死咲 巧翔
海埜 義宗の死から1日が経つ。
ナギトと呼ばれる異世界QUESTの始まりの男。その男が海埜義宗を殺した。
何も出来なかった。ただ海埜義宗が死に、それを連れ去るナギトの姿を見ているしかなかった。
最後に海埜義宗はある者を招待して欲しいと言った。
名は死咲 巧翔。この者に全てを託したかのように死んでいった。死咲という者は何者なのか。
俺は絶対にこの者に会わなきゃいけない。ナギトを巡り合わせてくれた海埜義宗の為に…。
【東京・中野区大和町】
「今日はこんなもんか。しけてやがる」
「きゃきゃっきゃ!!まぁいいじゃん!明日も持って来いよ!」
俺は死咲巧翔。ってなんで自己紹介をしなきゃいけないんだろうか。俺みたいなはぐれ者は何も知らないでいい。
黒っぽい赤髪で長髪だ。身長は180cm。体重は・・・最近計ってねぇーな。デブってはないから、普通だろ。
あと両耳にピアスをしている。そのピアスは俺の職業の証だ。
「何してんだお前ら」
高校生3人が1人を寄ってたかって暴行をしている。そして金をせしめるカツアゲをしてやがる。
大和町は治安が悪いのか?いや・・・どこでも今はそんなもんか。
「何だアンタ・・・」
「俺を知らないのか?」
「あ・・・その赤髪、そしてピアス。あなたは【ブラッド】の・・・」
「つまらん事をするな。金は返せ。そして二度と同じ過ちを起こすな」
不良であろう高校生を睨みつけてそう言った。【ブラッド】の事はあとで説明する。今はこの状況を解決しよう。
3人の内、2人は聞き分けが良い。だが1人は絶対に反抗をしてくる奴だ。
「何だよコイツ!よし君に何してんだよ!」
・・・高校生の癖に粋がってんなよ。まだ社会に出ても居ない青ガキが。
暴力で解決してもいいが、この世の中だ。すぐに体罰やら何やらと面倒な事が起きる。
「・・・お前、死ぬか?」
「は?」
「殺して隠せば証拠は残らない。その為にはここに居る全員を殺す。目撃者を無くす為にな。そっちの方がいいか。あとで暴力を振るって色々言われるよりも簡単だ。あと・・・俺は人を殺す事にためらいはない。どうだ?」
「・・・な、何だよコイツ!?頭おかしいだろ!やべぇーぜよし君!逃げよう!」
「とっくに知ってるよそんなの!・・・すいませんでした。これお金です」
「金は俺に返すんじゃねー!アイツに返すんだよ!」
「すいませんすいません!!お、おい!これ!」
3人の高校生はそそくさとカツアゲした男にお金を返した逃げていった。・・・脅せばすぐに逃げる。俺は人を殺した事も無い。そんなしょうもない事で捕まる事がバカバカしい。
俺を信頼してくれる奴は今は居ないな。結局は碌な仕事をしていないし・・・アイツはうまくやってんだろうな。
「ありがとうございます!」
「・・・俺はお前を助けたんじゃない。アイツらがムカついただけだ。・・・早く消えろ」




