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第八話 この世界の事とか俺の設定改変とか……バレた



ツヴァイナ「アインナ!これどうすんのよ!? 『迷惑料代わりに貰っとけ。』って。」


アインナ「あぁ…我らが主?より下賜された物。正直村も苦しいから、有り難く頂いておこう。ファフナ。落ち着いたら指揮を取って運ばせてくれ。」


ファフナ「解った。すぐ手配しよう。」




ドライナ「凄かったですね~魔王様!回復まで~今からでももう一回戦えるくらい、元気になりました~。」


フィアンナ「装備を取り上げた上恐怖心を叩き込む。あれは…立ち直れないわ。今後の参考にさせて貰いましょう。」


ファフナ「武器や装備は結構するからな。再戦しようにも、すぐは出来ない…効果的だ。」




ファンフツェン「「で、魔王ガーンって何者よ!? どこ行ったの!? 」」



-----------



救護室



警備魔女B「フンッ!」


ブレイ「そんなに怒らないでよ?。肩揉んであげるからさ。」


無理矢理警備魔女の肩を揉む。

触るな!とか言いながら結構嬉しそうだ。



警備魔女B「……どうだった?」


ブレイ「うん!お姉さん達強かったよ!あれなら大丈夫だね。百人相手に凄いや!」


警備魔女は少しホッとしたようだ。



警備魔女B「あ、そこもう少し。…何で逃げなかったんだ?」


俺は本当に記憶が無い事、七の国の神殿に行かねばならない事だけを覚えている、と言う。


誰かに色々教わらないと、良い人の多そうなこの村で少し準備させて貰いたいのだ、と続ける。


ブレイ「僕、抜け出したのバレると追い出されるかも。お姉さんも困るでしょ?だから黙っててよ。」




それから暫くすると部屋の外が慌しい気配で騒しくなり、警備は部屋の外に消えて行った。外の廊下の先は右側がトイレと牢屋、左側を進むと幾つか部屋を抜けて出口だ。


ファンフツェンが戻って来て警戒態勢が解かれ、この建物の警備が通常に戻ったのだろう。



一度ツヴァイナとドライナが食べ物を持って来てくれて、知っていると思うけど~、とトイレの場所を教えてくれた。



ツヴァイナ「火事起こしたら承知しないからね!」



とか言いながら、ランプを一つ置いて行ってくれた。本当にこの村の人は、人が良い…と言うか優しい。


尋問の続きは明日だそうだ。

これでゆっくり考えられる。


そう…俺の設定を、だ。



----------



さて、どうするか?

今後を考えて自由度の高い立場…と言うか身分というかが必要だな。



1 ) ジーヨン神の使いで特別召喚された魔神・魔王


2 ) 七の国から何かの力で飛ばされた魔法が使える少年


3) ドライナの生き別れの弟



七の国に関する記憶が無い事、彫まれた魔方陣の説明が楽なのは(1)だよな。魔王もやらかしてるし。ただこれを選ぶとこの世界で大騒ぎになり、また英雄に祭り上げられかねない。


まぁ(2)だな。

ネヴュラの元に辿り着くという目的を考えればそれが無難だ。ただやはり記憶ゼロってのも…。




記憶…俺はネヴュラが話してくれた七の国の数少ない記憶に思いを馳せる。


「神殿から遠くに海が見える。四季が有る。貧富の差と救うべき貧しい人々。一昨年の大災害。」


「大災害…。」



それは国中に大量の魔獣が発生した凄まじいものだったそうだ。軍も、多くの冒険者も傷付き倒れ、ネヴュラはその治療と回復に国中を巡ったと話してくれた。


未だに地方では魔獣達の被害が絶えないと、彼女は嘆いていたのだ。



「大災害で大怪我を負った冒険者。それにネヴュラが特別な治療を施し…。」


うんうん、身体欠損を修復する為に「付魔の儀」を応用した。その過程で…召喚の魔法陣に不具合が生じて飛ばされた。


そして…生まれ育ちもこの世界の記憶もあらかた吹っ飛んだ。



こんなところか。

まぁ後はアドリブだな。

夢の中にジーヨン様が現れた…とか。


いやこれは本当なのになぁ。



-----------



別室 翌朝



俺はファンフツェンに昨晩考えた設定をぶち撒ける。



ブレイ「なんか『大災害』って言うので魔獣を相手に活躍した…らしいんですが。酷い怪我をして記憶を失って、七の国のネヴュラ様に特別な儀式で治して貰ったんです。」



フィアンナ「七の国の大災害!? それ一昨年の事よ! 半月前に町に行った時、新聞に書いてありました。」


お。

一昨年の事が今頃伝わっているのか?え?ここから七の国ってどんだけ離れているんだ?


