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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第4章 異世界生活4日目
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平和な朝

 ルッツとの朝の日課の運動を終えて、家に帰った。


 家のドアを開けて、中に入ったら、ちょうど中からサラさんが出てくるところだった。


「あ、サラさんこれから仕事ですか?」


『はい。

 行ってきます。

 多分昨日と同じくらいの時間に終わると思います。』


「そうですか。

 俺は今日も研究所内で過ごすつもりです。

 時間があったら図書館にも行ってみたいんですけど、登録証がなくても大丈夫ですか?」


『事情を説明したら大丈夫ですよ。』


「よかった。

 あ、引き止めてすみませんでした。

 がんばってきてください。」


『はい。行ってきます。』


 と言って、サラさんは出勤していった。


「とりあえず、シャワーを浴びるか。

 ルッツ、ちょっと待っててくれ。

 シャワーを浴びたら食堂にご飯を食べに行こう。」


 シャワーを浴びてる間にちょっと考えていた。

 なんだかこの世界に来てからやたらと体調がいい。

 寝覚めもいいし、ルッツと運動していても調子がいい。

 最初にこの世界に来たときにも活力がみなぎるように感じたし。

 空気中のマナが日本より濃いから、それが影響している、みたいな異世界小説にありそうな現象を期待していたけど、マナの性質を理解した今、マナが原因でないことは、はっきりしたと思っている。


 他に原因になりそうなものと言えば、


「やっぱり、仕事のプレッシャーから解放されたから?」


 なのかなあ。

 俺が気づいてなかっただけでだいぶ仕事に追い詰められてたのかな。

 まあ、こっちに来てからサラさんとルッツという癒しがそばにいてくれるというのも、でかいかもな。

 食堂の飯もうまいし。

 本当に今の環境に感謝だ。


 それから、シャワーを上がって、ルッツと朝飯を食べに行くことにした。


「ルッツ、食堂に行こう。」



 食堂に着くと、またもや巨漢のおっさんを見かけた。

 まあ、おっさんも中庭で運動してたんだから、そのまま朝飯を食いに来たんだったら、時間が被るのも意外ではない。


 おっさんは朝からめちゃくちゃな量を食べていた。

 ほんとやることなすこと豪快っぽいんだよな。


 朝食を食堂でとる人は結構多いらしく、それなりに席は埋まっていた。

 と言っても混雑しているというほどではないが。


 俺は注文した朝食セットとルッツの分の朝ごはんを持って、席を探していた。

 その時、たまたまおっさんの近くを通ったんだけど、おっさんが俺の方を見て、軽く手を挙げながら


『おう。』


 と、一声かけてきた。

 声をかけられたのはちょっと意外だったが、軽く会釈しながら、


「どうも。」


 とだけ、返しておいた。

 どうやら、おっさんも俺のことは覚えているみたいだ。

 まあ、サラさんと一緒にいるところを見てたし、サラさんはここの研究所の男連中に人気っぽいからな。

 おっさんはどうもそういう男連中とは、雰囲気が違っているが。


 まあ関わる気はないが、挨拶くらいはしてもいいだろう。

 朝練仲間だし。

 いや、俺が勝手にそう認定してるだけだけど。

 関わる気がないとか言っときながら、おっさんに声をかけられたのはちょっと嬉しかったし。


 それから、ルッツと朝飯を済ませた。

 いつも通り、食堂の飯はうまかった。

 ここのおかげで俺とルッツは毎日元気です。

 値段もリーズナブルだし。

 安さは正義だ、と考えてしまう貧乏人の悲しい性だな。

 いつか、値段を気にせず高い飯を食いに行ける様になってみたいものだ。


「ルッツ、そろそろ家に帰ろう。」


 とルッツに声をかけて、家に帰った。



 家についてから、昨日の夜予定したとおりに、午前中はマナの使い方を練習することにした。

 いつも通り、ルッツは家に着いたらソファの定位置に丸まった。

 子犬なのにほんとに良く出来たわんこだと思う。

 ペットは飼い主に似る、と言うけど俺はルッツに会ってまだ数日だし、俺に似たら多分こんなにいい子に育たない。

 多分元からいい性格なんだろうな。

 サラさんにはちょっと似ている気がするけど。


 そういえば、ルッツがあの辺境にいた理由は未だに分からない。

 調べてもいないから、分かることはないかもしれない。


「お前が話せたら、色々事情が聞けるんだけどなあ。」


 と、犬を飼っている人が一度は思ったことがあるであろうことを考えていた。




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