第一章:運命の診断
初投稿です。すでに完結はしております。
屋根啓一が倒れたのは、大学一年生の春、ちょうど新歓シーズンの盛り上がりも落ち着いた頃だった。キャンパス内のカフェテリアで友人たちと軽くランチをしていた彼は、突然目の前が真っ暗になり、意識を失った。
「啓一!大丈夫!?」
その後、気がついた時には病院のベッドの上だった。周りには心配そうな顔の家族と幼馴染の健太、そして担当医が立っていた。
「屋根さん、少し話を聞いてください。」担当医は冷静に語り出した。
「あなたの体質について非常に珍しい診断結果が出ました。これは驚くべきことですが、あなたの体は『超高濃度複合栄養素N-3』を1日あたり規定値以上摂取しなければ、生命活動を維持できません。」
「は、はぁ……?それってどういう……」
「端的に申し上げると、あなたは『屋根系ラーメン』を1日1杯以上摂取しなければ生きられない体になっています。この『超高濃度複合栄養素N-3』が、屋根系ラーメン特有の豚骨と醤油、そして鶏油の組み合わせ、さらに特定のトッピングによってのみ規定値に達するのです。」
部屋が静まり返った。家族も友人も、啓一自身も耳を疑った。
「屋根系ラーメン……ですか?」啓一は半笑いで聞き返す。
「そうです。そして、にんにくを大さじ三杯以上投入し、ライスを並盛り以上で完食する必要があります。これが最低条件です。」
「あの、冗談ですよね?」
医師は深刻な顔で首を横に振る。
「これは冗談ではありません。私たちはこの症状を『屋根系ノルマ』と呼んでいます。試しに今夜、屋根系ラーメンを食べてみてください。その効果は明らかです。治療法は確立されていませんが、1ヶ月に一度の通院は必須です。」
その夜、試しに町田にある人気の屋根系ラーメン店を訪れた啓一。にんにくを山盛りにし、並盛りライスとともに一杯を食べ終えた。
「……本当に効いてるのか、これ……!」
こうして啓一の屋根系ラーメン依存生活が幕を開けた。




