これがアンタの策略ね!
「レオ、なんでジョーカーがここにあるのよ?ガルディアに渡したんじゃなかったの?」
フラーレイに聞かれる。そういえばそこは説明してなかったな。
「普通トランプには元々ジョーカーが2枚あるんだ。ババ抜きでは1枚余るってこと。」
「それ、アイツには言ってなかったわよね…もしかしてアンタ、」
「うん、ズルした。」
俺は机の下でカードをシャッフルするときにポケットからもう1枚のジョーカーを手札の1枚とすり替えていた。当然ガルディアはジョーカーを引いて大袈裟な程に悔しがる。俺はそのアクションのうちにカードを元に戻す。それを繰り返していたのだ。
「ってそれ、ガルディアが知ったらエラい騒ぎじゃない!!?バレたらどうす―――」
「分かってるよ。そのジョーカーはお前の魔法で処分してくれ。」
「…分かったわ。それにしてもアンタが頑張ったお陰でこの国も上々ね!!」
「知るか。俺はもう何もやらないからな。」
俺はまともにやる気はない。ただ勝って、ダラダラと過ごせる自由を手に入れたいだけだ。
「何よ、ガルディア国が味方なのよ?これから先は無敵、向かうところ敵なしよ!!必ずこの世界は私達が平和に――」
「俺は興味ない、勝手にやってくれ。ネルー!!俺を元の世界に帰してくれー!!まだかー!!」
フラーレイを無視して、俺は天に向かってネルに話しかけた。こんな厄介な世界、早くおさらばしよう。
『…あの、すみません。理由が分からないのですが、今転移が出来ないんです…。』
が、俺が家に帰ることはなく、残念な答えが返ってきた。…そういえば、これもラノベでは割りとある話だってユウヤが言ってたっけ。
「資金もう10万追加なー!!」
とりあえず俺は賠償金を請求しておいた。…どうするか。学校のサボり確定なのはいいが、流石に1週間以上はマズいし―――
「レオっ!今度はみんなでババ抜き大会だ!次こそはボクが勝つからなっ!」
ガルディアの元気な声が部屋に響き渡った。落ち着いて寝るのは無理そうだな。よし。
「俺が勝ったら最高級ベッド買ってもらうからな!」
仕方ないな、うん戻れないのなら仕方ない。俺はとりあえず深くは考えないで、今はこの自由時間をのんびり過ごすことにした。