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16/25

15光年/横須賀にて

2014/10/1 11:00  横須賀港――――『信濃』艦上にて


ふう、なんだか昨夜はすごかったわ。

いきなり船が浮いて、ワープらしきことをしたと思ったら東京上空だったんですもの。

まほちゃんがイザナミさんとなんらかの交渉をして東京を核の炎から守ったらしい。

二人が討論したり、イザナミさんが指揮を、まほちゃんが電話で誰かと連絡をしている横で、私は何もせずにぼーっと艦橋部の椅子に座って外の様子を見ていただけで終わった。


いきなり目の前にスカイツリーが現れて、その上空にあったミサイルが爆発する!と思ったらミサイルごとどこかに掻き消えてしまったからびっくり。

僕らのウォー○ームにでたピースキーパーみたいに爆発はしなかったわけじゃないけれど、ミサイルが空間ごと掻き消えるのはびっくりだよ。


イザナミさん曰く、この船をワームホールを使って空間転移した後、ミサイルを周りの空気ごと宇宙空間にワープさせて爆発させたらしい。

あと、詳しい話を聞いてみたら、この船、『信濃』は電算室を持ち、そこをコントロールするAIが意志をもっているんだって。

私達が乗ってきた"紫電改"はその彼?彼女?が操縦していたらしい。


ここに積んである飛行機はすべて第二次世界大戦当時の外見だが、性能は見た目以上だとか。

『蒼き鋼の~』とか、最近流行りの擬人化コレクションじゃないんだからそんな常識破りなことはないと私は思うんだ。


 でも、その期待もイザナミさんが貸してくれた端末、と言うか勾玉から空中に映された映像を見ると良い意味で裏切られた。


 沖縄沖で中国と戦っている日本艦隊とともにいる航空自衛隊のF-15Jや旭光が苦戦している間に"紫電改"や"烈風""流星"が中国機をバタバタと落としていく映像をみたら納得せざるを得なかった。


 外見は明らかに昔の戦闘機で、性能が現代の戦闘機と比べて低そうだけど、コクピットをみたら誰も乗っていない上に攻撃してくるとかホラーじゃん。しかも、攻撃がなんらかの透明の壁に阻まれて無効とか悪夢。

スピードが何故かF-15Jと同等で、いきなりプロペラを止めて墜落し始めたかと思えば、急に動きだして次々と爆弾を中国機にぶつける様は恐ろしい。

アメリカの無人偵察機プレデターでもこんなめちゃくちゃな動きはしないでしょ。

急降下爆撃で船が沈む様子とかまるでハリウッド映画でも見ているよう。


そしてあっと言う間に中国艦隊を破壊し終えた"戦闘機群"がふっと消えた……わけではなく、光学迷彩で『信濃』まで飛んで帰ってきたらしい。ここでわたしが見た映像が終わっていた。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




中国では第二次世界大戦の『亡霊』に襲われたとニュースで流され、韓国でも同様のニュースが流れる。


米国は沖縄沖に空母・ジョージワシントンを派遣し、戦闘機を発艦した矢先に現れた"正体不明の戦闘機群"に手柄を奪われたことと、日本が何かしらの独自技術の保持をしており、隠ぺいしていると疑い、その"機密"技術を寄越せと暗にTPP参加圧力をかけた。


一番驚いたのはほかでもない日本の土御門総理だった。

東京壊滅もかくやという瞬間にミサイルがどこかに消えさったのである。さらに東京上空に浮かぶ信濃の艦影である。

 そこに"過去"の戦闘機が着艦する様子も海外メディアにも報道され、日本政府は海外からの問い合わせの対応に追われていた。そして、何も知らない総理の胃が痛くなったのは言うまでもない。


 この沖縄沖海戦はのちの歴史家たちの間でも説が別れる。『実は信濃の支援である説』と『日本が独自開発したものである説』に分かれる。


 実際は信濃配属の戦闘機群が中国海軍艦艇を屠ったわけだが、この時の日本は機密保持法案を通し、憲法9条を改憲した上で間諜機関を設立させ、自衛隊を国防軍に格上げしてジュネーヴ条約により『軍』としての立ち場を明確にし、海外派兵しても『軍』と国際的に扱われることでいざというときに反撃できるようにして、問題を無くすなど劇的に変化を遂げていたことと、

 以前から人が乗り込める人型ロボットの開発を進め、空想のような目標を立てる国であったが、本当に隠し玉として『無人操縦技術』を確立したと大騒ぎになったために後世でそのような論争が起きるのだが、それはまだ誰も知らない。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「で、なんで私たちは横須賀港にいないといけないの?」


今は流れで私もこの信濃に乗っているけれど……いきなり、呼び出しに応じなければ国家反逆罪とか言われたんだもん。納得の行く説明が欲しいわ。だから教えてまほ先生!