聞きたくて堪らないが後だな。ちょと待って、と言ってどこかへ行ってたフィアンナが新聞を持って帰って来た。



バササッ!

フィアンナ「これよ!ここ見て!ネヴュラってこの人?」


挿絵だ。服装は似ているが顔や表情はなんだか女神像っぽくなっている。って言うか本当に有名人なんだな〜可哀想に。


ブレイ「そう…です。顔は少し違いますが、服装とかは一緒なんで、そうだと思います。」




アインナ「ほう!凄いな。死者を生き返らせた、とか数百人に一斉にエンチャントをかけたとか。」


ツヴァイナ「君、読めないの?『聖女』とか書いてあるけど…。」


ブレイ「読めないんです。そう言えば皆が聖女様って呼んでました。」




フィアンナ「儀式について聞いても良い?」



ブレイ「僕で解る事であれば…。」


石造りの部屋で魔方陣の上に寝かされ、怪我の酷い部分に土を盛られる。ネヴュラが魔法を掛けると動かなかった身体が動くようになった。


その時やっと記憶や意識が戻り、ネヴュラから怪我や治療の経緯を聞く。揺り戻しが有るからと言われ、杖や指輪を貸して貰い魔方陣の中で祈っていた。


ブレイ「そうしたらあの山の魔方陣に居て、身体はボロボロになってて…。」




フィアンナ「無理やり辻褄は有っていますね。呪文とかは覚えていない?それが解ると助かるんだけど…。」


無理やりって…。



ブレイ「 ジーヨン神がどうとか…後は難しくて覚えていません。すみません。」


フィアンナ「ジーヨン神!? 私達のはウルマー神だから、その辺が違うのかも知れませんね。」




ブレイ「何でお姉さん達は儀式の事調べてるの?何か困っているの?」


フィアンナがアインナの方をチラッと見ると、アインナは頷き、フィアンナは話してくれた。



フィアンナ「私達はこの儀式を止めたいんですよ。」



-----------



魔女村に「付魔の儀」の契約者がいなくなると村の出身者とその係累が全て死に絶える。その言い伝えの為に彼女達は儀式を止められないという。


現在この世界で魔法が使える人間は殆どが村の出身者の子孫で、王侯貴族ですらそれに含まれるそうだ。



フィアンナ「そもそも現在の八つの国は、千年前にこの村から出た8人の女性達。それと結ばれた英雄達が興したものなのです。」


ほう、国の数は八つか。

ならここは、結構狭い島とかにあるのだろう。


フィアンナ「彼女達『ファーストクィーンズ』は、それ以後魔力付与された女性達とは別次元の魔力を持っていた。村の歴史にはそう記されています。」



俺は理解したと頷く。ジーヨン様が儀式したっていう元サキュバス達がファーストクィーンズで間違い無いだろう。



フィアンナ「ファーストクィーンズは子供を沢山残しました。村に帰ってきた女性も結構いて…。」


アインナ「それが、私達のご先祖なんだ。」


彼女達の先祖は、魔力を持たないこの世界の人達に魔力と魔法を拡めるべく、魔女村を作り「付魔の儀」を受ける一族を作ったのだと言う。




フィアンナ「私達の儀式はね…。」


魔石を含んだ土で相手を型取り召喚を行う。だが召喚した魔神は全く動かない。


そして純潔を捧げ、魔神に「愛と契約の呪文」を唱えると、魔神は魔力を召喚者に放ち与える。


ただ最悪な事に、呪文を唱えると、魔神は鰐と豚の混じった様な醜悪な生き物に変わると言うのだ。




ドライナ「人によってはトラウマで~その後の人生~潰れてしまうのよね~これ。」


儀式により男性や愛の行為にトラウマを抱える女性も多いという。そうなると家庭を持てず、次代に魔力を引き継げない。


世界に魔力と魔法を広めると言う、儀式本来の目的も潰れてしまう訳だ。




おかしい。

あの優しいジーヨン様が、女性を傷付けるような儀式を望む筈が無い。確かウルマー神に引き継いだとか仰っていたな…。



ファフナ「ところでブレイ。やつらから取り上げた装備などは、どうすれば良いと思う?」



ブレイ「…え?売っぱらって金に替えれば……あ。」


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