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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第3章 異世界生活3日目
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世界の動力

 サラさんからマナの装置を貸してもらった。

 これで色々練習したらさらにマナの理解が進むと思う。

 楽しみだ。


「あ、あと一つお聞きしたいんですけど。」


『はい。なんですか?』


「マナが起動因子で何らかの生体情報ということは理解しました。

 では、動力はなんですか?

 例えば、バイクは何をエネルギーにして動いているんですか?」


『古代には動力は何種類かあったようです。

 バイクに使われているのは、というか現在ほとんど全てのものに使われているのは、エレクターと呼ばれているものです。

 今の所、エレクターを作れるのは、古代遺跡で発掘されたエレクタージェネレータと呼ばれている装置です。

 ジェネレータを太陽の光に当てると、エレクターが取り出せます。

 バイクは研究所に置いている間とか走行中にジェネレータからエレクターを

 補給しています。

 幸い、ジェネレータは遺跡から大量に見つかっているので、エネルギーの供給に関しては、今の所問題は起きていません。

 あとは、私はあまり詳しくないのですが、物質を破壊して取り出せるクリアー、と浮遊物質と呼ばれる浮いている物体から取り出せるアンチマターというのがあったらしいです。

 それらは今は使っていません。

 あったらしい、というのは古代遺跡から発掘された文献にその記述があったらしいです。

 エネルギーに関する文献は最重要機密として、国が保管しているのでほとんど知識が出回ることもありません。

 多分どこかで研究はしていると思います。

 クリアーに関しては、一部で使っているという噂はありますけど、本当かどうか分かりません。

 お姉ちゃんはもう少し色々知っていると思いますけど、多分聞いても教えてくれません。』


 なるほど。

 話を聞いている感じでは、多分エレクターは電気だろう。

 バイクにマフラーがなかったのも電気を使っての駆動だからだろうな。

 音が小さいのもエンジンじゃなくて、電気によるモータ駆動だからかな。

 そしてジェネレータは太陽光パネルみたいなものじゃないだろうか。

 クリアーってのは原子力っぽい、語感的にも。

 原子力ってニュークリアーだし。

 アンチマターは反物質だよな、そのままだし。

 反物質って重力に逆らう、みたいなもんだったと思うし。

 いや、全然詳しくないから知らんけど。

 反物質が、現在はないとしても古代にはあったのか。

 ということは古代文明ってのは現代日本よりも科学技術が進んでいるよな。

 ちょっと複雑な気分だ。


「なるほど。

 ありがとうございます。

 これで俺の聞きたかったことは終わりです。

 やっぱり本を読むだけじゃなくて、人に聞くと理解が進んでいいですね。」


『そう言って頂けると嬉しいです。

 教える甲斐があります。』


 と言って微笑むサラさんはやっぱり可愛らしい。


「それで、この入門書の次にはどんな勉強をするんですか?」


『ええとですね。

 普通は入門書の次にもう少し具体的なマナの本を読んでから、実践書に進みます。

 ですが、ユウトさんはもうある程度マナの理解が進んでいますし、使うこともできますから、実践書までの部分は習得していると思います。

 改めて言葉にすると、恐ろしいスピードですね。

 

 ここまでで学院で習う基本的なマナの学習はもう済んでます。

 この先は、その人の適正や希望に合わせて専門的な学習などをすることになります。』


「ちなみにサラさんはどんなことを研究されてるんですか?」


『私は主にマナの制御方法とその応用についてです。

 あの辺境の結界石は私の研究成果の一つですね。』


 なるほど、優秀なんだろうな。

 さて、俺はどうするかな。

 イマイチどんな分野があるのか分かってないからな。


「じゃあ俺はもう少し考えてから決めようかな。

 マナの使い方もまだ怪しいですしね。

 ところで、この研究所には図書館ってありますか?」


『図書館ですか?

 ありますよ。

 食堂の上のフロアです。

 そうですね、ユウトさんの理解力があれば、図書館で色々勉強された方がいいかもしれませんね。』


「そこは調査員でも入れますか?」


『一般ゾーンには入れます。

 一部研究者専用のスペースがあって、そこには最新の研究論文なんかがあるんですけど、調査員の方では入れないですね。』


 それは残念だ。

 最新の論文は読めないのか。

 まあまだ勉強を始めたばかりだし、古いものから見ていってもいいんだろうけど。


「そうですか。

 じゃあ、そのうち研究員になることを目指した方がいいのかな。」


『ユウトさんならすぐなれますよ。

 お姉ちゃんもすぐ研究員にしたかったみたいだけど、あんまり目立つと色々うるさい人がいますし。』


 ああ、そういう所は異世界も変わらないんだな。

 どこの会社にもいるんだよな。

 出る杭は打て、というか、文句を言うのが仕事と思ってる奴って。

 うちの会社にもいたなあ。

 俺も色々嫌味を言われたもんだ。


「そうですよね。

 どこでもそういう足を引っ張る輩っていますよね。

 大丈夫です。

 文句を言わせない成果をあげればいいんですから。

 どこまでできるか分からないけどがんばってみます。」


 そうだ、俺は元の世界でも文句を言えないような成果を

 上げて黙らせてきた。

 この世界でも同じことのはずだ。


『さすがユウトさんです。

 そうしてもらえると、お姉ちゃんも助かると思います。』


「じゃあ、今日はもう休みますか?

 すみません、仕事で疲れてるのに色々つき合わせちゃって。

 本当にありがとうございました。」


『お安い御用ですよ。

 ユウトさんに教えるのは楽しいですから何かあったらなんでも言って下さい。

 そうですね、明日も仕事ですし、そろそろ休みます。

 おやすみなさい。』


 本当にありがたい。

 お言葉に甘えて、これからも頼らせてもらおう。

 願わくは、そのうち俺にも頼ってくれるようになったらいいな。





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