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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第4章 異世界生活4日目
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異世界生活4日目朝

「んん?

 ああ、ルッツか。

 おはよう。」


 今日はルッツに顔を舐めて起こされた。

 寝坊したわけではない。

 位置を考えるに、俺が寝ぼけてルッツを枕にしようとしたから、舐めて起こしたみたいだ。

 かしこい子だ。


 時刻は六時過ぎ。

 うん、早起きだ。

 寝覚めはいいし、二度寝するのももったいないから、もう起きよう。


 昨日けっこうマナを使う練習をしたから、今日何か影響が出るかと思ったけど、特にないみたいだ。

 魔力切れ、みたいなありがちな展開も考えたけど、どう考えてもマナと魔力は違うもんな。


「よし、ルッツ。

 今日も行くか。」


 と、ルッツに声をかけて、中庭に行くことにした。


「一応サラさんにも声をかけたほうがいいよな。」


 昨日、気が向いたときにサラさんも連れて行く、と約束したので、声だけはかけようと思った。

 サラさんの部屋の前に行くと、中からごそごそ音がしたので、もう起きているみたいだ。


「サラさん、おはようございます。

 ちょっとルッツと中庭に行ってきます。」


 と声をかけると、中からサラさんの寝起きっぽい声が聞こえた。


『はぁい。

 私も仕事が休みの日にご一緒しまぁす。』


 ちょっと間延びしている感じがかわいいな。


 よし、じゃあ行くか。



 中庭に着くと、今日も


『どぉっせぇえええええええええい』


 とか


『うぉっしゃぁあああああああああ』


 とかの絶叫とともに地響きが起きていた。

 うん、おっさんは今日も元気だ。

 俺も負けてられない。


 と、ふと思った。

 あの依頼の掲示板にあった【中庭の整地】。

 あれって、確か週一で中庭の整地を行うって内容なんだけど、週一は多いなと思ったんだ。

 それって、このおっさんが毎日ボコボコにするからそんな頻度でやらないといけないんじゃないか?

 いや、それなら原因はおっさんなんだから、自分で整地させればいいだろ。

 と、思ったけど、確かに今のあの怒号の中を近づいて、整地しろって言うのは難しいわな。


 まあ、簡単な依頼という雇用を生み出しているからオッケーなのか?

 黙認されているみたいだから、俺が気にすることでもないか。


 よし、気を取り直して、


「ルッツ、行くぞ。

 今日は昨日よりもハンデ少なめで行くぞ。

 いけるか?」


『わん。』


 多分、大丈夫だ。と言ってると思う。

 回を追うごとにルッツのスピードは上がっている。

 まあ、まだ俺の全力には届かないが、ハンデを減らしてギリギリの勝負にしないと俺もルッツもおもしろくない。

 さすがにルッツが成長しきったら俺より速くなるかもしれないが、そう簡単に負けるつもりはない。

 俺にも長年鍛え続けたプライドがあるからな。


 そういえば、まだルッツに会ってから四日なんだけど、最初の痩せていた面影は全くなくて、毛艶もすばらしい、立派な子犬になっていた。

 ルッツ自身の回復力がすごいのか、食堂のコックさんが栄養満点のご飯をくれるおかげか、理由は分からないけど、この分だとかっこいいグローネンダールに成長しそうだ。

 いや、グローネンダールかどうか分からんけど。

 とにかく、楽しみだ。

 そんなことを考えながら、ルッツと動きまくった。



 一時間くらい運動したあと、


「よし。この辺にしとこう。

 帰るぞ、ルッツ。」


 と、声をかけて帰ることにした。


 ちなみにおっさんはまだやっていた。

 すごいおっさんだ。

 俺は元気なおっさんが嫌いではない、というか好きだ。

 いや、変な意味じゃなくて、俺もいずれはそんなおっさんになりたいと思っている。

 まあ、アラサーだから、子供から見たら既におっさんかもしれんが。

 あのおっさんは関わると面倒そうな気がしているが、よく食べ、よく運動し、マイペースでぶれない、しかもサラさんと一緒にいる俺を見ても敵意を向けない、すばらしいおっさんだ。

 見ていて元気になれるな。

 関わる気は一切ないが、


(これからも一緒に朝練がんばろうぜ、おっさん。)


 と勝手に心の中で話しかけて、家に帰った。





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