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8.ネコちゃんにサービスした


「はいっ買い取りお願い!」

 どさっと冒険者協会の買い取りカウンターに肉を置く。

 カモシカ二頭分の肉だ。買い取りカウンターの銀行員風おじさんが目をむく。

「おうっ……一応お聞きしますがこれはなんの肉ですかな?」

「カモシカ」

 そう言ってバックパックからカモシカの角を出す。


「確かに……。いや、解体して持ってきてくれるとは……。獲物丸ごともってくる冒険者が普通ですが」

「丸ごとだと重いし運びにくい。肉も傷む。その場で解体して肉にしたほうがうまい品質のいい肉になると思うが?」

「おっしゃる通りです。でもそうすると肉を安物とすり替えたり、誤魔化そうとするものが後を絶ちませんし、現場で解体すると横取りしようと襲ってくる魔物もいますので危険です。最近の若い者は解体できない冒険者が増えております」

「なんの肉か鑑定できないの?」

「私はできます。だから私には肉で持ってきてもらっても構いませんよ。というより助かります。これは上等ですね……。高級食材ですよ」

「タンとかハツとかキモとかも」

「はい、お引き取り致します」

「ではそれも」

 そう言って部材とついでに毛皮も渡す。


「うーん、いい肉です。教会に納めて喜ばれる品質です。素晴らしい。とても昨日今日冒険者になった方とは思えませんな。毛皮も傷一つない。どうやって獲ったのか不思議です」

「田舎で狩りして暮らしてましたので」

 実際には、魔族の連中と一緒に夕食に狩りをしたりとかしょっちゅうやってたからな。解体のテクニックとかも全部四天王の狼男、バルトーに習ったやつだ。いいやつだったよ。あの世界で一番の親友だったね。


「お見事です。高く買い取らせていただきますよ」


 おじさん鑑定を始める。

「二頭分ですか。ロースが一頭分足りませんな」

「ちょっと知人のお土産に」

「司祭様に喜ばれますのに、惜しいですな……。それだけで金貨1枚です」

 食い物にも糸目つけずかよ。教会マジ腐ってるな。

「二頭でロース一頭抜き、品質Aで金貨7枚でよろしいですかな?」

「どうぞ」

 で、俺はちょっと身をかがめて顔を近づけて声をかける。

「(あとはコレ)」(小声)

「(……こ、これはブルーダイヤモンド!)」(小声)

「(頼む)」

「(お任せください。ではお待ちください)」

 ……しばらく待つと、戻ってきた。

「(500枚でどうでしょう?)」

「(絶対に秘密にしてくれるならもっと安くてもいい)」

「(では450枚。それとこの件の貢献値とランクアップは無しで)」

「(了解)」

「(ありがとうございます!!)」

 交渉完了。ダイヤを持ってくるたびに貢献値とランクアップをガッチリもらったらたちまち俺が出所だとバレるだろうからな。

 

「ではお納めください。私はローナンと申します。以後買取の際は私をご指名ください。肉の鑑定も私の仕事ですからな。カードをどうぞ」

「ありがとう」

 そう言って立ち去ろうとすると冒険者パーティーに囲まれる。


「すげえなオッサン! いい腕してるぜ」

「解体できるってすげえよ」

「オッサン俺らのパーティーに入らねえか? 歓迎するぜ」


 ……うーん、なんか若くて元気よさそうな奴らだけど悪いな。

「すまん、一人でも稼げるんで組む予定はないな」


「うちには回復役もいるんだぜ、オッサンと一緒なら大物狙えるしよ」

「そうさ、人数いればもっとたくさん持って帰れるんだぜ? 一人でやるより絶対いいからさ、な、頼むわ」

「君らランクはいくつだ?」

「Dランクさ。一年やってDまで行けるパーティーってあんまりないんだぜ。まだまだ頑張るからさ、おっさんの弟子扱いでもいい! 後輩を育てると思って頼めないかい!」

「俺はFランクだよ。君らよりもずっと下」

 カードをこいつらの前でぶらぶらさせてみる。

「……うそっ」


「そういうこった。もっと釣り合ったやつに頼んでくれ。じゃあな」


 そう言ってカードをしまおうとして見ると、あれえEランクに上がってら。

 ちょろいな冒険者ギルド。

 レベルはなんか20のままだし。

 俺って素のステータスは全然上がらないな。

 若い奴らボーゼン。そんなに珍しいか?




