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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第2章 異世界生活2日目
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中庭


 ファスタルの裏通りから大通りに戻った後、まっすぐ帰ってきたがサラさんの家に着いた時には5時前になっていた。


 サラさんちのドアを開けた瞬間ルッツに飛びつかれたのにはちょっと驚いたが、朝から留守番をさせていたから寂しかったんだろう。

 あとで遊んでやろう。


 あと、最初に入った時にはあまり気にしていなかったが、この建物の入り口には時計がある。

 俺のスマホと同じくらいの時間だったから、時間についての感覚も日本と同じ感じなんだろう。

 まぁこの世界が現代と同じ所が多いなんて今更だけどな。

 ちなみに今はスマホの電源は切っている。

 何かに使うこともあるかもしれないから、普段は切るようにしている。

 何とかして充電できたらいいんだけどな。


『これからどうします?

 さっきもちょっと話してましたが、マナのことをお教えしましょうか?』


「そうですね、ぜひ聞きたいです。

 でもルッツがこの状態なので、少し中庭でルッツと遊んでやってもいいですか?

 中庭を使うのには許可とかいるんですか?」


 ルッツがこの状態、というのは帰ってからというもの、ずっと俺にしがみついて顔を舐めてくるのだ。

 犬を飼ったことのある人なら経験した人が多いんじゃないだろうか。

 永遠に舐め続けられる状態。

 全力で懐かれるのは幸せなんだけど顔を舐め続けられるのは、ちょっと遠慮願いたい。


『中庭ですか。

 登録している人なら誰でも自由に使えますよ。

 ちょうどいいですから、登録しに行きますか?』


「はい。お願いします。

 ちなみに使用ルールってあるんですか。

 禁止事項とか。」


『そうですねえ。

 他人を傷つけるのは禁止です。これは中庭に限りませんが。

 あと、故意に施設の設備を壊すのは禁止です。

 それくらいじゃないでしょうか。

 みんな自由に使ってますよ。

 ちなみに辺境のスライムの動作試験もあの中庭でやりました。』


 うげ。あのスライムは俺の中で軽くトラウマだ。

 なんせいきなり襲われたからな。


「そうですか。

 じゃあ、ルッツと遊ぶのは問題ないですよね?」


『ええ、でも目を離さないようにはしてくださいね。

 大丈夫だとは思いますが、みんな色々実験をしているので、何が落ちているかわかりませんし。』


「分かりました。

 登録というのはどこでできるんですか。」


『ええと、そういう事務手続きをする部署があるんです。

 一緒に行きましょう。』


 と言って、案内してくれるサラさんに着いて、事務手続きの部署に向かった。

 総務課みたいなものなんだろうな。

 と思ったら、本当に【総務課】というプレートが付いていた。

 そこで、サラさんに言われるままに用紙を記入し提出しておいた。

 ちなみに記入項目は代表者氏名、利用者氏名、利用場所、利用用途だけだった。

 俺は正式なこの建物の住人じゃないから、代表者氏名はサラさんの名前が書かれた。

 単にサラって書いてあるだけだったけど。

 利用者氏名にはユウトと書いておいた。

 漢字がどこまで通じるか分からないし。

 そういえば、この世界って名字ってないのかな?

 今のところ誰も名乗ってないな。

 どうでもいいけど。


 ていうかこの登録簡単すぎないか?

 これやる意味あんのか?

 なんだかこの施設はごつくて堅そうな割に管理がずさんな所があるなぁ。

 俺が泊まるのもすぐ許可されたみたいだし。

 責任者が大雑把な人なのかな。

 俺はそれで助かってるから文句は言えないが。


『はい、これで登録完了です。

 今から行きますか?』


「はい。一時間くらいおもいきりルッツを遊ばせます。」


『分かりました。

 私もご一緒します。』


 と言って、二人と一匹で中庭に行った。


「そういえば、こんなに大きな建物なのに全然人とすれ違いませんね。

 実はあんまり人がいないんですか?」


『この時間はまだみんな働いてるからだと思いますよ。

 今は大体500人くらいは勤務しています。

 お昼時の食堂なんかはすごく混雑してますよ。』


 なるほど。どこの会社も昼の食堂はすごいんだな。

 ここが会社なのかどうかよくわからないが、いやもうどう考えても会社だな。

 総務課あるし。


 中庭に着いてから、全体を見渡すと何人かの人が実験と思しきことをしていた。


「よーし、ルッツ、ここならおもいきり動けそうだぞ。

 ちょっと走ってみるか。」


 と言って、軽く走ってみた。

 リードなんて持ってないからノーリードだ。

 他に迷惑かけそうな人もいないから別に構わないだろう。

 そういえば、昨日倒れたところを助けてから抱いていることが多くてルッツが動いているところをあまり見ていない。

 子犬だからそんなに身体能力は高くないだろうけど、なんか契約とかするような生き物みたいだからめちゃくちゃ強かったりするんだろうか。



 しばらく、ルッツと一緒に走り回った結果、成長したら相当すごそうだけど今のところは多分普通の犬くらいの身体能力ということが分かった。

 まだ小さい(6か月くらい?)から当然といえば当然だけどまだ俺の方が走るのは速い、けっこうぎりぎりだけど。

 ちなみにサラさんよりは速かった。


 体力は無限にある、という感じだった。

 どんだけ走り回っても、もっともっと、という感じで元気にしている。

 でも確か子犬は自分の体力の限界が分からないからいつまでも遊びたがるけど飼い主が適当なところで止めてやらないといけないんだよな。

 そうじゃないと怪我とかするらしい。


 ということで1時間くらい遊んだあと、


「よし、ルッツ、今日はこれくらいにしておこう。」


 と言うと、満足そうな顔で


『わん』


 と答えて、大人しくなった。

 楽しんでくれたみたいで何よりだ。

 これからは、ルッツと中庭で運動するのを日課にしよう。


『ユウトさんもルッツ君もすごい体力ですね。

 私も鍛えているつもりだったんですけど。』


 とサラさんが言っていた。


「まあ、ずっとスポーツしてますし、一応俺も鍛えてますから体力には自信があります。

 ルッツはどうなんでしょうね。

 まだ子犬だからよく分からないけど普通じゃないですか。」


『そうですか?

 私には二人とも異常に見えますけど。

 私ももっとがんばらないとだめですね。』


 向上心があるのはいいことだと思う。

 結構動いたし、時間もいい時間だから腹減ってきたな。


「腹減りましたね。

 買い物のときに言ってた食堂って今は開いてるんですか?」


『そうですね。

 今は開いてますよ。

 この時間ならまだ混む前だからちょうどいいかもしれませんね。

 じゃあ食堂に行きましょう。』


 ということで夕食にすることにした。


 

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