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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第3章 異世界生活3日目
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邂逅と内定

 ルッツが遊びたそうだったので、中庭に来た。

 朝と違ってけっこう人がいる。


 なんかよく分からん機械をいじっている人が多い。

 あれってマナの使い方の研究とかしてるんだよな。

 勉強したとこだし、もっと近くで見たいけど、まだ俺部外者だしな。

 調査員に採用してもらえたら色々見せてもらえないかな。

 俺機械いじりとか大好きなんだよな。

 プログラミングとかも好きなんだけど、ってかプログラミングは仕事の一部でもあったし、得意分野でもあるんだけど、この世界にはパソコンなんてないんだろうしなあ。

 でも研究所なんて施設があるんだから、もしかしてパソコン的なものがあったりすんのかな。

 探す前からないと決め付けるのはよくないよな、うん。

 調査員になれたら、パソコンがないかも調べてみよう。


 まあ、サラさんもすぐに採用されると思うって言ってくれてるし、それまでは我慢だな。


「よし、ルッツ行くぞ。

 ルールは朝と同じな。」


 と言って、また棒を投げた。



 ルッツと遊びだしてから体感で40分くらい経ったころ、こっちに近づいてくる人がいた。

 ってサラさんだった。


「あ、サラさん、もう仕事は終わったんですか?」


 と声をかけると、サラさんはちょっと驚いた感じで、


『え、サラ?

 んんん?』


 みたいなよく分からん反応をされた。

 なんか様子がおかしいな、と思ってよく見ると、なんか違う。

 顔はサラさんなんだけど、なんか違う。

 主に体が、というかスタイルが成熟している。

 というか、ぶっちゃけ胸がでかい。

 だとしたら、つまり


「すみません。サラさん、じゃないですよね。

 人違いをしたみたいです。

 忘れてください。」


 と言うと、そのサラさん似の人は、面白いものを見つけたようなキラキラした目で近づいてきた、ガンガンズンズングイグイと。

 いや、近いって。

 近づきすぎ。

 この距離で見ると顔もちょっと違う。

 やっぱりサラさんではない。

 サラさんはこんなに近づかない。

 いや、サラさんなら近づいてくれてもいい。

 むしろ近づいてほしい。

 いやいやそうじゃなくて、この人誰なんだって。


『ふーん、ほうほう、なるほどなるほど。

 あなたがユウト君ね?』


「はい?

 そうですけど。

 どうして俺のことを?」


『ああ、自己紹介が遅れたわね。

 私はこの研究所の一応責任者でサラの上司で姉のユラよ。

 よろしくね。』


「はい。

 よろしくお願いします?

 って、え?」


 なんて?

 責任者?

 上司?

 姉?

 ああ、それでこんなにサラさんに似ているんだな。

 つまり、この人はサラさんの姉の責任者の上司なんだな。

 って、違う違う。

 サラさんの上司が姉の責任者なんだな。

 いや、何言ってんだ俺?


 なんで俺がこんなに混乱しているかというと、別に言われたことが複雑だからではない。

 さっきからこのユラさん?が近いんだって。

 やたら体にくっついてくる、ていうかボディタッチしてくる。

 別に女性に対して免疫がないわけじゃないけど、こんなに近いと焦るって。

 別人なんだけど、見た目はほとんど胸がでかいサラさんだし。


『ふ~ん、なるほどね。

 確かにいい筋肉のつき方してるわね。

 しなやかでいて力強そうな感じ。

 いいわね、有望ね。』


 とか一人で頷いて納得している。

 その時、遠くの方から、


『ねえさーん、何やってるんですかー。

 やめてくださいー。』


 と叫びながら、サラさんが走ってきた。

 今度こそサラさんだ。

 なんかホッとした。

 サラさんは息を切らせながらも、すぐに俺たちの所にやってきた。


『ユウトさん大丈夫ですか?

 何もされませんでした?』


 とサラさんが言うと、ユラさんが


『心外ね。

 何もしてないわよ。

 ちょっと中庭に変なのがいたから見に来ただけよ。

 そしたらあんたと間違えられたから、何事かと思ったのよ。

 この研究所で私のことが分からないやつなんて、ほとんどいないから。』


 と、心底気分を害したような表情で抗議した。

 サラさんはそれをほとんど無視して


『ほんとですか?

 大丈夫ですか?』


 と俺に聞いてくるので、


「まあ、ちょっと体を触られただけで、特に何もされてませんよ。

 心配してくれてありがとうございます。」


 と答えていると、後ろでユラさんが、


『何が大丈夫ですか?よ、まったく。

 触ってたのがうらやましいだけのくせに。』


 とぶつぶつ言っているのが聞こえた。

 聞いてないことにするが。


『サラ、調査員の件ね、オッケーよ。

 さっきちょっと身体能力も見たけど問題ないわ。

 むしろ超有望よ。

 体もしっかり鍛えてるみたいだし申し分ないわ。

 さっきのあんたの話では頭も相当みたいだからね。

 調査員というか、普通の研究員にしたいくらいなんだけど、

 それはもう少し働き振りを見せてもらってからにしましょう。』


『ホント?

 ありがとう、お姉ちゃん。』


『あんた、さっきもだけど、人前では所長と呼びなさいって、いつも言ってるでしょ。』


『あ、ごめんなさ・・・すみません、所長。

 ありがとうございます。』


 と、サラさんと会話していたユラさんがこっちを向いて、


『というわけで君は今からこの研究所の調査員だ。

 おめでとう。

 がんばって、仕事に励んでくれたまえ。』


「え?

 調査員てそんなに簡単に決めていいんですか?」


『簡単じゃないわよ。

 ちゃんと私自ら確認したんだから。

 それに私はこの研究所の責任者だって言ったじゃない。

 その私がいいって言うんだから、万事オッケーよ。』


 あ、中庭の利用の登録用紙作ったの絶対この人だ。

 この時、俺はそんなどうでもいいことを思っていた。





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