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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第3章 異世界生活3日目
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すごい人 ‐ サラ視点 ‐

 今日もユウトさんはすごかったです。



 今日はいつもより寝覚めがよかったです。

 昨日の夜にユウトさんに頼りにしている、と言われたのが残っているのか、とても機嫌が良かったのが自分でも分かりました。


 私はいつも朝起きてから一度シャワーを浴びるのですが、昨日の朝は廊下でユウトさんと会って、恥ずかしい姿を見せてしまいました。

 今日は、そんなことがないように廊下に人がいないのを確認してから部屋を出ました。

 玄関のユウトさんの靴がなかったので、外出しているみたいです。

 朝ごはんには早いと思うので散歩にでも行ってるのかな。


 私はサッとシャワーを浴びてから、身支度を整えて、朝ごはんの準備をしていました。

 すると、玄関のドアが開く音が聞こえて、ユウトさんとルッツ君が帰ってきたところでした。

 ちょうど良かったから、朝ごはんにお誘いしました。

 ユウトさんはルッツ君と運動してきたみたいで、髪が少し乱れていてかっこよかったです。


 朝ごはんを作っているときにユウトさんになぜか謝られましたが、何も悪いことはされていないので、よく分かりませんでした。

 その後、ルッツ君とこれから毎日運動するらしいので、私も参加できるときはさせてもらうことにしました。

 ごはんの後、すぐに仕事に向かったのですが、ユウトさんがお皿洗いをしてくれました。

 やっぱりユウトさんはすごく優しいです。



 今日の仕事は普段の研究の前に一昨日の辺境の調査の報告書を作ることでした。

 一応、お姉ちゃんには口頭で報告は済ませているので、社内保管用の資料作成です。

 いつも作っているんですが、今回は色々いつもと違うことが起きていたので、いつもとちょっと違う報告書になりました。

 これから詳細調査をしてくれる守備部隊の人たちのことは心配ですが、ユウトさんに会ったことを書いていると顔が緩んでしまいます。

 守備部隊はベテランの調査員の方々で構成されているので、あまり心配することはないはずですし。


 報告書を作った後、お姉ちゃんに会いに行って、ユウトさんの調査員採用の推薦をしました。

 その時に数学の本をユウトさんが簡単に理解していたことも話しました。


『ふーん、ちょっと信じがたいけど、あんたの言ってる事が本当ならその人はものすごい逸材ね。

 私の目で確認する必要があるわね。』


 と、言われたのがちょっと気になりましたけど、


『まあ、調査員の件はすぐに手配するわ。

 大丈夫そうだったら、すぐに登録してあげる。』


 とも言ってくれたので一安心でした。

 ユウトさんが研究所で手持ち無沙汰になって、どこかに行ってしまったら困りますから。



 お姉ちゃんに報告した後は、普通に仕事をしていました。

 今の私の研究テーマは結界石の効果の最大化と簡易化です。


 ちょっと気になる所があって、お姉ちゃんに相談しに行ったら部屋にいませんでした。

 分析室にでも行ったのかと思って探しに出ました。

 なかなか見つからなかったのですが、ふと中庭を見ると、ユウトさんに話しかけるお姉ちゃんの姿が見えました。

 何をしているのかと思ったら、お姉ちゃんはユウトさんに近づいて、体をベタベタと触りだしたのです。

 ユウトさんは明らかに困っているようでしたから、助けに行かないと、と思って急いで中庭に向かいました。

 その場について、話を聞いてみると、体に触られたけど、何もなかったそうです。

 お姉ちゃん、ユウトさんの体を触りまくってたみたいです。


 ちょっとうらやましいけど、ユウトさんが困ることをするのはどうかと思います。


 あと、ユウトさんはお姉ちゃんと私を間違えたそうです。

 顔はすごく似てるってよく言われます。

 自分ではそんなに似てるとは思わないんですけどね。


 その時、お姉ちゃん自身で確認したらしくて、ユウトさんの調査員採用を決めてくれました。

 ユウトさんならすぐに採用されると思ってましたけど、ほんとにすぐに決まりました。

 ユウトさんは謙遜してたけど、お姉ちゃんに認められるのはけっこうすごいことなんです。


 その後、一緒に食事をとって、色々話をしました。

 ユウトさんに調査員の統括のことを話しました。

 ユウトさんは多分統括にすぐに気に入られると思います。

 統括はすごく有能でごつくて豪快な人です。

 ユウトさんはものすごく誠実で頭もよくて、運動もめちゃくちゃできるから、統括と話が合うと思います。


 食事の後は掲示板を見に行って、ユウトさんの初依頼の申請をしました。

 ユウトさんなら、裏通りのマッピングを進めて、私みたいに裏通りで迷う人を減らしてくれると思います。


 それから私がシャワーを浴びている間にユウトさんはまた勉強していました。

 そして、本当に一日で本を読み切ったみたいです。

 入門書とはいえ、普通のことではありません。


 色々質問もされましたが、どうもユウトさんはあの本の内容は全て理解していて、あの本には書いていない、もう一つ上のレベルのことが聞きたかったみたいです。

 【あの国】のことは言いづらかったですが、ユウトさんはそれほど気にしないでくれたみたいです。

 そういえば、最初お姉ちゃんに言われて、ユウトさんは【あの国】の研究者か何かで記憶を消されたと思っていましたが、今ではそれは違うと思っています。

 なぜかは分かりませんが、ユウトさんは本当に色んなことを知らないだけだと思います。

 あんなに頭もよくて、色んなことを知っているのに、普通の人が知っているような常識を知らないみたいです。

 それはとても不自然なことですが、私はユウトさんを信頼していますから、気になりません。

 事情があるのなら、いつか話してくれたら嬉しいな。


 そして、ユウトさんは本の最後の言葉にとても共感してくれたみたいです。

 あの部分は、学院の偉い人の間でちょっと問題になりかけたのですが、私がとても好きな言葉でもあります。

 ユウトさんが同じ考えで本当に嬉しいです。

 お姉ちゃんも喜ぶと思います。

 本を書いたのがお姉ちゃんだと言うと、ユウトさんはとても驚いていました。

 まあ、普段のお姉ちゃんだけを見てると、そういう反応になるのも仕方ないです。

 お姉ちゃんが悪いと思います。


 そのあと、今日一番驚いたことがありました。

 まず、ユウトさんは簡単に説明しただけですぐにマナを使うことができました。

 これは予想していたので、それほど驚きませんでした。

 十分すごいことではありますけど。

 それより、そのあと複数のマナを制御する、ということをすぐにやったのです。

 これは、本当にありえないと思います。

 ユウトさんはあんまり分かっていなかったですが、そもそも何年練習しても複数は使えない、という人の方が多いのに、5分もしないうちにできる、というのははっきり言って異常です。

 ユウトさんは冗談で言ったと思ったみたいですが、お姉ちゃんが見てたらほんとに解剖しかねないです。


 その後、少し話してから私は寝ることにしました。

 ユウトさんは本当にすぐになんでもこなすから、私もがんばらないとすぐに置いていかれそうです。

 明日からもがんばろうと思いました。




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