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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第1章 異世界生活1日目
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道路

 スライムに襲われた後、とりあえず街を探すことにした。

 とはいえ、見渡す限りではそれらしきものは見えない。


 ただ、冷静になって考えてみると確か地平線の見えている距離って数kmだから意外と近くに街があるかもしれない。

 それも地球の半径で考えればの話で異世界にも当てはまるとは限らない。

 ただ草原は草原だし、空は青いし、太陽も一つだし、気温は適度だし、呼吸できるし、ってことで、ここは地球とほぼ同じ環境だと考えてもいいんじゃないだろうか。

 となると、問題は移動する方向になるけど、


「はぁ。方向はカンで決めるしかないよなぁ。」


 異世界に来てから何度目か分からないため息をついていると、南(太陽の方向から勝手に推測)の方に砂煙が舞っているのを発見した。

 方角の手掛かりがない以上、気になるものが見つかったら無性にそちらに行ってみたくなるものである。


「まぁちょっと近づいてモンスターっぽかったらすぐ逃げればいいか」


 ということで、砂煙の方に行くことにした。


 ちなみに今は作業服に安全靴を履いているからそれなりに動きやすい恰好だ。

 食料は仕事中につまむ用のカ○リーメイト的なものとガムを持っているくらいだからかなり心もとない。

 カ○リーメイト的なものは簡易食ではあるが栄養価はかなり高いはずだ。

 しかし、腹にたまるものではないので、これで数日もたせる、なんてことは不可能だろう。

 水分なんかも持っていないし、できれば今日中には街を見つけてそのあたりをなんとかしたいところだ。

 この世界で使えるお金も持ってはいないが話ができるひとがいれば何とかなるはず。


 っと、そこで言葉が通じるかどうかが分からないことに気が付いた。

 というか根本的にこの世界に人が存在している保証もないことに気が付いた。

 モンスターがいるような世界だったら、とっくに人類が絶滅していても不思議ではない。


「あらら、これもしかして人間いなかったら詰んだっぽいよなぁ」


 食料わずか、水なし、武器なし、モンスターあり、とか一人で生きるのは不可能に近いと思う。


「まぁ、異世界にトリップしたってことは何らかの理由があるはずで、

 単に草原に放ってモンスターに食べられて終わり、ってことはないはずだろ。」


 そのはずだろ、と信じることにしてその件はそれ以上考えないことにした。

 ぶっちゃけ、さっきのスライムに襲われないかめちゃくちゃびびって警戒しながら移動しているので、余計なことを考えている余裕があんまりない、というのもあった。



 それから30分ほど歩いただろうか。

 おそらく、砂煙があったと思しき場所に近づいてきた。

 それだけ移動しても今のところ、建物は見えてこなかったが、うれしい発見があった。

 (ちなみにそこに辿り着くまでに無数のスライムを見つけるという、うれしくない発見もあった。)


「あれ、どう見ても道路だろ。」


 そう、道路を見つけたのだ。

 なんかアスファルトっぽいもので整備されているようで、ファンタジーな街道というよりも完全に見慣れた道路といった感じだった。


 ただ、少し違うところもあって、道路の両脇に1m間隔くらいでずっときれいな光るガラス玉のようなものが埋め込まれていた。

 何の目的かはよく分からないが、電灯なんかが見当たらないことを考えると夜にはこのガラス玉で進路が分かるのかもしれない。

 電灯ではモンスターに破壊されたりするのだろうか。


 異世界の交通整備事情など分かるはずもないが、少なくとも思ったよりも文明が発達しているようなのが分かった。

 勝手に中世ヨーロッパのようなファンタジー世界だと思い込んでいたので街道は煉瓦のようなタイルのようなものを期待していた。

 それだけに、ある意味がっかりしたが、道路を整備する余裕があるなら少なくともモンスターにやられて絶滅寸前、ということはないだろうと思って安心できた。


 それに少なくともこの道路沿いに進めば街も見つかるだろうし、モンスターにも襲われにくいのではないか、と思えた。


「よし、まずは砂煙の場所を確認して、そのあとはこの道路沿いに進もう」


 そう決めて、異世界に飛ばされてから初めて少し前向きな気持ちになったのだった。



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