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変わる季節を、君と  作者: 喜多彌耶子
移る季節を、君と
11/12

ホワイトデーにはマシュマロを

 バレンタインに、彼女からチョコを貰った。それと、マフラー。

 チョコは、なんだかあれだ、いわゆるネタチョコだったのだけれど、むしろ面白くて最高に受けた。

 さすが、いとしの彼女。


 手編みのマフラーは、数カ所穴がないわけではないけれど、お気に入りとして愛用している。


 さて。

 と、なると、ホワイトデーが、やってくるのだけれど。

 なににしようか、と、首をひねるのは、しかたがないことだと、おもう。



 ホワイトデーとは、そもそもなんぞや。


 バレンタインデーのお返しの日として定着していったっぽいこと、クッキー・マシュマロ・キャンディ・ホワイトチョコなどを送る日であること。っていうか、ぶっちゃけ、バレンタインデーほど「これ!」と決まっているわけじゃない。

 あれか、バレンタインデーはチョコ業界の一人勝ちで、ホワイトデーは他の菓子業界が競り合ってしまったんだろうか、とか、夢のないことを考えてみる。


 個人的には、マシュマロの日でいいんじゃないか、とか、今年はそういう気分だったので、マシュマロにすることにする。


 さて。

 マシュマロといっても、ただ、マシュマロを買って渡すだけじゃ、芸がない。


 用意するものは、ビスケットにマシュマロに、生クリームとチョコレートやジャム、ついでにココア。


 ビスケットを並べ、その上にマシュマロをのせてレンジでチン、と、やる。

 膨らみすぎないように注意。

 そんで、上からさらにビスケットをぎゅっとのっけて、マシュマロサンドの完成。


 これを、お皿にいくつかのせて、横に生クリームなんか添えて、ジャムとチョコで飾り付けたりして。

 で、マシュマロサンドのデザート皿完成。


 これに、マシュマロ入りココアをつけて、ホワイトデーな、デザートプレート完成。


 残りのマシュマロサンドは、ラッピングしてお持ち帰り用にしておく。




「おまたせ」


 俺の部屋での晩御飯も、もう随分当たり前になってきた。

 料理がうまいなんてずるいー、でもおいしいー、と、ごはんを食べる彼女をみるのが、ごく日常になってだいぶたつ。

 時々は彼女も作ってくれて、これって最高に幸せだなぁ、と、しみじみ思う今日このごろ。


「うわぁ、デザートですか? これなんですか? ……マシュマロ?」


 目の前にお皿を並べたら、感嘆の声を上げ、皿を持ち上げてしげしげと眺めながらそういう彼女に頷く。


「ん。マシュマロサンド。と、マシュマロココア。ホワイトデー、ね」


 うわぁぁぁぁ、と、嬉しそうに笑った彼女は、それからすぐに、しょんぼりと項垂れる。


「私、ねたチョコだったのに……! 手作りとか! 先輩、なんでそんなに女子力高いんですか!」


 女子力って。


 ぷは、と、吹き出しつつ、彼女の頭を撫でる。おお、さらさら。


「マフラーの、お礼。お気に入りだから」


「ううう……いただきます」


 そうして食べ始めた彼女は、やがて幸せそうに笑うから。


 その笑顔が好きだから、料理するんだって、言ったらきっと、真っ赤になるんだろうか。


 再会して、プロポーズして、両親への挨拶もして。


 結婚式の準備もはじめて、忙しい今日このごろ。


 それでも。


 これから先、こうして彼女の笑顔を見る回数が、きっと増えるのだとおもえば、それもまた、幸せなことだ。


「もうもうもう! 愛してますっ、幸せにしますからーっ」


 おいしいーっ、と、ジタバタ暴れながらそういう彼女に、僕は笑う。


「幸せにしてね」



 そんなホワイトデーの夜のお話。


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