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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第5章 異世界生活5日目以降 ファスタル裏通りのマッピング~地下遺跡
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10日目終了 飲み~サラの生い立ち~ユラの想い

 ユラさんに連れて行かれた飲み屋は研究所の近くにある普通の居酒屋っぽい所だった。

 ユラさん仮にも王族なんだからもっと高級なバーとかで飲んでるのかと思ったら、全然そんなことはないようだ。

 ユラさんが店に入ると、


『おう、いらっしゃい。

 ああ?

 なんだ今日はえらい若い兄ちゃん連れてるじゃねえか』


 と飲み屋のオヤジに言われていた。

 いや、俺そこまで若くないけどな。

 普段どんな人と飲んでるんだ。


 ああ、武器屋の店主みたいなのか。


『馬鹿ねえ。

 同年代よ。

 普通よ。

 いつも飲んでるのがおっさん過ぎるのよ』


 そういえば、俺ユラさんの歳って知らないんだよな。

 確かに同年代っぽい。

 聞けないけど。

 そういえば、サラの歳も知らないな。


『ねえ、ユウト君。

 同年代よねえ?』


 まだ飲んでないはずなのに、もう絡み酒っぽい。

 いや、もうこの人酔ってるんじゃないの?


「いや、俺ユラさんの歳知りませんし」


『あれ?そうだっけ?

 私今年で28よ』


「ああ、じゃあ俺は1個下ですね」


 28なんだ。

 28で国の研究所の責任者ってなんだそれ?

 どんな才媛だよ?

 ユラさんの感じから言って、王族の権力とかじゃないんだろうな。

 まあ、権力もないわけじゃないだろうけど。

 すごい実績とかあげてるんだろうな。


『やっぱり同年代じゃない』 


「サラは何歳なんですか?」


 ちょうどいいから聞いてみた。

 本人には聞けないし。


『え?知らないの?

 だからあんたたちはダメなのよ。

 今日はその説教をしないといけないのよ。

 サラは19よ』


 サラって未成年だったんだ。

 この世界に成人とかの概念があるのか知らないけど。

 8個下か。

 ギリギリかな。

 いや、何がギリギリだ?


『あんたたちねえ、なんであんなにベタベタしてるくせにくっつかないのよ?』


 ユラさんは注文した酒を煽りながら聞いてくる。


「いや、ベタベタしてませんよ」


『してるわよ。

 いっつもサラ~、ユウト~って言って仲良さそうにしてるじゃない。

 それなのに、未だに敬語ってどんだけよ』


 これは素面のテンションなのか?

 それとも、やっぱり絡み酒なのか?

 どっちにしてもめんどくさいな。


「いや、未だにって言いますけど、まだ会って10日しか経ってませんよ」


『子供かっつうのよ。

 もういい大人なんだから、会ったその日に押し倒すくらいしてもいいのよ』


「いやいや、それはダメでしょう」


『いいわよ、どうせサラだって嫌がらないわよ』


 いや、ホントこの人何言ってんだ?


「いや、嫌がりますよ。

 サラはユラさんとは違いますって」


『何よ、それは私だったら嫌がらない、みたいに言ってる?

 私は嫌がるわよ。

 サラはあんたに押し倒されるんなら嫌がらないって言ってんのよ』


 めんどくせっ。

 ていうか、さっきから店で飲んでる他の席の人が俺のことをすごい睨んでるんだって。

 怖い怖い。


「ユラさん、声でかいですって。

 外でする話じゃないですって。

 俺とサラのことは別に問題ないですから、ちょっと話題を変えましょう」


『逃げるつもり?

 そうはいかないわよ。

 そんなだから、全然進展がなくてイライラするんだから』


 ああ、止まらない。

 誰か助けてくれ。


『がっはっはっは。

 ユラはそんなんじゃ止まらんぞ~』


 と馬鹿笑いしながら武器屋の店主が突っ込んでくる。

 気づかなかった。

 後ろで飲んでたらしい。


「あ、武器屋の。

 だったらどうやったら止まるんですか?」


『そりゃあ、もっとおもしろい話をするとかだな』


「いや、それは無理ですって。

 あ、でも俺ユラさんに言いたいことがあるんです」


『え?

