13光年/高天原と葦原の国
『ようおこしやす、貴国艦艇の機動宙艦・信濃へ。
妾は……失礼しました、わたしはイザナミと申します。貴国、葦原の民に用件が有り、こうしてここに参った所存です。』
「は、はぁ……。いろいろと話すことが多そうなので、こちらの方にご用件を話していただけると嬉しいのですが……。」
私は今、『信濃』の艦上にいます。
"紫電改"と言う私とまほちゃんが乗ってきた飛行機とこの『信濃』の艦内の航空機を見ていると最近見た「永遠の零」とかいう映画を思い出します。
まるで、あの映画に出てきた空母に乗っている気分です。
そしてそこには乗っていることが奇妙な人、『イザナミ』と名乗った十二単の金髪の綺麗な女性。
まるで某宇宙戦艦の火星でお亡くなりになったイスカン○ル星の王女みたい。
きっと宇宙空間にも自らの顔の部分だけを映せる素敵なテレパシー能力でもあるのかも。
そんなくだらないことを考えながら、まほちゃんに視線を向ける。
正直、本当にごく普通の生活をしてきた私は何をすべきかなんてわからない。
政治なんてあまり興味ないし、軍事関係も知らない。
駆け引きなんてせいぜい身近なもので、物事の背景とかはあまり考えていない。
そういうのは専門家のお仕事でしょ?
私にはわかんない。
「そうですか。私は、日本国政府・内閣総理大臣直属機関『次元調査機関』副長官の黒木 茉穂と申します。
まず、今回は貴船に招待していただきありがとうございます。では、その"要件"を伺いましょうか。」
まほちゃん、普段からクールビューティで謎が多いなと思っていたけど予想以上だよ。
何なの、『次元調査機関』って。もろ中二じゃない……。
よく、『現実は小説よりも奇なり』とは言うけど斜め上を行きすぎだよ!
「うむ。それでは妾……じゃなかったの、私が何故この信濃が復活したか教えようぞ。実はの……」
無理して現代風に話すイザナミさんの説明によると、イザナミさんは『高天原』と日本神話で語られている星から来た人間であり、天孫降臨で地上に降りた『ニニギノミコト』はこの地球の日本列島に移住してきた一族らしい。
そして、船を復活させたのは他ならぬイザナミさんが身に付けている勾玉の機能らしい。
どんな超常現象よ。いくら進み過ぎた技術が魔法に見えたとしてもそれはないでしょう。
他にも地球の各神話。
例えば、ギリシャ神話のオリンポスなんかも実際は星系の名前らしく、北欧神話の世界樹やインドの亀の上に4頭の象が乗り……みたいな宇宙観も次元理論の解釈に近くなるとかなんとか。
そんなの言われてもわからないけど、
多分、ブレーン空間理論とかカラビ・ヤオ空間のような次元解釈をした上で、多次元世界の存在を認めるような解釈が出来るみたいなことを言ってるのかな。
話は変わるけど、そう言えば、確か日本神話のイザナミって死んで黄泉の国に行ったハズじゃなかったかなぁ?
イザナギの命は、十拳剣でイザナミを殺した火の神カグツチの首を斬り落とし、黄泉の国にイザナミを迎えに行った。
その際に、『見ては駄目』と言われたイザナミの身体を見てしまう。
イザナミの身体は黄泉の食物を食べて過ごした影響で蛆が湧き、朽ちて穴が開いた部分から雷を放つ黄泉の魔物が見える恐ろしい姿になっていた。
浦島太郎や鶴の恩返しといい、いつの世も人間の心理は神話時代から変わらないね。
イザナギは豹変した姿のイザナミに恐れをなして逃げ、彼女の放った黄泉醜女と言う魔女に追われ、物を投げながら必死に逃げたイザナギはイザナミに追いつかれそうになり、黄泉津比良坂で大きな岩を使い死んだ妻の猛攻を防いだ。
そして、その岩を挟んで最後の言葉を話す。
『愛しい貴方がこんな仕打ちをなされるのなら、私は貴方の国の人間を1日に千人殺しますよ』
こんな脅迫をした妻に対してイザナギは
『愛しい妻よ。それならば私は、日に千五百人の子を産むことにしよう。』
なんて返したはず。
日本最初のヤンデレ妻。
そして黄泉の国の女王。
神話を思い出すたび、会いたくない人物と言うか女神様である。
あれ、じゃあ天照大神とかスーパーマザコンアンドお姉ちゃんラブな素戔嗚尊みたいな姉弟の代っていったいどうなってるのかな?
いろいろ聞きたいけれど、ここはまほちゃんに任せて我慢しよう。
「ほぅ、それは難儀なことですね。しかし、前置きはいりません。用件を。」
まほちゃん、急かさないで。
何か死亡フラグっぽい気がします。
「すまんのぅ。用件は、今の葦原の星の……嘗て倭、大和の国と呼ばれ、日本と言う国名に変わり、大日本帝国の後継国の日本国政府の代表と話がしたい。この『信濃』とその艦載機の譲渡と、貴国の死者の墓場を荒らしてしまったことへの謝罪をしたいからの。
あとは妾の……保護を今の天皇に頼んで欲しい。
いくら、私達の星の民の子孫とは言え、無理な願いを言っておるのはわかるが、そこの……天照の助言があればいけるであろう?」
あれ、イザナミさん。私を指差していますが、天照とはどういうことでしょうか。
そんな神様みたいなことはしてませんよ?
このページはちょっとづつ更新していきます。
2014/10/19
調べモノが多すぎて参ります。
2014/10/25
今までの資料等参照元
『そうだったのか!古事記』 睦月影郎
『【貴重写真で見る】日本潜水艦総覧』勝目純也
防衛省HP
海上保安庁HP
『総合商社の歴史』大森一宏
『日本人なら知っておきたい!図解 神道としきたり事典』 茂木貞純
うーん……今週は更新作業かも。