世界から
世界の広がりを感じていた。
だけど、私にとってその世界はとても、とても、窮屈だった。
時々、見知らぬ女の人に声をかけられ、見知らぬ男が僕に笑いかける。
こんな世界、嫌だ。
暗い世界。
狭い世界。
雑音が飛び交う世界。
どれもこれも、私を苛めるにはぴったりな環境で、最悪な世界だった。
私は決意した。
抗う。
この、最悪な世界に。
出たい。
抜け出したい。
解放されたい。
心中に叫ぶこの思いを精一杯、動かした。
動かした結果、それは発生した。
世界の、ズレ。
世界の、破れ。
世界の、敗れ。
だがそこは、私にとって前の場所よりもっと住みにくい環境だった。
光のある世界。
広さがある世界。
そして、もっと雑音が飛び交う世界。
私は、自分の徒労に涙を流し、出せる限り泣き叫んだ。
だが、運命は私をどうして嫌うのか、前の世界とのつながりを切る。
私を囲む人間が、泣き叫ぶ私を見て、笑った。
「やった! ついに生まれたぞ! 私たちの子だ!」
「おめでとうございます。可愛い可愛い、女の子ですよ」
「ああ、何て可愛い子。きっと、生まれてきて、喜んでいるわ」




