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第一話 悪は滅んだ

初投稿です。


誰かが楽しんでくれればと思って書いてみました。

掲載上まずい事やおかしなところが有れば、ぜひ教えて下さい!



「まだ…続けたいか?」


足元には豪奢な神の鎧を付けた勇者が、その背後には賢者、僧侶が転がっている。


「潰さないように蟻と遊ぶのは難しい。」


聞こえよがしにそう言い放つ。その男こそ魔王。それも史上最強と言われる大魔王アルスだった。




絶体絶命の勇者一行…しかし!


まばゆい光が人型に集まると、そこに女神オーファリアが顕現しその慈愛の力で勇者達を回復する。


『立つのです勇者ヤシフ!そして邪悪な魔王を打ち倒しなさい!』


「女神オーファリア…やはり貴女が背後にいたか。」




「だがもう遅い!必要なエネルギーはもう溜まった。」


勇者達「くっ!…遅かったか。だが…。



「私は今度こそ、貴女が到達出来ない世界へと旅立つつもりだ…。」


『そんな事が許されるとでも?』



勇者達 (え…?)


勇者「あの、お話中ちょっといい…ですか?人類を滅ぼしてこの世界を支配するんじゃ?」


「ん? あぁ、君達も『犠牲者』だったな。真実を知る権利は有る。」


『そのものの言葉に耳を傾けてはなりません!悪の力が貴方達の心を…。』



-----------



「いや…支配など微塵も興味が無い。私はこの女から逃げているだけだ。はっきり断っているのに何万年も何100万年も『付き合え!』ってしつこくて…。」


『断じて違います!』



「元々私は天界では長を勤めていたんだ。ある日そこにこいつが『わたし達結婚します♡』って合成写真入りハガキを配りやがって…。」


勇者達「えぇええええ!?」(ってか天界の長?…神だったって事?…堕天?)


「いやもう職場は大パニック。私は仕事出来たんでファンクラブとか有ったもんで。」


勇者達(まぁこの強さ…確かに…。)



「さすがに主神様は真実を見抜かれ私の潔白は証明されたよ?ところが自宅に戻ると勝手に入り込んだこいつが全裸で手首切って浴槽に倒れてんだよ『死んでお詫びを』とか。」


勇者達( ドン引きぃい!)


『嘘です!有り得ません!』



「翌日からは職場の女神達が無責任に『そんなに思われてるんだから結婚してやれ』とか。いやもう胃が痛くなって執務中に血を吐いて倒れたよ。」


『なんという卑劣な嘘を!』



「そんで耐えられなくなった私が辞職願い出すと主神様が『ちょっと静かな所で休養してこい。な?』ってここを教えてくれたんだ。」


勇者達 (ほへぇ〜!)




「いや静かで…自然に溢れて…良い星だよ。ところがだ、ようやく心も身体も癒えてきたかなって時にまたもやこいつが!主神様との神霊通信辿って来やがったんだ!」


「おま…200万光年だぞ!? 普通そんなもん辿ろうなんて考えねーだろ!? それが500年程前だ。」



僧侶「そう言えば女神信仰の始まりは500年前だと教会で習いました。」


『悪に惑わされてはなりません!』




「それで!こいつは主神様からパクってきたゴッズアイテムを人間に与えて俺を捕まえようとした。そう!お前が持ってる剣や鎧がそれ!」


「それに対抗する為に私が作ったのが魔族。こいつが来なきゃ人間を使わなきゃ、魔族は生まれなかったんだよ!」




勇者「いや今の話はおかしい。じゃあ何故魔族は普通の人間を襲うんだ?矛盾するじゃないか!」


『さすが勇者ヤシフ!よくその者の邪悪を見抜きました!』



「矛盾は無い。魔族は私の分身だからオーファリアの力を感じる者を滅ぼそうとする。調べないと解らないが襲われた人間達はこの女の熱心な信者だったのでは?」


勇者達 ( あっ!そう考えると思い当たる…。)


『馬鹿げています!』




「まぁ初襲撃が奇襲だったせいで大分神霊力を失った私は、主神様から授けられていたゴッズアイテムでこいつを封印した。有効期間内に逃亡に必要なエネルギーを集める目的でね。」



