レベル6の敵
入峰と宇敷との会話から5日が経とうとしていた。
この間は異世界QUESTには参加せずにただ仕事に没頭していた。
何故なら仕事の納期が迫っていて、忙しかったからだ。異世界QUESTなんてやる暇もなかった。
でもそろそろ戦わないと死神が来るかもしれない。
そうなってからでは遅い。今日は久しぶりに休みなので、異世界QUESTをやろう。
正直やりたくはないが、やって生きるかやらずに死ぬかの2択なら前者を選ぶだろう。
昼の1時、外の天気は快晴だ。雲1つ無く太陽が俺を照らし続けている。早速【異世界QUESTアプリ】を起動しよう。
そこから扉を検索する。現在の場所は東京の練馬区、高野台の付近。俺は高野台から会社へと通っている。
辺りには5か所程の扉があるそうだ。でも色が違った。青や紫、黄色と多彩な色の扉があるようだ。
この色は何を意味しているんだろう?近付くとレベル全然違ったから色でレベルが違うのかな?
「お?赤の扉があるじゃねーか」
100メートル程歩いた場所に赤の扉が検索に引っかかる。レベルは6か。稀なケースではないってわけね。
とりあえず相手が誰かも確認しないとな。
【レベル6 前田利家】
前田利家か。確か戦国武将でも有名な武将だった気がする。活躍もしているみたいだし、苦戦するかもしれないな。
でもレベル5を超えた俺なら倒せるはずだ。
入峰が言っていたレベル11まではただの通過点だ。俺は赤の扉を出現させて、扉の中へと入る。
久しぶりの異世界QUESTだ。
「なんだここは・・・」
扉を開いた先は、桜が咲いた木が辺り一面にある一本道。その先には誰かが待っているようだ。
この一本道で戦うのか!?
『お前が相手か。おれは槍の又左、前田利家だ!さぁ死合をしようじゃねーか!』
大きい声が俺の耳へと入って来る。目の前に居る槍を持った男が前田利家か。バンダナをしていて、服装は道場着のようだ。
俺は前田利家へと近付いていく。桜の花びらが頬に当たり、その数は歩くにつれて多くなっていく。
こんな場所で戦うのか?異世界QUESTは不思議な場所だ。これが前田利家の世界ってことなのか?
そもそも異世界QUESTは誰が作ってるんだろう。
『異世界QUESTをSTART致します!』
アナウンスが流れたと同時に前田利家はこちらへと走り出してきた!




