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1.人工生命体(アンドロイド)

僕たちは夜になってから、ようやくちゃんとした町に到着することが出来た。

お疲れ気味のスリィとステアを宿に残し、僕とナーレスはせっかくなので、町をぶらぶらと散策することにした。

夜だというのに、街はキラキラした外灯がたくさんあり、人々もたくさん行きかっていた。

まるでクリスマスの夜のような、そんな町だった。

「随分きれいなところだね。スリィたちも来ればよかったのに。」

「ん?でもこの町、最近何かと物騒みたいだよ。」

どこで買ったのか?いつの間にか新聞を手にしていたナーレスが僕に、記事の一部をちらりと見せてくれた。

「何々?『セクシー女優ファリス・リーは男だった?!多額の借金の正体は膨大な整形費だった。』」

「あ、それじゃない。」

ナーレスは新聞の別の記事を指差す。

「これはこれで衝撃だね。」

「笑えるけどな。」

僕は改めて新聞を覗き込んだ。

『連続通り魔殺人事件 アンドロイドによる犯行と断定』

新聞記事の4分の1を飾っている結構大きな記事だ。

「アンドロイド?」

「サニーは見たことないかな?人工生命体(アンドロイド)、ロボットのことさ。」

「へぇ〜、ロボットが人を殺すの?」

「ロボットって、言うけど見た目は人間とぜんぜ…」

「?ナーレス?」

僕がナーレスの方を見たときは、彼は新聞をその場に捨て、手に剣を召喚していた。

そして、彼の近くを歩いていた男性に向かっていく。

「!」

男性はびっくりしたように、その場にころんでしまった。

そして、その彼の上ではナーレスの剣と、ナーレスの以外の人の持つ短刀が金属音を響かせていた。

「きゃあ!!」

周りにいた人々も驚いて、急いで彼らの周りから離れていく。

ナーレスと剣を交わした相手は東洋の服を着ていて、顔を隠すようにフードを深くかぶっていた。僕からはその表情は見えない。

ナーレスとそいつはしばらくにらみ合っていたが、やがてナーレスから離れると驚くほどの速さで闇に消えていった。

「大丈夫ですか?」

僕はころんでしまった男性を助け起こした。

ナーレスも剣をしまう。

「大丈夫だ。それよりも、どうもありがとう。あの状況で相手に気づくなんて、君はなかなか腕が立つようだね。」

「たまたまですよ。あれが例の通り魔ですか?」

「そのようだね。まったく恐ろしい。」

男性はオスカーといい、この町でホテルを経営している結構な富豪だった。

その場でお互いの自己紹介をしている間に警察が現れ、あれこれと事情聴取をされ、すっかり夜も更けてしまっていた。

オスカーは僕たちに申し訳なさそうだった。

「君たちに助けてもらった上に、こんな時間まで巻き込んでしまって申し訳なかったね。

よかったら僕のホテルに泊まらないかい?もちろん、宿代はいらないよ。」

オスカーがそんな嬉しいことを言ってくれたので、僕とナーレスはちゃっかり甘えることにした。

「スリィとステアも呼ぼうか?」

僕の言葉にナーレスは頷かず、何かしばらく考えると、

「いや、彼女達はちょっと別行動をしてもらおう。」

と、言ったのだった。

スリィを差し置いて僕たちだけ良いホテルに泊まったことがバレるとスリィがすごい勢いで拗ねることは目に見えている。

それを差し引いてでも、彼女を別行動させるのは、たぶんナーレスに何か思惑があるはずである。

このオスカーという男性と、さっきの通り魔。

そして、記事にあった人工生命体(アンドロイド)

今回もなんだかややこしい事件に巻き込まれたことをナーレスは気づいたのだろうか?

または、ただナーレスが優越感に浸りたいだけだったりして…。

それなら、僕は早めにスリィにチクって被害を最小限に抑えなければ!!

「サニーって天使のくせに結構ひどいよね。」

〜♪

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