「おかえりなさいませーサトウ様!」

「おっ、おうただいま」

 娼館チェルシーに戻るとメイド服のらぶちゃんが笑顔で出迎えてくれた。

 んっ、なんか嬉しいなやっぱり。

「ただいまパリス。はいお土産」

「おかえりサトウ。なんの肉だい?」

「カモシカのロース肉」

「……カモシカなんて市場で見たことないよ。本当に?」

「ああ」

「やっぱり大した男だねぇ。さっそくステーキにでもするかねぇ」

「まてまて、肉はすぐに料理すると焼いたら固くなってダメだ。氷とか作れるのか?」

「あたしが作れるけどね」

「じゃあ布でくるんでそれで三日ぐらい冷やしておいてそれから調理したほうが肉が柔らかくなってうまいんだ。いつも市場から買ってるとわからんだろうけどそうやって肉を熟成させてから売るのが普通だからな。三日たったら表面の肉をそぎ落としてステーキにしてみろ」

「わかった、そうするねぇ」

「部屋も今日から普通でいいぞ。長居するからあんな豪華で広くなくてもいいわ。広すぎて居心地悪い」

「そうだねぇ身なりがよかったんで金持ちかと思っていきなり一番いい部屋を勧めちゃったけど、自分で稼いでるホントの冒険者だったらあんまりお金使わせちゃ悪いわね。あとでうちの子一人診てくんないかねぇ」

「いいよ。どこでやる?」

「部屋で待たせてるよ」

「わかった。今日はいくらだ?」

「金貨2枚でいいよ」

「そりゃあ安すぎだろ?」

「そのかわり毎日来ておくれよ」

「わかった。そうするよ。でも金貨は3枚だ。いこうか、らぶちゃん」

「はいっご案内いたしますっ!」

 そういって腕に抱きつかれてルンルンのらぶちゃんと二階の部屋に行く。


 部屋に入ると、メイド服の女の子が一人三つ指ついて待っていた。

「ミミンです。よろしくお願いします」

「よろしく。支配人から話は聞いてるよ」

「ミミンちゃんは猫族なんですよ」

 うん、ネコミミだね。尻尾も細くてぴんと立ってる。小柄で可愛い子です。


 するするとメイド服を脱ぎ全裸になる。この子は人肌ですな。全身に毛はないよ。

「じゃあベッドにうつぶせになって寝て」

「……はい……」

 恥ずかしそうに身を伏せる。

 うん、一見ネコミミのコスプレですね。全裸になると尻尾以外は人間です。

 背中とお尻、ひっかいたようなミミズ腫れになってる。

 古傷も多い。ここの客はみんな変態ばかりかよ……。

「きゃう! にゃっ!! くすぐったいっ!」

「がまんがまん、おじさんにまかせてね」

「うにゃぁ……。……あったかくて気持ちいい……」

「んー……、ゆっくり、ゆっくりね」

 手のひらに【ヒーリング】を集中させてゆっくりと傷口を綺麗にしていく。


「……すごいですねサトウ様、古い傷跡も綺麗になっていきます……」

 な、すごいだろらぶちゃん。これはいやらしいことじゃないんだよお触りじゃないんだよ治療なんだよ。必要以上に撫でまわしているように見えるかもしれないけど必要なだけしか撫でてないよ断言していいよホントだよ。


「あの……」

「ん?」

「あの、できたらでいいんですけど、あの……」

 ミミンちゃんが尻尾をぴょこんと上に上げる。

「こっちも……」

 顔を真っ赤にして枕にうずめて、消え入りそうな声でつぶやく。


 ……ひでえなここの客。まったくなにやってくれてんだ。

 指先にオリーブオイル塗って、やわらかくもみほぐして治療する。


「あっぁはあん……あんっ……」

「我慢して我慢して、はいー、もうすぐ終わるから我慢してね」

「ふしゅーー……ぷくーー……」

 オリーブオイルで綺麗にふき取る。

「はい終わり。仰向けになって」

「はいい……」

 控えめな胸についた噛み跡も、よくもみほぐして綺麗にしていく。

「あっあんっ……」

「はい終わりー」


「ふしゅー……。あの……」

「ほら鏡で見てごらん」

「みゃうっ!!!」

 ミミンちゃんもびっくりの仕上がりです。

「みゃあああああ――――!」

 テンション高いです元気な子ですね。

 抱き着いてきて鼻をくっつけてきます。可愛いですね。

「さーびすさせてください! さーびすしますにゃあああ!」

「ダメ――――ッ!」

 らぶちゃんが割って入ります。

「だってサトウ様だってもうこんなになってるにゃあ――!」

「サトウ様のはラブがお世話するの――!」

「ミミンのだってこんなになっちゃってるにゃあ――――!」

「そんなの私だって――――!」

「にゃあああああああっ! じゃあ二人で、二人で!」

「いいってば――――!」

「……いいよミミンちゃん。これは治療で、支配人に報酬はもらってるようなもんだからさ」

「にゃあ?!」


 この後らぶちゃんにタップリ絞られました。

 そんなにいやらしかったかな俺の手つき。


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