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異世界QUEST  作者: ヴェイン
Act.1
29/74

前田 利家②

俺には1つ個人的な固有スキルが存在する。それは武器にではなく、俺自身にだ。

福島正則との戦いの最中、それが突然発動した。



発動条件はよくわからないが、推測はできる。瀕死状態までの攻撃を喰らった場合のみ発動する。

今の状態は視界が白黒になっている。もう色が失われる程負傷している。



なら回復が行われるはずだ。それを予測して分身1人倒して、2人の攻撃をわざと喰らった。

これで無理だったら・・・俺は負けるかもしれない。



『嘘をつくな!わざと喰らう奴なんて居るわけがねぇー!』



そろそろ来い。俺は回復を待っている。この間に前田利家から攻撃を喰らえば確実に負ける。

身体の痛みもひどくなっている。この異世界では死ぬ程の痛みはないが、身体を動かすのはきつい程の痛みはある。



「・・・きた!」



俺の身体の周りに緑色の気が纏い、身体の傷は回復していく。

前田利家の分身は俺の背後から攻撃を仕掛けようと槍を突いてくるが、俺はそんなもの効かない。



武器のスキルは永久的に続く・・・はず。すぐに振り返り、槍の攻撃を受け流す。

そして物干竿を振り下ろし、分身を消した。



『・・・お前もしかして、未来見えてるの?』



「見えてない」



『背後からの攻撃を避けるなんて芸当・・・普通出来ねぇーよ!』



「もう会話も終わりだ。俺はレベルを上げなきゃいけないんでな!」



俺は前田利家へと接近し、物干竿を首元目掛けて突き刺す。しかし前田利家も槍で何とか防御をする。

槍が邪魔だな。俺は防御している槍へと目掛けて物干竿を振り下ろす!



『ぐっ!何だこの重さは!』



「喰らええええええ!!」



何故かわからない。俺の武器には2つのスキルがあるのかもしれない。前田利家の槍を真っ二つにし、

そのまま前田利家の身体を斬った。



『これは・・・おれの負けか?』



前田利家は血を噴き出しながら、地面へと倒れ込む。そこまで苦戦もせずに倒す事ができた。

分身した時は少し焦ったが、何とかなった。



『海埜 義宗はLv6になりました。次のLvまであと1つの【異世界QUEST】のCLEARが必要です。

あと1分でこの場所は消滅します。扉から出なかった場合は強制的に退場となります』



このアナウンスが出たって事は勝利したんだな。立ち上がったりしたらビビるけど、そんな事はないだろう。

俺はすぐに扉を開いて、異世界から出て行く。

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