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チートなし異世界生活記  作者: 半田付け職人
第2章 異世界生活2日目
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異世界生活2日目朝

2章開始です。

 その日はなんだかいつもよりすっきり目が覚めた。

 スマホのアラームで叩き起こされなかったからだろうか。


「ふわぁ、今何時だ。

 準備しないと。」


 と動こうとすると、手にモフッとしたものが当たった。

 なんだ?と思って手を見ると犬がいた。

 んん?なんで犬がいるんだ?

 と寝ぼけた頭で考えた瞬間、昨日の出来事を思い出した。


「夢じゃなかったんだな。」


 と、現状を再認識した所で、寝たままの体勢でいつか言ってみたかったセリフを言ってみた。


「知らない、天井だ・・・」


 急に恥ずかしくなったが、後悔はしていない。



 さて、気を取り直して、昨日はバタバタして考えないようにしていたが、これからどうするか考えないと。

 しばらくはサラさんの家に泊めてもらうとして、あと、幸いなことに多少のお金も手に入ったし。

 場合によっては、すぐにでも昨日聞いた遺跡の探索なんかをしなきゃいけないかと思ったが、当面は情報収集にあてても良さそうだ。


「となると、さしあたっては、ファスタルを見て回るかな。」


 色々確認したいこともあるし、武器があるかとか、ギルドがあるかとか。

 大体異世界ものの小説を読むと、ギルドに所属してどんどん出世していく、とか学院でものすごい才能を発揮する、とかが王道だと思うんだけど、どうも昨日一日で感じたのは、この世界が想像以上にファンタジーっぽくなくて、現実寄りだということだ。

 日本語通じるし、バイクとかあるし。

 なぜか異世界ファンタジーならギルドがあって当然、という気がするが、現実世界ではゲーム以外でギルドなんてあろうはずもない、という気になる。


 まぁ、スライムはモンスターではなかったが、昨日サラさんがキュクロプスとか飛龍がいるとか、守備隊とかがいるみたいなことも言っていたから武器はあると思う。

 剣とか槍の扱いは分からないが。

 あれ?そういえば昨日サラさんは武器とか持ってなかったのかな?

 辺境の怪物の調査をするのに、武器なしってのはおかしい気がするが。

 あとで、聞いてみることにしよう。


 とりあえず、

 トイレ行こう。


 ドアを開けてトイレに向かう、と、そこでサラさんに出会った。


「おはようございます、サラさん。」


 と声をかけると、まだ寝ぼけているらしく目は半分しか空いていない状態で、


『おはようごじゃいます、ユウトしゃん。』


 あ、噛んだ、2回も。

 なにこれ、可愛い。

 寝ぐせなのか、しゃべるたびに跳ねた前髪がぷらぷらと揺れていた。


 その瞬間、ほとんど開いていなかったサラさんの目がぱっと開き、驚愕の表情を作った後で、


『ごめんなさい、寝ぼけてましたぁぁぁ。』


 と言って、奥の部屋に走って逃げて行った。

 ああ、今の恥ずかしかったのかな、と思ったが、後の祭りだ。

 ばっちり記憶させてもらった。

 寝起きの女の子って可愛いと思う。

 部屋着だし。

 よし、今日はいい一日になりそうだ。



 トイレを済ませた後、部屋に戻ってルッツをモフッていると、ノックとともにサラさんの声が聞こえた。


『おはようございます、ユウトさん。

 入ってもいいですか?』


「どうぞ。」


 と言うと、サラさんが入ってきた。

 着替えを済ませたようで、さわやかな女子大生っぽい感じになっていた。

 寝ぐせも直っていた。


『どうかしましたか?』


 と聞かれたが、目が笑っていない。

 サラさんはちょくちょくこうやって目で訴えかけてくる。

 さっきのことは忘れろ、と言われている。

 残念ながら、忘れることはできない。

 ただし、他の人にも言わない、と目で答えた。


「いいえ、なんでもありません。

 それより、何か御用ですか?」


 と、表面上は普通の会話をした。

 サラさんもあきらめたのか、小さくため息を吐いた後、


『今日はどうされるおつもりかご予定を伺おうと思いまして。』


「できたら、ファスタルを見て回りたいと思っています。

 仕事も探したいですし。

 ところで、サラさんはギルド、というものはご存知ですか?」


『ギルド?機械の名前ですか?

 残念ながら私は聞いたことがありません。

 何か必要なものですか?』


 やはり、ギルドはないらしい。

 となると、仕事はどうしようか。

 ん?ギルドがないなら遺跡の探索とかはどうやってやるんだ?

 勝手にやればいいのか?


「いえ、なければないでいいんです。

 ところで、昨日話していた遺跡の探索は勝手にやればいいんですか?

 どこかに許可を取ったり、誰かに依頼されたりするものではないですか?」


『それなら、国や民間の研究機関からの依頼を受けるのが普通ですね。

 一応勝手に探索して、見つけた品をオークションハウスに持ち込む、みたいな

 人もいますが、あまり褒められた人たちではないことが多いですね。』


 なるほど、そういうのは盗賊が多いということか。


『この研究所でもいくつか依頼を出しているとは思いますが。

 まさか遺跡探索をするつもりですか?

 昨日あれほど危険だと』

「いえ、仕事を探すにはどうすればいいかを聞きたかっただけですよ。

 じゃあ研究所では遺跡探索以外の依頼なんかはないんですか?」


『ありますよ。薬草採取なんかもありますし。

 研究に使うサンプルの捕獲なんかもあります。

 そうですね。

 仕事という意味では研究所の調査員はいいかもしれませんね。

 私も推薦できますし。』


「ほんとですか?

 じゃあファスタルを見て回って、他にいいのがなかったら

 お願いしていいですか?」


『お安いご用です。

 ユウトさんならいい調査員になれそうです。』


 となぜか太鼓判を押された。

 素直に喜んでおくか。


『今日ファスタルを見て回るならご案内しますよ。

 辺境の調査の次の日はいつもお休みなので、私は今日はお休みなんです。』


「休みの日にわざわざいいんですか。

 家でゆっくりしていた方がいいんじゃ。」


『初めてファスタルに来る人を案内もせずに迷子にでもなられたら大変ですからね。

 ぜひご一緒させてください。』


 と言われた。

 ちょっと言い回しが気になったが、相変わらずいい人だなぁと思った。





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