 なになに?

 告白?

 きゃ、サラに怒られちゃう』


「違いますよ。

 サラの辺境の調査のことです」


『なんだ?仕事の話?

 つまんない』


 いや、さっきサラに仕事の話するって言ってただろうに。


「サラの辺境の調査は何で一人で行かせてるんです?

 いや、一人で行かせるのはまあ、しょうがないです。

 バイクがないらしいから。

 せめて、遅れてでもいいから、護衛の人を行かせるとかした方がいいんじゃないですか?」


『全く。

 だから相思相愛だっつってんのに。

 あのね、私がサラを危険にさらしたいと思ってるわけないじゃない。

 あの調査にはね、本来の調査以外にも色んな意図があるのよ』


「え?

 どんな?」


『ユウト君、これはサラには言っちゃだめよ。

 サラのためにやってることなんだから。』


 俺には言っていいんだろうか。


「分かりました」


『サラはね、自分に対する自信が足りなすぎるのよ。

 あなたから見てサラはどう?』


「え?

 どうって、そりゃすごいですよ。

 かわいいし、性格いいし、頭もいいし、素直だし、がんばるし」


『ああ、はいはい、こっちから聞いておいて申し訳ないけど、もういいわ、おなか一杯よ。

 まあ、でもそうよ。

 あの子はすごいのよ。

 それなのに、全然自分に自信がないのよ』


「そういえば、そんな感じですね。

 友達も全然いないって言って凹んでましたし。

 なんでサラに友達がいないのか分からないんですけど」


『それはね、ニグートのバカどものせいなのよ。

 思い出すだけでも腹立つわ。

 あの子はね、元々すごい箱入りで育てられたのよ。

 まあ、末っ子だし、みんなからものすごく可愛がられて、それ自体は良かったんだけど。

 小さい時から常に周りに家族の誰かがいたわ。

 相当過保護だったのね。

 それでね、うちは一応ニグートの代表をしているから、みんなから愛されているサラはすごく利用価値が高いと考えるバカが多かったのよ。

 サラはかなり幼いうちから、そんなバカに寄ってこられて取り入ろうとされてたみたいなの。

 子供って自分に向けられる感情には敏感だったりするじゃない?

 サラは、自分にはたくさん人が寄ってくるけれど、決して自分のことを思って寄ってきているわけじゃないって分かってたみたいなの。

 近づいてくる大人たちのことをすごく気持ち悪く感じていたらしいわ。

 そんな風に、常に家族がそばにいるか、おかしな大人たちが寄ってきているような子に友達なんてできるはずがなかったのよ。

 それでも、そんなサラにも転機はあったわ。

 学院入学ね。

 サラはマナの扱いに非凡な才能を示していたから、学院にも早くに入学したわ。

 11歳だったかしら。

 とにかく、普通の子より、ちょっと早く入学したのよ。

 それで、最初は周りの子から鬱陶しがられていたみたいなの。

 年下なのに自分たちより優秀な子だから、妬まれて当然ね。

 でも、サラは自分の優秀さを鼻にかけるような子じゃないから、徐々に周りにも馴染み始めたらしいの。

 テストの前に一緒に勉強する友達ができたって喜ばれたことがあるわ』


 それって、友達じゃなくて、ただサラに勉強を教えてもらいたかっただけじゃ、とは言えないよな。


『まあ、あなたも察している通り、友達と言えるほどの関係ではなかったと思う。

 でも、あの子にとってはそんな関係ですら、嬉しいものだったのよ。

 それくらい、友達がいなかったのね。

 で、まあ最初は一緒に勉強するだけだったみたいだけど、一緒にいたらあの子の良さなんてすぐに分かるでしょ?

