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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第2章 異世界生活2日目
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食堂


 中庭でサラさんとルッツと運動した後、食堂に来た。

 食堂はサラさんの部屋がある建屋とは別の建屋の2階のかなり広いフロアにあった。

 建物がかなり広いからサラさんの部屋からだとそれなりに離れている気がするが、今日は中庭から来たのでそれほど遠くはなかった。

 まだまだこの建物の構造を把握しきれていないので、もっと知らないと自分が住んでいる建物で迷子になる、なんて情けないことになりかねない。

 サラさんに相談してみよう。


 食堂に向かう途中、廊下でけっこうな数の人とすれ違った。

 その人たちはサラさんに挨拶をしてきたが、街の人たちとは違って普通にお疲れ様でしたー、みたいな感じだった。

 街の人たちはものすごい畏まってたし、あんなんだと挨拶される側も疲れると思うんだよな。

 ここでは、サラさんもお疲れ様でーす、みたいな感じで気安く返していたので、 ここはサラさんにとって過ごしやすい職場なんだろうな、というのが分かった。

上司に対しては辛らつだったが、裏を返せば気を許しているという証拠でもあるのだろう。

 それだけでこの研究所?会社?に対する俺の印象は良くなっていた。


 ただ、男達の俺への視線は相変わらず、厳しかった。

 やはりサラさんは男連中から人気があるとみた。

 かわいいし、性格いいし。

 まあ街の男達のあからさまな殺意の篭ったものより幾分マシだったからよしとしよう。


 食堂には10人くらいの人がすでに食事をしていた。

 席数は多分200席くらいあるだろうから、かなり空いている印象だ。


 メニューはいくつか決められた定食の中から選ぶようになっているみたいだ。

 今食事をしている人たちの様子を見たら、定食はけっこうな量みたいだし、俺は結構食べる方だけど十分満足できると思う。


 1人で5人前くらい食べている巨漢がいたが、あれはなんだろう?

 研究所には似つかわしくない感じだが。

 あ、目が合った。

 なんとなく俺の中であんまり関わってはいけない人種な気がしたので、とっさに目を反らしておいた。

 イメージ的には、サラさんに対する武器屋のオヤジ的な感じになる可能性を秘めているような・・・

 やめやめ、自分でフラグを立ててどうする。

 記憶から消去だ。


 ところで、価格設定はかなり安めの300円だった。

 これだったら、今ある手持ちの資金でもしばらくは暮らしていけるな。

 まだこの世界のことがあんまり分かっていないから、いきなり金策に振り回されたくなかったので、非常にありがたい。

 これで当分情報収集に時間を費やせるな。


 サラさんも推薦してくれるって言ってたし、研究所の調査員をさせてもらって情報収集をしながら、ある程度の金も稼ぐ、当面の方針はこれでいこう。


 今日の定食のメニューは焼き魚定食と唐揚定食だった。

 ちなみにちゃんとご飯があった。

 実は今日食材屋を見たときに米の存在は確認していたので、気になっていた。

 俺は米が大好きだ。

 昨日こっちにトリップしてきてから、米は食っていないから、早く食べたいと思っていた。


 というわけでおいしく唐揚定食を頂いた。

 サラさんも同じものを食べていた。

 ありがたいことにルッツを見た食堂のおっちゃんが鶏肉を茹でたものをくれたので、ルッツも一緒にご飯を食べられた。

 これからも定食と同じ代金でなにかしらルッツにも食べられるものを出してくれると言う。

 本当にありがたい。


 ある程度今後の生活基盤ができてきた気がしたので一安心だ。


 食事の後、サラさんの部屋に戻るときにさっき考えていた方針をサラさんに話した。


「ですから、お手数をかけてしまいますけど調査員への推薦、お願いできますか?」


『お安い御用です。

 むしろ喜んでさせていただきますよ。』


「それで、食堂ではルッツの食事も出してもらえることもありますから、やっぱりしばらくはこの研究所で生活したいと考えています。

 ですが、俺はまだこの建物の中に何があるかよく分かっていません。

 案内してもらう必要はないと思うのですが、色々見て回りたいと思っています。

 それはまずいですか?」


『今はまだ中庭以外に一人で入るのはダメだと思いますけど、調査員として正式に採用された後なら、関係者ということになるので、大丈夫ですよ。

 本当は私が案内できたらいいんですけど、休みの日しかゆっくり時間をとれないですし、それじゃユウトさんを待たせることになりますから。』


「そうですか。

 サラさんにはめちゃくちゃお世話になってるので、これ以上迷惑かけられないです。

 ちなみに調査員に採用されるにはどれくらいかかるんですか?」


『普通は定期的に採用試験をするんですが、今は人手不足ですし、ユウトさんは私が推薦するので、多分すぐ採用になると思いますよ。

 明日私の上司に話してみますので、どうなるか明日帰ってからご説明しますね。』


「本当にありがとうございます。

 じゃあ明日は中庭でルッツと遊んだりしてようかな。

 あと、できたらサラさんにお借りしてる部屋の本を読んで過ごしたいんですけど。」


『構いませんよ。

 マナの使い方に関する本もありますので、それを読んで頂ければマナの基本的な部分は分かると思いますよ。

 今日これからマナのことをお教えするより本を読んで頂いてからの方が色々捗ると思います。』


「そうですね。

 そうさせてもらえるとありがたいです。」


 と、話してるとちょうどサラさんの部屋に着いた。

 この時になんとかサラさんの部屋と食堂の間の道は覚えた。

 なんとか、というのは同じような道を10分くらい歩く必要があって、思ったより遠かったからだ。

 まあ、何はともあれ、これでサラさんに頼らずに食料確保できるようになったな。




 

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