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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第3章 異世界生活3日目
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マナのお勉強【質問と実践】

 マナの入門書の著者がユラさんと聞いて、嘘だー、と思ったのはユラさんには内緒。


『嘘だと思うかもしれませんが、本当です。』


 あ、サラさんにはバレた。

 俺、考えていることが顔に出やすいのかな。


『お姉ちゃんはあんな人ですが、その本に書いているような考えを持っています。

 実際、色んな研究で成果もあげています。

 私のバイクを動かせる状態にしたのもお姉ちゃんです。

 私はお姉ちゃんの仕事への情熱と能力は尊敬しています。』


「そうなんですね。

 なるほど、若そうなのに国の研究所の責任者をしているから、すごい人なんだろうとは思ってましたが。

 学院で使う教科書の著者ですか。」


『お姉ちゃんはマナの研究に多大な貢献をしています。

 ですから、王族なのに他国の研究所に行くという行動も許されています。

 お姉ちゃんにユウトさんが語り合いたいって言ってたって教えたら喜ぶと思います。』


「いや、それはいいです。

 照れくさいです。」


 この本の著者とは語り合いたいが、ユラさんと、となるとちょっと話が変わってくる。

 てっきり威厳たっぷりのおじいちゃんみたいな人が書いた本だと思っていた。


「この本については、こんな所ですが、マナについて、もう少しお聞きしていいですか?」


『どうぞ。

 私もそれほど深く理解しているわけではないですし、マナは今も研究され続けているテーマなので、満足頂けるか分かりませんが。』


「はい、すみません。

 教えてもらってばかりで。

 では、まずマナを使う、ということが、まだ俺にはよく理解できないんですけど、具体的にはどうやるんですか?」


『それは、言葉では説明しにくいですね。

 あ、ちょっと待ってくださいね。』


 と、言ってサラさんは一度退室した。

 そして5分くらいしてから、戻ってきた。


『お待たせしました。

 これがマナを使うための練習装置です。

 ちなみにこれもお姉ちゃんが作りました。』


 それは、なんか棒の先にガラス玉みたいなものがついた短い杖、みたいなものだった。


『まず、これを握って、自分のマナをこの装置に伝えるイメージです。

 マナを使えない人に多いのが手に力を入れる、というものです。

 マナは筋力を使うのではなく、思考して使うものですので、重要なのは思考、頭ですね。

 頭で自分というものをイメージしてそれを装置に伝える感じです。』


「なるほど。

 分かったような、分からないような感じですけど、ちょっとやってみます。」


 ふむ、まずこの装置を握って、自分というものをイメージ、そして、それを伝える。

 ヨーヨーをするときにマナが発動したから、あれはヨーヨー側の補助があったと考えたとしても、集中の仕方はあの時の感じで間違ってないはず。

 集中して、自分を、伝える。

 もっと集中して、自分の姿、思考を固まりにして、伝える。


 と、ガラス玉みたいなものが光りだした。


『すごい、それです。

 それで起動しています。

 一回でできちゃいましたね。』


「なるほど、なんとなく分かりました。

 それでマナを使わない、というのは、装置に自分を伝えない、ということでいいんですか?」


『そうです。

 できますか?』


「やってみます。」


 伝えない。

 俺を、伝えない。

 心を閉ざす、心の壁、○Tフィールド。

 いや、それは違うか?


「あ、消えた。」


 おお、○Tフィールドな感じでいいのか。


『すごい。

 これで基本的なマナの使い方はできてます。

 さすがです。

 思ったとおり、すごい素質ですよ。』


「あんまり実感はないですけどね。

 サラさんもできたんでしょ?」


 サラさんの教え方もいいと思う。

 要点をシンプルに伝えていて。

 多分独学でやろうとしたら、この棒を力強く握り締めて

 いでよ、俺のマナ。そして願いを叶えたまえ。

 とか言ってしまってただろう。


『そうですね。

 私と一緒ですね、ふふ。

 普通の人は徐々にできるようになっていきます。

 いきなりこの光を点けたり消したりは、できないみたいです。』


「なるほど、よかった。

 これで調査員として胸をはれます。

 じゃあついでにお聞きしたいんですが。」


『はい、なんでしょう?』


「これでマナを使う装置を使えるとして、サラさんがバイクでしていた保護装置の制御をしながら運転する、みたいな複数の制御はどうやってするんですか?」


『ああ、それは基本は同じです。

 ちょっとそれを借りていいですか?』


 練習装置をサラさんに返す。


『えっと、こんな感じですね。

 この装置はマナを使う光源が複数付いています。

 で、二つを付けるとこうなります。』


 練習装置の2点が光っている。


『で、1点を付けて、他を消したらこうなります。』


 あ、1点だけになった。

 ちなみにさっきの俺の時は全体が光っていた。


「へえ、すごいですね。

 ちょっとやってみていいですか?」


『どうぞ、がんばってください。』


 サラさんの目がキラキラしている気がする。

 すごくかわいいんだけど、なんかユラさんが俺を見ているときと同じ目な気がする。

 おもしろい研究対象を見つけたような。

 いや、別に不愉快ではないからいいけど。


 よし、切り替えて集中する。

 ええと、こっちには伝えて、こっちには伝えない。

 と言っても、装置で握っている手で制御しているわけじゃない。

 頭で切り替える。

 こっちは伝える、こっちは○Tフィールド。


 と、色々やっていると、練習装置の光が点いたり消えたりしだした。


 いや、これだと単に伝える、伝えないを繰り返してるだけだな。

 そうじゃなくて、なんというか、ここだけ伝える、こっちには絶対伝えない、みたいな。

 こうやって、こうして、こう。


 みたいなことをしばらく試していると、


「お?」


 装置の右側が光って、左側が消えていた。


『すごーい。

 できたじゃないですか。

 本当にすごいです。』


「でも、まだこれが精一杯ですね。

 サラさんみたいに一個だけ点けて他は消す、みたいなのは無理です。

 それに、めちゃくちゃ疲れますね、これ。」


『私も自在に使うのはちょっと苦労しましたから。

 でも本当にすごいですよ。

 こんなにできる人初めて見ました。

 お姉ちゃんの前でやらなくて、よかったです。

 お姉ちゃんが見てたら、今頃もう解剖されてるかも。』


 とか、物騒なこと言われた。

 さすがに冗談、ですよね?


「これ、しばらく借りてもいいですか?

 ちょっと練習したいです。」


『どうぞ。

 ユウトさんのお役に立つなら嬉しいです。』


 よし、これで練習してサラさんをびっくりさせよう。

 おもしろくなってきたぞ。




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