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11光年/日本滅亡まであと……

2014/9/30 21:22 尖閣諸島沖


――――尖閣派遣艦隊旗艦『あしがら』


「くそ、『こくりゅう』との通信が断絶しただと!他の潜水艦としっかりと通信はできているのか。」


壮年の男性が報告にきたらしい若い男性に当たり散らしている。


「はい、『こくりゅう』との通信が断絶。『うんりゅう』とは通信が出来ています。他の潜水艦も健在。」


「了解した。警戒態勢を引き続きとり続け、何か少しでも異常があれば知らせるように。」


「はいっ!失礼しました!」


報告していた男性は下がっていった。

しかし、また扉がコンコンとノックされる。


「入れ。」


「し、失礼します。大井海将、緊急事態です。本国が……東京と大阪、名古屋が核攻撃されました!」


大井海将と呼ばれた男性の顔つきが先ほどよりも険しいものに変わる。


「なんだと!どういうことだ。島谷、すぐに知っている内容を報告しろ!」


「先ほど佐世保基地から通信が入り、交戦国・中国から4発の核ミサイルが、北朝鮮から2発の核ミサイルが発射され、東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌を目標としていることが判明。舞鶴基地・呉基地の本土防衛艦隊が米国とのMD計画に基づき、既に迎撃態勢に入った模様。あと数分で打ち漏れがあれば被害は莫大な物になる模様。

横須賀の北部防衛艦隊と……」


急いできたのか汗だくの若い男性が報告を中断させる形で大井に怒鳴っているかのごとく告げる。


「か、大井海将!先ほどからレーダーに映っていた韓国艦隊が我が方に対艦ミサイルで攻撃してきた模様。迎撃指示を!」


「アスロックやメラーラの残弾は気にしなくても構わん、とにかく迎撃しろ。もうすぐ佐世保で補給した『ゆうだち』『すずつき』が帰ってくる。さすがに応急補助では『くらま』『しまかぜ』は厳しい。この2隻の護衛艦は佐世保へ帰させろ。あとは……そうだな、もう一度Z旗を掲げろ。」


放送を入れる。


「大井だ。諸君、我々はこれよりさらなる地獄へ向かう。本国が核ミサイルの攻撃を迎撃しようとしている中で我々は中国海軍に辛勝した。しかし、傷ついた我々の隙をついて卑怯にも韓国艦隊が出てきたようだ。我が国は滅びの危機にある。更に我が艦隊はたった3隻でしばらく増援がくるまでに立ち向かわねばならん。


ここで日露戦争の東郷平八郎提督にならって言おうじゃないか。

『日本の興廃はこの一戦にあり、各員一層奮闘せよ。』

我々がどんな攻撃にも負けない盾となって日本を、家族を守ろうではないか。我々が勝たねば、家族が酷い目にあうだろう。それは何としてでも防ごう。

例え、第二次世界大戦時のフランス海軍のように亡国の艦隊となろうが、刀折れ、矢尽きるまで戦い続けよう。」


各部から決死の覚悟をした乗組員たちの雄叫びが聞こえる。


そんな中、索敵機からの情報を得たオペレーターが大井『海将』に告げる。

「敵・韓国艦隊の詳細判明、12隻の駆逐艦、揚陸艦『独島』、ミサイル艇が5隻です。対する我が方は本艦の『あしがら』を旗艦とし、『ゆうだち』『すずつき』潜水艦『うんりゅう』他隻です。なお、五島列島沖にいる後方の『いずも』からオスプレイが発艦。佐世保で補給を済ませたP-3Cが索敵しています。」


「すみません海将、私の報告を最後まで聞いていただけないでしょうか。」


「すまない、島谷。横須賀の北部防衛艦隊が何かあったのか?」


「はい。実は韓国以外にもロシアから北海道に侵攻を受けています。」


「へ?ロシア?まさかウラジオストクの艦隊が動き出したとでもいうのか。」


「海将は今年のウクライナの『クリミア軍港』のことは知っておられますよね。おそらく狙いはウクライナの件と同じく、北海道の分離独立を狙い、ロシア領土に組み込むことであると推測できます。実質、日本国領土の割譲を狙っているものではないかと考えられます。」


島谷と呼ばれた自衛官が推測を話す。


「もう、これ以上驚くようなことは起きないでほしいものだ。ある意味、再び連合国による日本分割統治でもしようとでもいうのか。北はロシア、西は中共・朝鮮連合軍。東のアメリカは怪しい動きもあるからいつまでも日本の味方などあり得ないだろう。

幸いなのは南のオーストラリアは『侵攻』は仕掛けてこない。

フィリピンも潜在的なポテンシャルを秘めていたとしても現状では日本には及ばない、か。」


大井は現状を口に出して確認をするが、少しも光明は見えてこない。

ああ、日本に栄光を、奇跡を起こしたまえ。

大井は対韓国艦隊の作戦を指示しながら、頭の片隅で祈った。

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