来ないな。とりあえず強い武器ならラッキーだ。
多分扉に書いてあった名前の人物が相手だろう。
「行くぜ!」




