ボクは絶対に、負けないんだ!
ユウヤにラノベ色々と頼んでいる間にもネルから敵であるガルディア国の情報を聞いた。向こうは大きくも小さくもない、最近発展してきた勢いに乗っている中型の国だということ、大将はちいさな子どもだが生意気だということ、魔法は使えないこと、それからetc。で、俺が持ってきたのはこれ。
「「「「「…トランプ?」」」」」
みんなが一斉に首を傾げた。ユウヤが『俺はエンターテイナーだからな!』と言って偶然持っていたトランプを借りてきたのだ。トランプはこの世界にはないらしい。俺はとりあえずババ抜きのルールを説明した。
「ってそれで倒せるんですかっ!!?」
「ちょっと、アタシは武器を持ってこいって言ったのよ!!?確かに見たことないけどっ…」
「まあ一応考えはある。いいか、まずは―――」
俺はみんなに自分考えた作戦を伝えた。
そして、数時間後、ガルディア国が攻めてきた。大量の騎士を見れば分かる、コイツらは強い。
「ゼネルファーテ!お前の国はガルディアのものだっ!今なら降伏を許してやるぞ?早く答えろっ!」
威勢よく小さな女の子が声を上げる。あのチビがガルディア…大将か。フラーレイよりも小柄な体型だが、態度はフラーレイより大きそうだ。
「ガルディアさん、降伏はしませんっ!私達には別世界からの新たな力がありますからっ!」
ネルに合図され、俺が前に出る。敵の騎士たちがざわついていた。意外に別世界効果は抜群らしい。
「べ、別世界人だとっ!?ボボボボクはそんなチートがあるなんて聞いてにゃいぞっ!!?」
いや効きすぎだろ!しかしコレなら作戦は上手く行くかもしれないな。
「ガルディア様、俺は別世界から来たレオと申します。以後お見知りおきを。」
丁寧に話しかける。若干棒読みでな。こんなのやりたくないが、今は仕方ない。
「お、おう。礼儀はわきまえているようだな!そ、そうだ、ボクがガルディアだ!ガルディア国の王にし、して、この世をすべりゅう…」
「ガルディア様、俺から提案があります。」
めちゃめちゃテンパってる所悪いが、こっちは話を進める。ここからが本題だ。
「今は向かうところ敵なしという強さを誇るガルディア様と、こちらの世界のゲームで戦って欲しいのです。もしこちらが負ければ、ゼネルファーテ国全員、潔く降伏し下僕となりましょう。二言はありません。」
「ふ、ふざけるなっ、勝手なルールを決めて!!ボクはどんな勝負だって負けないが、こんな」
「おや、どうされました?初の敗北が怖いんですか?」
見え透いた挑発。ここで間違えば即アウトだが、どうやら上手く行ったようだ。
「いいぞ、やってやる!!お前を倒せば世界を手にしたも同然だからな!!ボクの強さを見せてやろう!!」
見た目通り子どもだ。よし、ここまできたら後は突っ走るだけだ。俺はトランプをガルディアに渡した。…キラキラした目で見てやがる。俺はババ抜きのルールを説明した。そしてルールは平等、シャッフルや配布は任せるということを伝えた。
「なんだ、簡単だな!ふふん、これならボクの勝ちも同然だな!」
こうしてババ抜きスタート。ちなみにババ抜きなのに一騎討ち。当然手札はお互いかなり少ない。決着は早くつけて、家で寝ないといけないからな。
「それじゃあ、ゲームスタート!」