 その時、サラにも本当の友達ができかけたのよ。

 そこで、またニグートのバカがやらかしたのよ』


「何か邪魔をしたんですか?」


『邪魔なんてものじゃないわ。

 あの子にできた友達がニグートの王家と付き合うにふさわしくない、とか言って、その友達の家に行って親に言ったらいいのよ、サラに近づけるなって。

 それで、そんなこと言われて気分いい人なんていないに決まってるわ。

 その友達の親御さんはその子にサラに近づかないように言ったらしいのよ。

 でも、子供って親の言うことなんて聞かないじゃない。

 最初は本人たちは気にせず、友達になろうとしていたのよ。

 そしたら、次は学院にいるバカの子供に指示して、その友達に嫌がらせし始めたらしいわ。

 嫌がらせまでされて、サラと友達になりたかったわけじゃないから、その子はすぐに離れていった。

 そんなことの繰り返しで、サラは学院時代にも友達ができなかったのよ。

 そんな状況のまま、サラは学院を15歳で卒業したの。

 普通は19歳くらいで卒業することが多いから、これはかなり早いペースね。

 で、一応学院を卒業したらそれなりに一人前として世間から認められるから、それまで以上にサラを利用しようとするバカが寄ってくるのが目に見えてたのよ。

 だから、そんな状況になるのが嫌だったから、私がファスタルに連れて来たの』


「え?

