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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第2章 異世界生活2日目
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雑貨屋


 サラさんが連れて行ってくれた店は小奇麗なレストランだった。

 2人ともその日の日替わりランチを食べたが、とてもおいしかった。

 店の人がサラさんにやたら気を使っていてサラさんがやりづらそうにしていたのは見ていて気分のいいものではなかったが。

 多分だけど、サラさんはもっと気安く接してほしいと思っている気がする。

 武器屋のオヤジは気安すぎるみたいだけど。


 その後、大通りに戻っていくつかのお店を見てみた。


 興味を引かれる店もいくつかあった。

 特に本屋はぜひともじっくり確認したがったが、俺は本に集中しだしたら周りが見えなくなることがあるので、今度一人で来ることにした。


 大通りの店でおもしろそうな所はある程度見たので、ちょっと裏通りに興味が湧いてきた。


 裏通りにはなぜかすごい掘り出し物がありそうな、そんな気がするのはなぜだろうか。

 だがそれをサラさんに言うと、すごく呆れた顔をされてしまった。


 ルッツも留守番させているし、そろそろ帰ろうかな、と思った時に、大通りからぎりぎり見える裏通りの奥の方にすごくおもしろそうな店があるのが見えた。

 それは大通りからはかなり離れているのだが、なぜか見える位置にあり、そして見えているのだから行っても迷って戻れなくなることはないだろう、と思わせるような場所にあった。


「サラさん、あのお店はなんのお店なんですか?」


『え?あれ?あんなところにお店なんかあったかなぁ。

 最近できたのかもしれませんね。』


「あそこ、行ってみません?」


『でも、奥の方ですからあんまり近寄らない方がいいですよ。』


「でも、大通りから見えてるから、すぐに戻ってこれますよ。」


 と言って、俺は裏通りに入っていってしまった。


『もう、しょうがないですね。』


 と渋々ながら、サラさんもついてきてくれた。

 その店は不思議な感じの店だった。

 多分雑貨屋、だと思う。

 妙な電飾と変な人形とかフィギュアっぽいものとかが店頭に並んでいた。

 なんとなくビレッジ○ガードを彷彿とさせる雰囲気だった。

 俺はビレッジ○ガードが大好きだ。


「これって雑貨屋、ですよね?」


『さぁ、よく分かりませんけど怪しいから入らない方がいいかもしれませんよ。』


「むしろ怪しい店ってなんか入ってみたくなりません?」


 と言ったらまた、呆れた顔をされた。

 いい年してこんなことを言って情けないが、見たいものは見たいのだ。


 カランカラン


 ドアを開けると、そんな小気味いい音が鳴った。

 すると、奥の方から


『いらっしゃ~い』


 とやる気のなさそうな男の声が聞こえてきた。

 特に近寄ってきそうな様子もないので、そのまま店の中を見てみた。


 色々、驚いた。

 店の中には俺が知っているおもちゃがいっぱいあったのだ。

 プラモデル、ミニ四駆、ヨーヨー、カードゲーム。

 それぞれ微妙に俺が知っているものとは形は違ったが、どう見ても同じようなものにしか見えなかった。


『これは、おかしなおもちゃ?がいっぱいありますね。

 どこかの国から輸入したのでしょうか?』


 とサラさんも首をひねっていたので、この国でありふれたもの、というわけではないらしい。

 どれもけっこう俺の世代に近いおもちゃなので懐かしさが半端じゃなかった。

 特にヨーヨーはかなりやりこんだから自信がある。

 ちょっとサラさんにかっこつけたくなったので、お店の人に


「すみません。これちょっと遊んでみてもいいですか?」


 と声をかけると、


『構わねえけど使い方わかんのか~?』


 とやる気がなさそうな声が返ってきた。


 声は返ってきたが、使い方を教えてくれる気はなさそうで、こっちに近寄ってくる気配はない。


「大丈夫です。かなり得意ですから。」


 と言って、ヨーヨーを手に取った。

 その俺の返答を聞いて、息を飲む気配があったが、俺は早くサラさんにヨーヨーの腕を披露したくて、気にしなかった。


『ユウトさん、このおもちゃ知ってるんですか?』


「ええ。子供のころめちゃくちゃ遊んでました。

 見ててください。

 あ、あんまり近づくと危ないですよ。」


 と言って、まずは基本のロングスリーパーでストリングスとヨーヨーの状態を確かめた。

 うん、あまり使われている様子はないけど状態は悪くないな。

 あれ?ヨーヨーが光りだしたぞ。

 そういえば。そんなやつもあったな。

 LEDが仕込まれてるやつとか。


 と、思いながらもそのまま、基本トリックのウォークザドッグ、オーバーザフェンス、アラウンドザワールド、返してループザループとつないでいった。


『すごーい、それどうやってるんですか。かっこいい。』


 と、サラさんが褒めてくれた。

 この辺は簡単なんだけどね、と思いながらもすごく気分が良くなって、ループザループのスピードを上げていった。

 これもうスピードが速すぎてヨーヨーの光がつながって円になるんじゃね?

って感じになった瞬間、


 ヨーヨーからなんか出た。


 そして、店の一部が吹っ飛んだ。


「え?」

『え?』


 俺とサラさんの声が重なった。


 別に糸が切れてヨーヨーが飛んでいったとかじゃない。

 ヨーヨーから光る何かが出て飛んでいったのだ。

 ちなみにヨーヨーはまだ俺の手元で回っている。


 とりあえず、ヨーヨーを手から外し、そっと元の場所に戻した。

 そして、


「お騒がせしました。失礼します。」


 と言って、店を出ようとした。

 が、


『おい。そのまま帰れるわけないだろう。』


 と、すごい顔になった店主が出てきた。

 ですよねー?



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