私は期待を込めてまほちゃんを見る。


「それは、総理にきいて頂戴。」


こうもばっさりと切り返しをされると私のマシュマロ並みの柔らかな心が傷つくわ。

だったら私も言い返そう。だって、私はただの一般的なアホな大学生だもの。


「それ、一般市民の私には無理じゃない。」


ふふっ、はじめて反撃出来たぞ。してやったり。どやっ!


「それもそうね。プッ、あずさなんで変な顔してるの?」


あれ?笑われた?なんかいつもみたいに負けたみたいで悔しい…。


「まほちゃんにまた負けた……」


「甘い、私に口で勝とうなんて100年早いわ。表情でなんとかなく読める相手には負けないよ。」


「う~、次こそは、次こそは必ず勝ってやるぅ!

あ、でもまほ先生、今な状況がいまいちわからないから何か教えれる範囲で教えてよ……。」



「あまりにも機密事項が多くて、他に言えることがないからね。私も総理から『横須賀に駐留後、動くな』以外連絡が来ていないから暇だからねー。」


「えー、じゃあしばらく私達は信濃で滞在かぁ……」


 私たちは秋の潮風に吹かれながら甲板でのんびりとくつろいでいた。暇つぶしに貸してもらった翡翠色のうっすらと発光している勾玉をいじっていたら、イザナミさんから勾玉を使って物質の造成が出来る機能の説明を聞いたことを思い出し、海水から紅茶とティーカップを造成する。

とはいっても、何もないところから物を作ることはできないそうだけど。


 勾玉ってひょっとして便利道具?こんな便利なものなら、かつての日本人というかご先祖様も欲しがるわけだよね。

 ひょっとして、これをマネして作ったのが遺跡などから出土する勾玉なのかも知れない。

 さらにこの勾玉には通信機能がついているそうです。他にも幾つか謎機能が存在するようです。

 いじっていたらいきなり空中に映し出された説明書には『これ一つであんなことやこんなこと、出来たら良いなと思うことを叶えます!貴方に安全安心の高天原生活を!』なんて書いてあった。

なんか詐欺っぽくて面白い。未来から来た青い猫型ロボットじゃないんだからそんなキャッチフレーズはどうなんだろう?


それと気になることが一つ。

 私が日本政府とイザナミさんが探していた"巫女"だそうです。生まれてからずっとあまり深く宗教にかかわったことは無いのですが……。

 しかも、天照大御神の生まれ変わりだそうです。恐れ多すぎます。

 ちょっとどころか、かなりふざけています。イザナミさんによると伊勢神宮にあった鏡は各神社ごとにあり、その神社のご神体の転生者の姿のみを映すらしい。あと、転生者の姿は転生前とほぼ同じ姿らしい。

 つまり、イザナミさんから見ると神話通り私は娘にあたるそうだ。ええっと、つまるところ私は日本の祖神の女神様……?

かなり無理があると思うんだけどなぁ……。

 

 神道とかに関わりのありそうなモノと言えば、初詣とパワースポット巡り、あと、おじいちゃんの家の神棚ぐらいしか触ったことないんだけど。

あと、どうやって私が鏡に映ったことを知ったのかしら。

いろいろと気になるなぁ。


あ、それとこの戦争は一応、中国の敗戦により終わったのですが……日本・米国連合軍による占領が大変なことになっているみたいです。

スマホでニュースを見ていたら結構大変なことになってました。


本当にこの世界はどうなるんだろう?少々未来が心配になります。

こういう時代の変わり目の総理大臣って大変なのかも知れないなぁ、とぼんやりと私は思いを巡らせ、先ほど造成した紅茶を片手にまほちゃんとの談笑と言うバトルに挑みにいくことにした。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


その頃、首相官邸では戦後処理と対ロシアについて話し合いが行われていた。

今回の第二次日中戦争での勝利条件は日本側が海で中国共産党軍を食い止めたことと米国の支援が間に合うことが必須だった。

且つ、日本がインドとの同盟を組んでおり、インドも中国に奪われていた領土を取り戻すために中国に対して参戦したことで、日本側に割ける戦力が減ったことも一因。

イレギュラー要因である『信濃』の活躍もあったこともあり、敵側に勝てそうにもないと言うイメージを与えたことも勝利の一因だった。


 ロシアは中国艦隊が壊滅する、と言う時になると日本の国防軍の激しい反撃もあった為か、北海道駐留軍をあっさりと引き揚げ、ウラジオストクに差し向けたらしい。恐らく、中国北東部を攻め入る為だろう。

現在は宗谷海峡を挟んで大湊から派遣された防衛艦隊がロシア東洋艦隊と睨み合いをしている。

国防軍は反撃で北方領土4島まではなんとか取り返した。

建造中の護衛艦や潜水艦、軽空母の造船が終わり次第、乗組員の訓練を1ヶ月間行い、千島列島に派遣して取り返す。


南樺太はまだロシア艦隊の碇泊港がある為、まだまだ取り戻せそうにもない。


ロシアが予想外に早めに撤退したのは、外務省に極秘裏に樺太と中国北東部・朝鮮半島との交換条約の交渉を依頼していることも関係があるのか、それとも、前大戦までのように漁夫の利狙いか。