 それって大丈夫だったんですか?」


『大丈夫じゃないわよ。

 学院を卒業して、さあ、サラを利用しよう、みたいなやつがいっぱいいたからね。

 でも、私は色々な研究でそれなりに実績もあるし、ニグートも私のことは無視できないから、無理矢理引っ張ってきたの。

 ああ、もちろんサラの意思を優先したわよ。

 私がニグートに留まるか、ファスタルに来るか聞いたら、こっちに来るって即答したわ。

 だから、すぐに連れて来たの。

 こっちに来ても最初は研究所のみんなも余所余所しかったりしたんだけど、あの子がんばり屋だから、すぐに認められたわ。

 元々、研究所にいる人間は身分とかに無頓着なタイプが多いし、私が特別扱いするなって言ったのもあるしね』


 ユラさんはサラのために色々してくれてるんだな。


『それでね、サラは卒業後、すぐにこっちに来たんだけど、それまで色々あったせいで自分に自信がなかったのよ。

 もちろん、勉強の成績は申し分なかったから、そこは自信はあるみたいだけど、友達の一人さえいなかったから、人間としての自分に自信がなかったの。

 だから、私はあの子に自信をつけさせようとしたわ。

 辺境の調査はその一つよ。

 危険があることは分かっていたけど、あの子ならできると思っているの。

 あの子は元々マナの制御に関する知識があったから、結界石を作ることから始めさせたわ。

 それで、ある程度見通しが立ったところで、辺境に設置させたの。

 もちろん、最初の設置の時は、護衛をつけたわ。

 で、その後の調査に関しては、毎度毎度護衛を付けていたんじゃ、あの子も一人前と認められていないと思いそうじゃない。

 だから、一人でさせているのよ。

 もちろん、バイクが1台しかないのもあるけど。

 あの子はちゃんとこなしているし、ファスタルの人たちにも感謝されているわ。

 あの子が街に出た時には街のみんなから挨拶とかされているはずよ。

 それで、あの子に人に認められているって感じてもらって自信をつけてほしかったのよ』


 なるほど。

 だから、サラが街に出るときにはあんなに挨拶されるのか。

 王女様だからかと思っていた。


『それは、ある程度効果はあったと思うわ。

 あの子も自分の仕事の成果に自信を持っていると思うし、街の人との距離もちょっと近づいたと思っている。

 でもね、ちょっと効果が大きすぎたというか、街の人がサラのことを持ち上げすぎてるのよ。

 ものすごい感謝していて、そのせいでサラは逆に距離を感じてしまう、というか』


 ああ、確かにそういう感じだったな。

 一緒に食事を食べた時とか、店の人、サラにすごい気を使ってたもんな。

 それに、サラがキュクロプスがいなくなって、すごい気にしてたけど、サラにとってはあれはただの調査以上の意味を持っているからなんだろうな。


『その上、まだサラのことを諦めていないニグートのやつからちょくちょくサラに手紙が届いているのよ。

 辺境の調査を褒めて、よくやった、おまえはニグーの誇りだ。

 ニグートに帰ってきて、研究をしたらどうか、とかなんとか。

 そんな手紙が届くせいでサラは余計にニグートとのつながりと学院での思い出を忘れられなくて悩んでいるのよ』


「なんですか?

 ニグーの誇りって?」


『知らないわよ。

 ニグートの年寄り連中が使う決まり文句よ。

 ニグートの創始者たるニグーの偉業を称えよ、とか言ってるわ。

 何百年前の話をしてるのよ、全く。

 まあ、とにかく辺境の調査にはサラに自信をつけさせる意図があるから、できるだけあの子に任せる必要があるのよ。

 でもね、誤解がないように言っておくけど、ちゃんとあの子の安全は考えているのよ。

 あの子が使っているバイクにはね、発信機がついているわ。

 精度はよくないけど、あの子のバイクに何かあったら、研究室で分かるようになってる』


 この世界にも発信機とかあるんだ。

 そういえば、通信手段って何があるんだろう、聞いたことなかったな。

 今度、聞いてみよう。


『それで、あなたが現れた日もバイクになんらかの異常があったのはすぐに分かったわ。

 だから、私も研究所を飛び出したのよ。

 でも、すぐにまた動き出して、帰ってきているのが分かったから、私も戻ったわ』


 そうだったんだ。

 良かった。

 サラは俺が現れなくても大丈夫だったんだな。


「そうだったんですか。

 良かった。

 サラはこれからも調査をするんでしょうから、ただ危険な状態なんだったら、何とかしないといけないって思ってました」


『全く、そんだけ心配するんだったら、今度からユウト君もついて行きなさい。

 あなたなら、ついて行ってもサラは喜ぶだけだから大丈夫よ。

 大体ね、さっさとあんたとサラがくっついたら問題ないのよ』


 話が戻ってしまった。


「いや、ユラさん、いつもそう言いますけど、俺みたいなのがサラとくっついたらニグートの偉い人が嫌がるんじゃないですか?」


 あ、盛大にため息をつかれた。


『あなたね、さっきの私の話、ちゃんと聞いてた?

