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異界遊戯執行部  作者: 春雪
異界邸宅編
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異界邸宅 第7話


《2人目 適性者B》


 レンヤは続いてBに電話をかけた。


――――プルルルル……ガチャ!


「おい! 何なんだよ、お前らは! 早く俺をここから出してくれ!」


 開口一番、Bは興奮気味に声を上げた。どうやら執行部からの電話と勘違いしているようだ。

 明らかに混乱している。

 レンヤは冷静に状況を説明した。


「落ち着け、俺は適性者D。執行部によって妙な家に閉じ込められている。電話の横にメモ帳があるだろう? 中を確認してみてくれ。君のメモ帳にはBの表記が無いはずだ。君自身が適性者Bだからな」


「は、え? 適性者D? メモ帳? ち、ちょっと待っててくれ!」


 バタバタと慌ただしい音が電話口から響く。

「なんとも頼りない方ですね」という藍歌の呟きが聞こえた。


「わ、分かった。俺はBってことで良いんだよな? でもって、あんたがDってわけか」


「ああ、そっちの状況を確認したい。Bも家に閉じ込められた状態か?」


「そうだよ! 何なんだよここは! 召喚ってフザケてんのか? 頼む、何が起きてるか教えてくれ!」


 Bはますます声を荒げた。現状では、まともな情報交換はできそうにない。

 レンヤはとにかくBに冷静さを取り戻すよう、説得を続けた。


「落ち着け。さいわい、この家には食料や生活必需品が潤沢にある。君も後で確認してみると良い。少なくとも飢え死にって線はないはずだ。いいか? 焦らず、慌てず、冷静に行動するんだ」


「わ、分かった。でも、何かしないと危ないんじゃないか? 普通じゃねぇよ、こんなの」


 Bは落ち着きを取り戻したものの、今度は恐怖心が勝り始めたのか、動揺して声が震えている。

 Bに再び声をかけようとしたレンヤの脇腹を、藍歌の指先がツンツンとつついた。

 彼女は視線で「早く電話を切れ」とうったえている。

 レンヤは溜め息をつきたくなる気持ちを抑えて話を続けた。


「とにかく、こっちも状況が分かり次第また連絡する。よく聞け、B。特に召喚に関しては慎重に行うんだ。最初に喚ぶのは、戦闘能力を持たないキャラが良いかもしれない。いいか、よく考えるんだぞ」


「た、確かに。いきなり攻撃してきたらヤバイもんな。そっちも何か分かったら絶対教えてくれよ? 俺、正直一人だと何をどうしたら良いか……」


「ああ、まずは家の中を調べることから始めてみろ。くれぐれも召喚するときは慎重にな」



――――Bとの会話、終了。



「Bは切り捨てましょうか。彼から有益な情報が得られるとは思えません」


 レンヤは早々にBに見切りをつけた藍歌に頭を抱えた。

 確かにBは頼りになるとは言い難いが、自分と同じ状況に身を置かれた数少ない適性者の一人なのだ。


「その判断は早すぎるだろう。彼のような人物のほうが……その、なんだ。俺たちに無い視点で物事を見ることができる可能性もある」


「取ってつけたような理由の説明は、聞いていてとても愉快な気持ちになりますね。まぁ、レンヤさんがおっしゃるなら、一応ですが頭の片隅かたすみに存在を残しておきましょう」


――――どうやら藍歌は、自分で物事を考えられない人間がひどく嫌いなようだ。 


 軽い頭痛を覚えつつ、レンヤは気を取り直して次の適性者へ電話をかけることにした。



◇◇◇



《3人目 適性者C》


 レンヤはCの番号「3333」とダイヤルを回す。

 しかし――――


「……繋がらないな」


 念のため再度かけ直してみるが、またしても電話は繋がらなかった。


「どうやら私たちに電話をかけてきた男性がCだったようですね。これで残る適性者はEのみとなりました」


「……そうだな」



――――適性者C、連絡不可。おそらく死亡。



◇◇◇



《4人目 適性者E》


――――プルルルル……ガチャ。


「……あぁ?」


 Eが放つ声のトーンには、明確に敵意が混じっていた。

 レンヤはなるべくEを刺激しないように、冷静に話し始める。


「俺は適性者D。君も適性者の一人だろう? 電話の横にあるメモ帳を――――」


「電話番号が書いてあるヤツだろ? とっくに確認済みだ。で? だから何だ?」


「そうか。俺たちは情報を交換して、この家を脱出したいと考えている。そっちの状況を教えてくれないか?」


「はっ、そんなの知るかよ」


 Eは小さく鼻を鳴らした。


「自分で考えろよ。他人とつるんで逃げようなんて甘い考えじゃ、死ぬぜ?」


「お前……」


「ま、せいぜい頑張りな。俺は俺のやり方でやる」


 Eはそれだけ言い残すと、一方的に電話を切った。


「……厄介な奴だな」


 レンヤは受話器を置き、深く息を吐いた。

 藍歌は微笑みながら、Eを冷静に分析する。


「Eは自信家で、単独行動を好むタイプのようです。扱いづらそうな人物ではありますが、Bよりはマシですね」


「どれだけBが嫌いなんだ」


 レンヤは電話で話した適性者たちの性格を頭の中で整理する。

 冷静で話の分かるA。混乱しており、危なっかしいB。おそらく死亡しているC。非協力的で単独行動を好むE。

 この中でAとBは協力できる可能性が高い。

 Eに関しては、現状ではどうしようもなかった。


「……疲れたな」


「そうですね。今日の調査はここまでにしておきますか」


 目が覚めてから気を張り続けていたせいか、一気に疲れが出てきた。

 この日の調査は切り上げて、レンヤと藍歌は食事をとって休むことにした。




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