首謀者②
ナギトへと接近し、物干竿を振り下ろした・・・が、急に出現した盾によって防がれてしまう。
首謀者だから何でもありなのか?
『誰かがお前を招待したんだ。それで異世界QUESTの参加は決まる。さーて誰でしょうね!』
「俺を招待しただと?」
「海埜義宗!気を付けろ!そいつは・・・ものすごーく強い!」
「何で語彙力全然ないんだよ!!」
ものすごーく強いと黒ローブの男、レイは言ったが、そもそも首謀者で異世界QUESTを開始した人間は強いだろ。
ラスボスと言っても過言ではない。
俺みたいなレベル10になったばかりで、序盤の最難関をCLEARしたみたいな男がいきなりラスボスに適うはずはない。
ただ適わなくても一撃くらいは喰らわしたい。
『この戦いはエクストラQUESTだ。別に私に倒されても何も変わらない。ただ私を倒せば異世界QUESTは終わる。それだけだ』
「海埜!お前はは下がってろ!」
「何で?」
「ナギトは俺が倒すからだ!決着をつける!」
「それは・・・あんたの自己勝手でしょう。この扉を出現させたのは俺だ。あと・・・意味がわからないまま異世界QUESTに参加させられ、殺されかけていい加減うんざりなんだ。あんたの黒ローブの仲間だろ?俺はあんたもあんたも!誰も信用しねぇ!!」
自己中な人らばっかで困る。これは俺の戦いだ。俺が勝ち取った戦いなんだ。
邪魔はさせない!一撃だ。一撃喰らわして俺は・・・勝った気になってやるよ!
『無駄です。私に攻撃を喰らわせ・・・』
「そんなのわかんねぇーだろ!!」
俺は物干竿のスキルを使う。いつもなら相手の動きを遅くさせる事が出来るが、今回は違った。
何故かこの異世界全体の時が止まっていた。
「今なら・・・倒せる!」
物干竿を首謀者の男、ナギトの首元目掛けて思いっきり振った!
その瞬間、時は動き出し、ナギトの首が・・・吹っ飛んだ。
「・・・う、嘘だろ!?ナギトを・・・倒した!?」
黒ローブの男はそう言った。俺も正直驚いている。確実にナギトの顔面だけが地面に転がっている。
胴体は立ったままだが、静かに地面へと倒れる。
「これで・・・これで異世界QUESTは終わるのか!?」
一瞬の出来事だった。俺がナギトを倒し、異世界QUESTは終了した。
「いや・・・違う!そんな事はない!ナギトを倒した瞬間、この異世界は消滅する。だがまだ消滅していない。
目の前に居るのは・・・ナギトじゃない!」