様々な思惑が交錯する中、中国は日本・米国・インド・オーストラリア(英国)・ロシアによる分割統治が行われることとなった。

しかし、これには問題があった。かつての満州国と中華民国の関係のように管轄する国が違っただけで治安や経済格差が開いた為だ。


ロシアは南が天津ー北京ラインまでの中国東北部のエリアの管轄、

日本は台湾、米国は上海・南京・重慶の南東部と海岸部を、

インドは『チベット国』を保護国として、新疆自治区を『東トルキスタン共和国』と言う独立国として再独立をさせ、中国と争っていた土地全てをインド領土として編入予定で管轄、インドはアジア最強国家としての足場を築く。

英国は香港、オーストラリアがマカオを管轄することとなる。


ベトナムは海南島を中国から割譲、パラセル諸島を取り戻す。

なお、米国が管轄している地区は『安南共和国』として民主主義と資本主義を導入後は米国進駐軍は撤退する予定で、ロシアは自国内の人口が減ってきていることもあり、『満洲国』として独立させる。

モンゴルも内モンゴル自治区などを再併合させ、中華人民共和国は北京と天津を中心とした小さな国家としてやり直すこととなる。

ブータンやネパールといった国々も中国に為す術もなく自然と奪われていた領土を再併合する。


なお、日本では『安南共和国』と区別する為に中華人民共和国は『北中国』と呼ばれることとなる。


北京に日米連合軍が進駐した際に中国軍との激しい戦闘があったが、米軍の殲滅力は圧倒的だったようだ。

米国空軍による基地への絨毯爆撃は多大な被害を与えたらしい。

おそらく、建築物の構造がもろいということも手伝って防御側の中国軍にダメージを与えたようだ。


「総理、先ほど我が国と中国との間に条約を締結できたようです。」


「うむ、報告ご苦労。下がって良いぞ」


先ほど、ようやく福岡で条約を結ぶことに成功したようだ。

福岡条約の内容は、


1、中国は日本国に対し、2兆円の賠償金を払うこと。


2、旧中華人民共和国の人民は『安南共和国』『東トルキスタン共和国』『チベット国』の正式な国家の成立があるまでは 【Supreme Commander for the Allied Powers】以下、略称【SCAP】(スキャプ)と呼ばれる日米連合軍司令官の下で管理する事し承諾すること。


3、難民をなるべく出さないこと。


4、中国軍は防衛に必要な戦力を持つことしか許されない。


5、空母の廃棄。及び今後、中国の空母や類似した兵器の保持を認めない。


6、核兵器の廃棄


が主な物だ。


しかし、まだまだ問題がある。

日本国内に流れこんでくる中国・朝鮮難民問題に、核兵器がISISのようなテロ組織にわたらないようにすること、戦後の安全保障である。


安全保障策として、現在戦争中の朝鮮半島を除く、【東アジア沿岸同盟】を設立。

ベトナム・フィリピン・台湾・インドネシアで同盟の中心は日本。

今後、安南・新中華人民共和国(北中国)が合併して再び中華の覇を唱えて周りの国々に戦争を吹っかけてきた時に備えて、監視するための軍事同盟だ。


いくら戦力と防衛費を日本が抑えているとはいえ、自衛隊時代も世界屈指の戦力を誇っていた。

米国の補助付きとはいえ、最新のイージス艦を複数所持し、さらに独自のディーゼル機構の潜水艦の運用・建造技術を保持。

最新の人工衛星による観測や海底地形から潮流、天候などのデータの蓄積がアジアに存在する他国に比べ蓄積され、情報量が豊富な日本はやはりアジアの他国に比べると頭一つ出ていたからだ。


そして、人口も約一億人と中国以外の近隣国と比べると十分、大国であるといえるだろう。

これからもそうであるとは限らないが、基礎科学はできても企業が研究者を使い捨てにするような国が栄えるはずもないからだ。


下手をすれば、技術大国とか言ってられなくなるぐらいひどい落ち込み方をするかもしれない。

造船業みたいなハードな業界に若者がいかなくなった、ということもあるが、女性を取らないことも挙げられるだろう。

結婚して逃げられることが大きな要因だと思うが、我が国の政治家は私も含めて本当に国家100年の計がないのは駄目だな。



久しぶりに覗いたら多くのブックマークと評価があって大変驚いております。

初のコメントをいただきありがとうございます。

まだまだ至らない身分ですが精進していきますのでよろしくお願いします。

2014/11/7


また、新しい並行世界の理論らしきものがっ・・・!

すり合わせが難しいです。Fランのおバカな大学生でも分かるようにしてほしいなぁ。

私、お馬鹿ですし、政治とか軍事がわかってないので調べた部分以外はほとんど妄想で補っているんです。

うーん、本当にこれでいいのかな。次話の投稿は間に合えば日曜日に投稿します。

2014/11/18

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