 私はそのニグートの偉い人間がサラに近づくのが嫌だし、サラも嫌がってるって言ったじゃない。

 私はサラには普通に幸せになってほしいのよ。

 さっきから言ってるみたいに色々私も手は尽くしているけど、ファスタルに来て4年が経つのに、サラには友達はできなかったわ。

 それでも、毎日それなりに楽しそうに過ごしているから、これでもいいかなって思ってたのよ。

 そしたら、急にあなたが現れたの。

 正直、最初は怪しいと思ったけれど、サラがあなたのことを嬉しそうに報告するから、怪しさなんてどうでもいいと思ったわ。

 あなたはサラにとって長年待ち続けた対等の立場になれる人間なのよ。

 私にとっても、あなたならニグートにちょっかい出されても気にしなさそうだから、待ち望んだ人材と言えるわね』


 なるほどなあ。

 納得はしたけど、問題はサラの気持ちの方なんだよな。

 俺はもちろんサラのこと好きだけど。

 元の世界にいたときに、周りからそそのかされて、俺自身も脈ありだと思っていた女の子に告白したことがある。

 見事に玉砕した。

 なぜ振られたのか未だに分からない。

 俺のトラウマの一つだ。

 周りが大丈夫と言っても、自分も大丈夫だと思っても、うまくいかないことがある。 

 それが恋愛らしい。

 それ以来、俺は自分から告白なんてしていない。

 いや、二度とするつもりもない。


「まあ、俺だってサラのことは好きですけど、いきなりくっつくとかはないですって。

 サラだって俺のこと友達と思ってるだけかもしれないし」


 ユラさんは俺の方を驚愕、って感じの顔で見ていた。


『こりゃだめだ。

 やっぱサラの方を攻めないと』


 とか言っている。

 独り言のつもりだろうか。

 ユラさんの呟きっていっつも聞こえてるんだよな。

 まあ、俺としては、サラは好きだけど今すぐどうこうする気はない。

 今の関係も心地いいし、壊したくない。


「あ、そういえば、俺最近依頼で収入ができたから、そろそろサラの家から出た方がいいですかね」


『あんた、それ本気で言ってんの?

 サラの家出てどこに行くつもりよ?』


「いや、研究所で空いている部屋を探そうかな、と」


『ぶっとばすわよ。

 そんなことしたら、サラがあなたに嫌われて出て行かれたと思うかもしれないじゃない。

 サラの家から出るなら、研究所にあなたの居場所はないと思いなさい』


 めちゃくちゃだな、この人。

 まあ、サラの家にいていいなら、俺もその方がいいけど。


「わ、分かりました。

 当分、サラにお世話になることにします」


『それでいいわ。まったく、危ないわね。』


「あ、そういえば、俺が最初に渡した軽食って分析したんですか?」


『ああ、あれね。

 まだ分析中よ。

 というかね、私には分析しきれなかったのよ。

 非常にバランスの取れた食べ物ってことは分かっているわ。

 でも、サラに報告されたような効果があるかどうか分からなかったの。

 だから、分析が得意な研究者に任せてるわ。

 今は特定の生物に対して、有効な効果があるかどうかの試験をしている所ね。

 結果が分かったら教えるわ。

 あなたには心当たりはないの?』


「ないですね。

 ただの軽食だと思ってます」


『そう。

 まあ、それは結果次第ね。

 はあ、話し疲れたわね。

 もっと飲みましょ』


 そう言って、酒を注がれた。

 俺、酒はそんなに好きじゃないんだけどな。

 なんか焼酎っぽいものを飲まされている。

 ユラさんは話しながらもどんどん飲んでいる。

 赤ら顔だ。


 その後は、ユラさんに仕事の愚痴を言われていた。

 あなたは統括と探索して楽しそうでいいわね、とか言われた。

 いや、楽しくはないんだが。

 しばらく愚痴った後、ユラさんは潰れた。


『ああ、また潰れやがったか。

 いつもは俺が運ぶんだが、今日はお前に任せた』


 と、武器屋の店主に言われた。

 まあ、しょうがないか。


 ユラさんを背負って研究所に戻った。

 背中に当たる2つの山については、考えないことにした。

 

 研究所に着いて、ユラさんの部屋に向かう。

 鍵は開けたまま出たから、そのまま部屋に上がり込んだ。

 ユラさんは気持ちよさそうに眠っていたから、ベッドの上に寝かせて、部屋を出た。


 その後、家に帰って、玄関のドアを開けると、リビングの方からサラが出てきた。

 あれ、待っててくれたのか?


「サラ、まだ起きてたんですか?」


『ええ、マナを使う練習をしてました』


 ホントに真面目だな。


『お姉ちゃんに変なこと言われなかったですか?』


「ああ、言われましたねえ。

 なんか色々絡まれましたよ」


『どんなこと言ってました?』


「いえ、特に意味はないですよ。

 仕事の愚痴とか」


 サラを押し倒せと言われた、とか言えるわけない。


『そうですか。

 今日はもうお休みになりますよね?』


「そうですね。

 明日も探索するし、俺も酒を飲んだから、あんまり頭も働かないし」


『私ももう寝ますね。

 おやすみなさい』


「ええ、おやすみなさい」


 その後、シャワーだけ浴びて、部屋でルッツを抱き枕に眠った。

 




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