入峰 是郁
【入峰 是郁SIDE】
現在の時間は午前2時。とある工場跡地、そこにはある者達が揃っていた。その者達と俺は仲間であり同志である。
「是郁、見つかった?」
「いや・・・簡単には見つからない」
「そうか・・・こっちもだよ。強力な参加者は居ないな」
タバコを咥え、ライターで火をつけて吸い始める。金髪に身体には所々刺青が入っている。その男の名は【久喜夜瀧人。
俺と同じく【異世界QUEST】の参加者を探っている男の1人だ。
「やっぱきついよな!こっちには7人しか仲間が居ないんだ。最近だと誰だっけ?あの綺麗な子」
「宇敷紗耶香か。今日でレベル5になっていたな」
「マジかよ!じゃあもうすぐ青じゃねーか!宇敷ちゃんやべーな!」
宇敷はレベル5になったのは驚きだ。一応同じ仲間だから情報は筒抜けになっている。レベルや攻略した【異世界QUEST】の数などが全てわかっている。でも…違和感ある。
今回の相手が2人も居た事だ。それが加藤清正と福島正則。この2人を倒すには2人で挑むのが定石だ。
1人で倒す事なんて出来た人は数少ない。宇敷は誰か一緒に攻略したって事になるな。
・・・誰だ?宇敷と親しく【異世界QUEST】を知っている人物なんて居たか?
友達とか・・・ではないよな?
「こりゃーすぐに宇敷ちゃんに抜かれちゃうなー!俺も頑張らねーと!」
瀧人はタバコを吸い終えて、工場跡地から出ようとする。俺達は一応ある目的で動いてる。それは【異世界QUEST】の終結だ。
突然始まった【異世界QUEST】だが、原因は不明だ。
でも最近・・・仲間のリーダーがそれを突き止めた。リーダーは【異世界QUEST】を開始された直後から行っており、
未だに続けている。レベルも既に30は超えている。
俺は【異世界QUEST】のアプリを見ていると、ある人物のレベルに驚いてしまった。
「ウソだと!?」
「ん?どうした是郁」
俺は昨日出会った男、海埜義宗のレベルを見た。普通ならレベルはそう簡単に上がらない。
なのにコイツは既にレベル5になってやがる。
・・・海埜義宗か。コイツは【異世界QUEST】を終結させられる人物かもしれない。
「1人見つけた!」
「お!?マジかよ!」
瀧人はこちらへと戻ってきて、俺の持っているスマホを取る。
何でスマホを取るんだよ。
「うみのよしむね・・・?なるほどね!レベル5!」
「でもコイツは既に目を付けられてる。奴にな」
「奴って~?俺の事?」
工場跡地の入口から聞き覚えのある声が聞こえた。何でこんな時間に来るんだ?
コツコツと足跡を立てながらこちらへと向かって来る。