賢者「ほう有効期間…どの位ですか?」


「約1000年かな。プランク長波で組まれた多次元術式は神族なら解析可能。だが時間だけは絶対必要なはずなんだが…こいつは400年位で殆ど無効化していやがる。」


『神聖な力は悪に屈しないのです!その者の邪悪は証明されています!』



-----------



「納得したか?満足か?それともこいつの『差し入れ』にへんな毛が入ってて、つまみ食いした主神様がのたうち回った話とか聞きたいか?えぇ!」



勇者「いやもう、お腹いっぱいです!なんと言うか…大変でしたね。」


『ッキーィイ!悪に染まりましたね貴方達!」


「ありがとう。そう言ってくれるか…その言葉だけで救われるよ。さて…。」




魔王だった者を光が包むと、次の瞬間そこには白いトーガに身を包んだ青年の姿が有った。神々しい美貌に困ったような微笑を浮かべ勇者一行を見ている。


賢者・僧侶「うわぁ…神聖超絶イケメン。これは…ファンクラブ出来るわ…。」


『ッキャ~~~!!200万年ぶりの生アルス様ぁあ!!ゴラァ!そこのメス猿!アルス様見てヨダレ垂らしてんじゃねぇ!遺伝子こねくり回してウジ虫にすっぞ!? 』


勇者達「え?」


『あ…。』



-----------



勇者「この魔方陣の中心に聖剣を突き刺せばいいんですね?」



アルス「そう。本当に助かるよ。普通…見ただけじゃ転移先なんて解らないんだけどね。彼女には常識通用しないから見られたくないんだ。」


『あぁあ〜死ぬぅ〜滅びるぅ〜!』



勇者「あんな事言ってますけど…大丈夫ですよね?さすがに女神様殺しちゃうのはちょっと。」



アルス「ああ、全く問題無い。私達神族は元々君達のような「実体」を持っていないからその程度じゃ死なない。人が使えるアイテムじゃあ「封印」が精一杯だよ。」


アルス「その聖剣は私達神族を天界に帰還させる使い切りアイテム。私が聖剣で戻ってから出発してもいいんだが、そうするとこのおん…彼女をここに残す事になる。これ以上君達に迷惑を掛けたくないんだ。」




『勇者ヨシフ!私を解放してくれたら世界の半分を…。』


勇者「それじゃあ。ヨッ!と。」

グサッと魔方陣に聖剣が刺さる。



『ッギャ〜〜ッ!!あぁ…最後にアルス様の匂いを…クンカクンカ…。フフフ私の代わりにこれを…バサッ!ジュブッ。。。。。』




魔方陣が消えた後には、編み込まれた長い髪の毛がひと束と大量の血が垂れていた。


一同「ヒ?ヒィィイイイイイイイ!!」



-----------



「ふう。行ったか。」


勇者達「ようやく悪は去りましたね。」


「悪…か。ははは、いやオーファリアとて最初からああだった訳ではなかったのだ。出会った頃の彼女のままでいてくれたなら…多分私の方から…。」




『ゴポォ!ナん…でスッ…て。ゴポォ!それを…知っていた…らブクジュル。』


髪の毛と血が混じりあった中から、何かおぞましい肉が泡立ちながら這い寄って来る。


『ウプフ…フフッポォ!ぉそば…にジュルジュル。』




「ヒッ!? 火!ヒィイイイ!!ファイッア~~ッ!!!」



賢者「は、はい!プロミネンス!」



ゴウゴウと燃え盛る炎の中、おぞましい肉は増殖し形を成そうとする。が、やがて火勢に屈し灰へと還っていった。


『グ…フプ…ァルス…さま……ぁ?…。」



勇者達(どこの猛悪な邪神だよ!)



「ッ!ハァ、ハァ、ハァー…前言…撤回。」



-----------



「君達には本当に世話になった。特に勇者ヤシフ君には…。」


勇者「いえいえ、こちらこそ魔王と思って攻撃しちゃってすみませんでした。魔族に両親が殺されたのも、今となってはあの女神のせいだったと理解しています。」




「もう私は行くが、ヤシフ君には私からの償いとして餞別を授けたい。『アルスの護り』だ。」



勇者「これは…どの様な。」


「君が絶体絶命の窮地に陥った時、私のちょっとした加護が働くものさ。」


勇者「ありがとうございます。」



「それでは皆息災で!」


勇者達「アルス様こそお元気で!」




まばゆい光に包まれたアルスは、爽やかな笑顔を残し別の世界へと旅立って行った。こうして世界から悪は消え去り、人類は復興と繁栄の時代を迎えた。

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