プロローグ
こんにちは!
花宮、はじめての投稿になります。
お目を通してくださり、本当にありがとうございます。
「霊魂!」は、完全にわたしの好みの話となってしまいました。
でも、とても厚かましいお願いではありますが、最後までおつきあいいただけたら嬉しいです。
拙いながらも少しずつ頑張っていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
【プロローグ】
クーラーは快適な温度を保っているはずなのに、じっとりと汗をかいている。
「あ、あたしじゃないよ!」
しかも、うすら寒い。
「(別にニイナを疑っているわけじゃない。この件にニイナが関わっているのだろう、と言っているのだ。)」
よく聞いていないと聞き漏らしてしまいそうな程、微かな声。
ささやくように、心地よく響くはずのその声は、今の新菜にとっては恐怖でしかない。
事件は一昨日起こった。
ある男のルール違反を目撃した新菜は、すぐに告げ口をしようとしたが、できなかったのだ。
それは、その男と同罪だということを指す。
「うぅ……」
「(ニイナは嘘が下手なのだから、隠す必要などない。何度そう言わせるつもりだ?)」
切れ長の鋭い眼光を放つ瞳が新菜を見据える。
新菜はあわあわ、と抵抗を試みたが、結局何もできずに、うなだれた。
「ソウリュウはたまに鋭すぎてイヤ。」
新菜の呟きを聞いて、蒼柳は笑みを深める。
新菜はふと顔を上げると、観念したようにバンザイした。
「ミツがやったんだよ、あの事件は。」
「(ミツ……?)」
「そう、オオサキミツ。あたしと同じ学校の先輩で、あたしの直属の上司。
でもね、事件を起してる時のミツは『やらされてる』みたいな感じだったから、かわいそうで。」
大崎密はルール違反をするような男ではない。
正義感が強すぎる故に他の人との折り合いがつかず、最終的に新菜とペアを組むことになったという経緯まで持つ。
そんな男が簡単にルール違反をするだろうか。
「ま。バレちゃったんだから、ソウリュウも一緒に考えてよね。」
「(無論だ。)」
黒目がちの大きな目をくしゃり、として笑うと蒼流もふっ、と笑い声をもらす。
「(私はニイナの“守護霊”だからな)」
これは少女、鈴堂新菜≪リンドウニイナ≫と、その“守護霊”、蒼柳の話である。
―霊魂!―




